ついに名曲「cry」がASKAソロでCD化、宮崎薫ソロで配信音源化
テーマ:ASKAまさか「cry」がASKAソロ名義でCDになる日が来るとは……。
まさか「cry」をASKAさんの娘宮崎薫さんがカバーして配信リリースする日が来るとは……。
さすがは自由なDADAレーベルです。
メジャーレーベルから離れるきっかけとなった過去を正当化するわけではありませんが、メジャーレーベルでは永遠に実現しなかったでしょう。
個人レーベルだからこそ、こうやって思いのままにリリースできるのですから。
「cry」は、ASKAさんが1995年に黒田有紀さんに提供した楽曲で、シングル「風、吹いてる」のカップリング曲として発売。
オリコンでは最高20位まで上がるスマッシュヒットを記録します。
とは言っても、「cry」は、カップリング曲ですから、世間に広まったとは言い難く、普通ならそのまま忘れ去られる存在でした。
しかし、「cry」のファン人気は、当時よりもむしろ今の方が圧倒的に高いと言っていいでしょう。
不思議な楽曲です。
その理由は、楽曲の完成度が突出しているとともに、ASKAさんがライブでしばしば披露してきたこともあるでしょう。
まずは、2000年のASKA全国ツアー『GOOD TIME』。
そして、2005年から2006年にかけて開催されたASKAの全国ツアー『My Game is ASKA』。
さらには、2010年のASKA『東京厚生年金会館~10DAYS SPECIAL~』ライブ。
ネット上で広まっているのは、全国ツアー『GOOD TIME』バージョンのようですね。
ASKA「cry」
私も、「cry」は、かなり好きな楽曲で、ASKAソロのベストアルバム人気曲投票のリストで選択できないことを知ったときには、かなり落胆しましたね。
でも、Twitterでも書いたように、番外編として「cry」を希望する人は、かなりの数いたので、それを今回、ASKAさんがくみ取ってくれて、自選のベストアルバム『Made in ASKA』に収録となったんですね。2018年10月17日発売です。
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Made in ASKA [ ASKA ]
3,800円
楽天 |
もちろん、サイト『空色のハーモニー』でもレビューしています。2006年に『My Game is ASKA』のライブビデオで「cry」を聴いて感動し、書いたのでした。
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「cry」を語る
どうしてASKAがコンサートツアー『My Game is ASKA』で「cry」を歌ったか。
僕は、疑問を抱きながらも、DVDレビューでこう書いた。
《「cry」以外はすべてASKAが他人に提供するために作った楽曲ではなく、自らが歌うために作った楽曲である。しかも女性の感情を歌ったのさえ「cry」だけということになる。そういう意味では「cry」は、このコンサートではやはり趣向を異にする楽曲ということになるが、それは、アンコールであり、提供曲でありながら未だにファンから強く愛される楽曲というところから考えると、ASKAからファンへ普遍の愛のメッセージと言える。》
『My Game is ASKA』でコンサートの形態としては、「抱き合いし恋人」が終わった時点で一通りの流れが完結している。
その後のアンコールは、もはや一つのコンサートの枠からはみ出てしまった楽曲と言ってもいい。「君は薔薇より美しい」は、布施明の大ヒット曲であるし、「はじまりはいつも雨」は言わずと知れた国民的な名曲である。一つの流れにはなかなか収まりきらない強烈な印象を持った楽曲なのである。
それに対し、「cry」は、大ヒット曲というわけではない。
ASKAが黒田有紀に提供したヒットシングル「風、吹いてる」のカップリング曲ではあったが、世間にはそれほど広まっているわけではない。アニメ「ストリートファイターⅡⅤ」エンディングテーマとなっていたので、それを見ていた者なら知っていたという程度に過ぎない。肝心の黒田有紀も、現在では音楽活動を休止していると聞く。
だが、さまざまなファンの声をネットで見ていると、「cry」への思い入れの大きさは、他の楽曲を圧倒しているのだ。
これは、極めて不思議な現象である。どんなアーティストにも自らのシングルとして発売はしていないが、ファンによく知られた名曲というのが存在する。たとえば、ドリカムは「未来予想図Ⅱ」、B’zには「いつかのメリークリスマス」、Mr.Childrenには「タガタメ」などがある。CHAGE&ASKAにも「PRIDE」や「終章」など、シングルにはならなかった名曲は多い。
だが、他のアーティストに提供したシングルのカップリング曲というのは、なかなか聞かない。
「cry」の異質さは、それだけではない。
歌詞がASKAにしてはストレートで感情そのままの吐露である。メロディーも、ASKAにしてはシンプルだ。それが逆に若々しさを出していると言えなくはないが、この楽曲を作った時点でASKAは、既に30代半ばでありながら、20歳前後の女性の失恋をリアルに描いている。おそらく黒田有紀が歌うことをイメージして作っているためだろう。
若い女性が初めての失恋で放心状態になり、どれだけ泣いても止まらない涙と、死んでしまうのではないかという苦しみ、そして、そんな状態でも何とか生きている、という人間の不可思議さを改めて浮き彫りにしてくれるのだ。
何度も繰り返すサビのリフレインは、失恋の苦しみを我々の心に蓄積させ、重みを持つ言葉となる。 若い頃に失恋を経験しない者は、ほとんどいない。だからこそ、20歳そこそこの失恋を歌ったものであっても、われわれは、常に自らの失恋と重ね合わせ、泣けてしまうのだ。
ファンの間では、ASKA名義でのシングル化を望む声もあるが、それが実現する可能性は極めて低い。元々、若い女性ボーカルに歌ってもらうための楽曲であり、近年のASKAは、そういった若い女性の心情を歌った楽曲をシングルとして発表することはなくなったからである。あるとすれば、別の女性ボーカルによってカバーされるときだろう。
確かにポップで記憶によく残るメロディーと詞を持つこの楽曲を世間に広めないまま埋もれさせてしまうのはあまりにもったいない。僕は、この楽曲をリアルに歌える女性アーティストが現れてカバーしてくれることを望みたい。
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ASKAさんが女歌を制作したのは、この「cry」が最後じゃないでしょうか。その後にも探せばあるかもしれませんが、有名曲では最後のはずです。
それが今回、自分の娘宮崎薫さんの歌声で配信となると、黒田有紀さんバージョンとの聴き比べもできて、楽しみですね。
黒田有紀「cry」
宮崎薫さんは、ASkAさん譲りの歌声を持っているので、かなり期待できますね。
名曲は、世代を超えて歌い継がれていく。
そんな格言を体現してくれています。
そうなると、今後は、Chageさんの「終章」や「ふたりの愛ランド」をコチャゲさんが歌う日も来るのでしょうね。