> 日本軍の酸素魚雷技術はドイツにも伝えたのですか


日本とドイツは【 同盟国 】でしたので、酸素魚雷の技術も、日本海軍はドイツに伝えたようです。但し大戦当時の欧米は、当時より進んだ方式と信じられていた、【 過酸化水素水を使うヴァルター機関 】の実用化を進めていたらしく、

 

【 圧縮酸素と灯油 】を使う日本の酸素魚雷の成功を聞いたとしても、興味を示さなかっただろうと、以前から想像はしていました。で、過酸化水素水とは一体何なのかですが、【 消毒液:オキシフル 】の濃いものと考えれば良いでしょう。

 


● 魚雷全般 - 軍事板初心者質問スレまとめ(FAQ)
http://www6.atwiki.jp/army2ch/pages/101.html
● 遣欧潜水艦が運んだ酸素魚雷にドイツ海軍は大して興味を示さなかった
http://www6.atwiki.jp/army2ch/pages/373.html#id_5bcd9233
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-訪独潜水艦とドイツの反応 -

九三式酸素魚雷は無気泡,長射程30Kmを誇っていたが、伊8号が持ち込んだこの魚雷に全くドイツは興味を示さなかった。

 

艦長以下は少しこの点で自信があっただけに「ガッカリ」している。ドイツは通常の魚雷の限界を知っていた。(略) 

ドイツの開発していた魚雷は

◆TI型:ジクザグに走り命中精度を高める魚雷。
◆TⅣ型:音響追尾魚雷。
1943年9月19日このホーミング魚雷は大戦果を挙げている。

英軍は直ちに音響発信器を曳航するようになる。

◆TⅦ型:有線誘導魚雷。
◆TⅧ型:スクリューの乱流(渦)を追尾する魚雷。(略) 
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今回改めて調べてみたところ↑上の解説記事が見つかり、ドイツ人技術者の場合【 他国の考えに容易に妥協しない気質 】があるらしく、現代日本の技術者も語るように、自己技術に【 かなりの自信を持った民族 】のように見えます。


彼らには、【 ホーミング機能の無いこと 】が興味を示せない最大の理由だったらしく、運動性能よりも【 探査や追尾の方に 】関心が向かっており、また【 安易に作ると爆発が多発することも 】、採用したく無かった理由の一つでしょう。


YouTube
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● 『九三式酸素魚雷』の威力はどのくらい
https://www.youtube.com/watch?v=JmVNScyJER0
● 九三式酸素魚雷の駆動機関の特徴とは
https://www.youtube.com/watch?v=DBwuPOlkvUo
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● 九三式酸素魚雷の起動と駆動
http://www.h3.dion.ne.jp/~okumoto/page017.html ← ※(元記事は消えたようです)
http://archive.fo/zXfW

● (別表) 主要海軍の魚雷比較(概算)
http://www.geocities.co.jp/WallStreet/4792/gyoraihyou.jpg
● 蒼き殺人者【第一章】 酸素魚雷という怪物
http://www.geocities.co.jp/WallStreet/4792/a1.html


当時、【 過酸化水素式 】の方が進んでいるとの共通認識だったものの、↑上の主要海軍の魚雷性能比較では、日本の酸素魚雷は【 射程:40km 】などと、他国を引き離す高性能で【 結果として大成功した魚雷 】と言えそうです。


● 各種魚雷 - 軍事板初心者質問スレまとめ(FAQ)
https://www6.atwiki.jp/army2ch/pages/373.html
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酸素魚雷って、なんで現代では使われてないんですか?

二次大戦当時は、圧縮空気より圧縮酸素の方が有効だったわけですが、現在では酸化剤と還元剤の二液混合、あるいは最初から一液の燃料を用い、

 

いわばロケット燃料かゆっくり燃える液体火薬のような材料でエンジンを動かしています。排気も少ないですし、なにより限られた体積、重量あたりのエネルギー量が圧縮酸素よりずっと大きいのです。
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酸素魚雷って、日本以外で装備している国はどれくらいあるのでしょうか?

(純酸素)を使ったところの酸素魚雷と呼ばれるものは、日本独自のものだっだと思います。酸素魚雷 イギリスが一時期装備していた位かな? 

