2006年6月、ワールドカップ・ドイツ大会を見に行ったとき、街でいちばん印象に残ったのが自転車だった。

いま振り返ると、そのとき受けたイメージが決定的だったと思う。

ツール・ド・フランスを見れば、ヨーロッパが自転車先進国であることくらい、わかっていた。

でも肉眼で見ると、これはそうとうにカッコイイ。


なかでも驚きは、鉄道だ。


大都市間は乗らなかったので、くわしくはわからない。

少なくともフランクフルトからマインツくらいの中距離区間は、自転車をそのまま乗せることを前提に設計されていた。

日本の車両だと、車いすスペースのような空間が各車両にあるのだ。

ここに乗せて、客は自転車を支えて立っている。

これがじつに絵になるのよ。


日本で、もしこれが実現できたら、どんなにいいだろう。

鉄道+自転車の旅。楽しすぎる!

でも日本のJRはヨーロッパの鉄道より狭軌で車両が小振りだからなあ。

いっそ私鉄で、ペットOKマンションのように、自転車OKをアピールする会社は現れないだろうか。

4月30日。快晴。夏日。


車にクロスバイクを積んで(というかホンダのオデッセイの荷室に置き)、第三京浜三ツ沢で降りる。

右に横浜FCのホームである三ツ沢球技場を見て坂道を降りていき、最初の交差点を右折。

この通りにはあちこちにコインパーキングがあるので、浅岡橋の最大1200円のパーキングに留める。


ここが今回の旅の出発点だ。

家を出るのがけっこう遅かったので、時間はすでに午後3時。

めざすは鎌倉。


浅岡橋から南下して、国道一号線に出る。

クルマが激しく通るけれど、めげすに走る。

途中なんどか道を間違える。

リュックに入れた道路地図をたびたび出して確認するハメに。

止まるたびに汗が噴き出す。今日は暑いよ!

ランニング用のナイロン製ウェアを着ているので、汗の吸収は抜群だけど、上に着たTシャツがびしょびしょ。


横浜から鎌倉へ行くには、たぶんどの道を通ってもアップダウンが激しいのだろう。

坂道が多い。

ギアをいろいろ操っては乗り切るけれど、見通す限りの急坂道は、無理せず押して歩く。

トホホな光景だけど、誰も見ちゃいないって。。

なんとか鎌倉街道へたどり着く。

一気に北鎌倉、円覚寺前へ。


ひと息つき、鶴岡八幡宮へ向かう。

道が極端に狭い。

とても歩道など走れず、車道を行くが、後方からクルマにクラクションを鳴らされる。

このヤローと思いつつ歩道に乗り上げたが、タイヤの側面にあたり転倒した。

スピードが出ていなかったのが幸いで、軽い擦り傷で済む。


鶴岡八幡宮にクロスバイクを留め、本殿に昇る。

今日はじめて気づいたけれど、この本殿から振り返ると、参道の端っこ、つまり鎌倉駅前まで見渡せるのね。

昔は商店街なんてなかったから、きっと参道を人が歩いてくるのが切々と迫る感じで眺められたのだろう。


その参道を走り抜け、鎌倉駅を右手に海岸方面へ。

国道134号線を走る。

好天で海がきらきら光っている。

由比ヶ浜から七里ヶ浜まで、最高のサイクリングだ。

七里ヶ浜でちょうど午後5時。

海浜から、ぼうっと映る富士山の右に夕陽が見える。

大勢が集まって写真を撮っている。

こっちは一人。けれど、来てよかったぞ。


本当は江ノ島まで行きたかったが、とても時間的に無理なので、腰越で右折して、大船方面へ戻る。

国道一号との交差点である原宿で日没。

暗くなった上に急坂続きで、ここも歩くしかなかった。

そこで我慢したぶん、クルマがびゅんびゅん飛ばす国道一号をひたすら走り抜ける。

考えてみればヘルメットもせずに危ないよね。

狩場インターあたりからはなだらかな下り坂で助かった。

出発点に着いたのは午後8時前。


走行距離、64.52キロ。

平均時速、18.4キロ。

最高時速、45.5キロ。

走行時間、3時間29分46秒。