「共謀罪」は警察権限の強化法です。
法案の表向きの理由は組織犯罪対策となっています。組織犯罪対策は、つまり警察内部の用語でいうと「情報収集」に尽きます。要するに、市民を監視してどう個人情報を集めてくるかということなのです。「共謀罪が成立する」ことはイコール市民の日常生活をきちっと監視するということです。
警察では「捜査関係事項照会書」という書類を使います。これ一枚出せば、金融機関や役所などから〝任意〟で個人情報の提出を求めることができます。
警視庁が収集したイスラム教徒の個人情報がインターネットで流出した事件がありました。
その中には、ある大使館の職員全員の「給与振込履歴」も含まれていました。「捜査関係事項照会書」で全部調べることができるからです。
警察の「情報収集」というのは、犯罪捜査との関係もはっきりしないし、法的根拠も非常にあいまいです。
街頭やコンビニに設置した「防犯カメラ」の映像なしに今の犯罪捜査は成り立ちませんが、法律的な根拠は何もありません。
3月、最高裁は令状なしに捜査対象者の車にGPS(全地球測位システム)端末をつけて行動を確認するGPS捜査は違法であり、新たな法律が必要だと判断しました。このように今でも何の法的な根拠もないのに警察が個人情報を集められる中での「共謀罪」です。
「共謀罪」法案について「犯罪の計画だけでなく準備行為がなければ逮捕・勾留できない」と政府は説明しています。警察の捜査を知る者からすると意味がわからない話です。
私は刑事でしたから「有罪にできるくらいの証拠をつかんで逮捕する」と考えて、捜査指揮をしていました。
計画と準備行為を切り離して捜査するなどということは考えられません。仮に、そうだとしても、捜査対象が旅行に行けば「犯行の下見」、お金をおろせば「資金の調達」と、警察の見立て通りの〝自白〟がとれるまで、きっちり取り調べて立件するだけです。
安倍首相は「一般人は関係ない」と言っています。本当にそうなら法案にそう書くべきです。ですが、そうは書いていない。首相はなぜ公の場でそんなことを言っているのか、ずっと考えていました。最近になって、わかりました。
秘密保護法では、テロについて「政治上その他の主義主張に基づき…」と定義しているのです。つまり、安倍さんのいう「一般人」とは「主義主張」をしない人のことなのでしょう。
「共謀罪」や「憲法改正」のことを真剣に考えて、反対集会に行く人は一般人ではないということになる。ですから、「一般人は対象外」とはまやかしです。
(「しんぶん赤旗」2017年5月3日付より)
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警察が一度捜査対象だとすれば、旅行に行こうが、買い物でお金を引き出しても、公園でスケッチをしていたとしても取り調べ、監視することができる。絶対に廃案にさせましょう!
午後も地域を回ります!