 

結局爆発事故で止めてしまったけど。やっぱ普通の空気から切り替えるようにしないと、扱いが難しかったようです。
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● ヴァルター機関 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/ヴァルター機関
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応用

高温式ヴァルター・タービン
主用途: UボートXVII型用魚雷(直径53cm、速力50ノット、射程20,000m)

ヴァルター機関その後

また、1972年に日本の海上自衛隊に配備されたG-5B型魚雷は、動力源に高温型ヴァルター・タービンを使用しており最高速力50ノットを出すと言われていた。
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日本としても、これら【 ヴァルター機関の部品と図面 】を手にれるため、ドイツに対し【 金塊2トンと引き換えに 】技術提供してもらうことになったらしく、日本の技術者を乗せ、部品や図面を潜水艦で持ち帰る予定で出港したものの、

 

YouTube 

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● 発見!伊52潜水艦 ドイツ派遣潜水艦の最終艦  2013/11/26

https://www.youtube.com/watch?v=tvaeux2VkL4

● NHKスペシャル|「消えた潜水艦 イ52号」  2017/03/05
https://www.youtube.com/watch?v=MArjWWuIKMY

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航海の途中で【 その潜水艦が撃沈される話 】は、何かの映画で見たはずだと、改めて調べてみましたら、↑上の【 消えた潜水艦 イ52号 】だったのですが、もし金塊が発見され無かったのだとすれば、これも新たな歴史ミステリーです。

 

● 潜水艦「伊52号」に殉じた民間エリート達 2005-08-03
http://blog.goo.ne.jp/gooshowa/e/5e51dc46657d7895740bbdde9eea444b

● 2ch ≡≡ 面白いエンジンの話-15 ≡≡ 270
http://ikura.2ch.sc/test/read.cgi/kikai/1465683397/270n

● US NAVY TORPEDOES by Frederick J Milford 

Part One: Torpedoes through the thirties
http://www.webcitation.org/query?url=http://www.geocities.com/Pentagon/1592/ustorp1.htm&date=2009-10-25+09:25:57
● US NAVY TORPEDOES by Frederick J Milford 

Part Two: The great torpedo scandal, 1941-43
http://www.webcitation.org/query?url=http://www.geocities.com/Pentagon/1592/ustorp2.htm&date=2009-10-25+09:26:02

気体を燃料として使う場合、【 鉄製の高圧ボンベ 】を使用するしか当時の技術では方法はなく、重量や体積的な問題で得策ではなく、【 結果的に高性能の魚雷は作れないだろう 】との考え方が、欧米の場合には主流だったらしく、

 

それらの【 気体燃料を否定する考え方 】は、この↑上の【 アメリカの魚雷の歴史記事 】にも、書かれていた記憶があります。


● 魚雷一覧 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/魚雷一覧
● 酸素魚雷 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/酸素魚雷
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概要(略)

現在の魚雷は、主として整備性を向上させた他方式のものが採用されている。しかしソビエト海軍では主力魚雷として電池式と酸素式の2方式を配備し、

ロシア海軍でも酸素魚雷の運用が継続されている。これらは、第二次世界大戦で鹵獲(ろかく:戦利品として取得)されたドイツ魚雷の系譜を引いたものである。(略)

攻撃原潜クルスクの爆沈の原因となったように、過酸化水素式の魚雷には特有の整備性の悪さ(爆発事故等の多発)があるため、

新型のケロシン・酸素タービン式が開発され使用されている。
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【 ロシアの魚雷 】にも、気体酸素の使われていたことが↑上にも書かれ、古い【 イギリスの魚雷 】の項目にも【 酸素富化空気 】との記述があり、ロシアと共に英国の魚雷にも【 気体酸素の使われていること 】が今回新たに判りました。


● bing画像 CFRP 高圧ボンベ
https://www.bing.com/images/search?q=CFRP 高圧ボンベ
● YouTube CFRP Filament Winding

https://www.youtube.com/results?search_query=CFRP Filament Winding

 

過酸化水素燃料の方が大戦時は好まれたものの、【 高圧気体ボンベ方式が現代の主流 】となった理由は、気体燃料を詰める容器が【 炭素繊維などで軽量化出来たから 】と言うところが、恐らくその最大の理由と言えるのでしょう。

 

但しこの炭素繊維タンクは、【 Filament Winding=フィラメントワインディング 】と呼ぶ、巻き付け式工法で作られ、兵器類にはコスト的問題はなくとも、燃料電池車などに使う場合には、【 その価格を押し上げる要因 】ともなっています。

 

 

● bing カーボンナノチューブ

https://www.bing.com/search?q=カーボンナノチューブ

● bing セルロースナノファイバー

https://www.bing.com/search?q=セルロースナノファイバー

 

但し現在では、↑上のような【 高強度繊維 】が開発され出しており、将来的には、これらの繊維を樹脂原料に混練したプラスティックで、【 射出成形的に作れる 】ようになれば、タンク製造の大幅コスト削減も可能となるはずです。

 

 

● アトミス、小型・軽量の高圧ガスボンベ 重さ5分の1 2018/4/4
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2899856004042018LKA000/
● 2ch ≡≡ 面白いエンジンの話-15 ≡≡ 878-880
http://ikura.2ch.sc/test/read.cgi/kikai/1465683397/878-880n

 

そして極最近のニュースによれば、【 多孔性金属錯体 】と呼ぶ新物質を使う、新しいガス蔵方式が日本で開発されたらしく、↑上の新ガスボンベの場合、【 体積と重さが共に1/5程度に削減できる勝れ物 】であり、しかも結果的に、

 

【 ガスの圧力も下がる 】ことが書かれていたようで、酸素や水素がこの方式で蓄えられるものなら、新しい魚雷の更なる性能向上も、期待が持てることになりそうです。

 


YouTube 
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● 防衛省が潜水艦用新魚雷G-RX6を発注 2015/06/08
https://www.youtube.com/watch?v=gbX5WagKdu4
● 潜水艦用新魚雷G-RX6 潜水艦救難艦「ちはや」に 2015/09/09
https://www.youtube.com/watch?v=BtltXabLxpg
● G-RX6 魚雷
https://www.youtube.com/results?search_query=G-RX6 魚雷
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● G-RX6 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/G-RX6
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概要

潜水艦装備用の長魚雷として、平成24年度より防衛省技術研究本部(現・防衛装備庁)において開発が開始された。(略)

目標の形状を識別し、囮(おとり;デコイのこと)との区別も行なえる音響画像センサー及び、同様に囮識別に有効かつ最適タイミングでの起爆が可能な

 

アクティブ磁気近接起爆装置が搭載される。動力機関には、静粛性を有し、長距離航走を可能とするため、水素・酸素燃焼タービンを採用する。
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↑数年前に、酸素と水素を燃料とする【 次世代魚雷を開発中 】と、防衛省から発表が有った際に、もしこれが成功すれば【 大戦時の酸素魚雷の復活だ! 】と思って、その時に早速調べてみたところ、単なる運動性能のみでなく、

 

【 目標探知能力 】も先進的な性能に進化していることが判り、そして当時は特許なども公開され、図解ページも有ったものの、最近は【 軍事関係の特許は公開しない制度 】が出来たためか、その特許資料はここに示せませんが、


【 ガス=実質的には蒸気 】タービンの高速回転を、【 摩擦ローラー減速機 】でスクリューに伝達する方式などが、特許出願されていた記憶があります。
 


● A Brief History of U.S. Navy Torpedo Development (September 15, 1978)
https://archive.org/details/ABriefHistoryOfU.s.NavyTorpedoDevelopment
● Torpedoes & Depth Charges
http://www.hnsa.org/resources/manuals-documents/torpedoes-depth-charges/

● PART 1 HISTORICAL BACKGROUND
http://archive.hnsa.org/doc/jolie/part1.htm
● PART 2 DETAILED DESCRIPTION OF TORPEDOES
http://archive.hnsa.org/doc/jolie/part2.htm

 

● 魚雷
http://www.geocities.co.jp/WallStreet/2003/gyorai.html
● 世界で初めて誘導魚雷を開発した国はどこですか

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14119186624


● 日本の【 深海センサー網 】、中国海軍には驚異
https://ameblo.jp/dokkanoossann/entry-12370348038.html
● 日本の【 兵器開発能力 】は、欧米列強にも匹敵
https://ameblo.jp/dokkanoossann/entry-12370395010.html

● 【 国産ステルス機F-3 】は、米国F-22を超える

https://ameblo.jp/dokkanoossann/entry-12373903512.html

● 日本人の【 製品開発力 】は、欧米先進国も凌駕
https://ameblo.jp/dokkanoossann/entry-12353960569.html


/// 【 G-RX6新魚雷 】のルーツは、日本軍酸素魚雷
/// 作成:2018-04-26、改定:2018-05-06