日本の音楽史上初の年間100億円売上を達成したCHAGE&ASKA
さて、今月還暦を迎えるASKAさん特集は、前回の1991年に続いて1992年です。
1991年の私は、12月31日の１日だけ堪能できただけなので、その遅れを取り戻すべく、1992年は、日々注目し続けます。
まず印象に深く残ったのは、NHKの第６回日本ゴールドディスク大賞です。
CHAGE&ASKAは、1991年の音楽作品総売上が音楽史上初めて100億円を突破し、101億円でグランプリに輝きます。前年グランプリの松任谷由実が58億円ですから、101億円がいかに驚異的か一目瞭然です。
さらに、「SAY YES」でグランプリシングル賞、『tree』でグランプリアルバム賞を受賞。主要３賞を総なめにしたのでした。
その授賞式でCHAGE&ASKAは、生ライブ形式で「SAY YES」「僕はこの瞳で嘘をつく」「BIG TREE」の３曲をフルサイズで熱唱し、約20分間にわたって、授賞式を独占します。特に会場を飲み込まんばかりの大迫力「BIG TREE」には度肝を抜かれました。
この授賞式は、世間でも大きな話題を呼んだらしく、CHAGEさんは、近所の人に「よかったねえ、50億円もらえて」と言われたそうです。
実際にはもらえるのはその数％で、そのうち半分くらいが税金で持っていかれてしまうわけですが、日本初の100億円アーティストとなった伝説は、音楽史に永遠に残るでしょう。
1991年から1992年にかけての伝説は、いっぱいあります。
・地方のスーパーマーケットでCDコーナーがないのにお惣菜と一緒に「SAY YES」だけ売っていた。
・パチンコ屋のBGMが軒並み「SAY YES」に変わった。
・テレビ局でASKAがそばを通るだけで、数多くの女性が惚れすぎのあまり失神した。
・「SAY YES」が13週連続１位になったせいで、SMAPのデビューシングルが２位に終わった。
・音楽番組にチャゲアスが出演することになると、「何時何分に歌うのか」という問い合わせが殺到した。
・ウッチャンナンチャンがチャゲアスに扮したコント『チャケ＆ヤスカ 栄光の軌跡』が絶大な人気を博した。
通常であれば、これをピークにブームが終わって行くのですが、CHAGE&ASKAは、この年、さらにブームが加速します。
3月25日にベストアルバム『SUPER BESTⅡ』を発売。これが日本の音楽史上初めて250万枚を突破する超大ヒットとなります。
そして、このベストアルバムと同時に再発売したシングル「LOVE SONG」「WALK」は、ともに1989年に発売してオリコン20位のスマッシュヒットを記録していました。1989年のオリジナルアルバム『PRIDE』にも収録されており、『SUPER BESTⅡ』にも収録されています。
普通なら、もう売れません。
しかし、CHAGE&ASKAは、規格外でした。
「LOVE SONG」は、オリコン週間１位の大ヒット、「WALK」も、オリコン週間３位の大ヒットを記録するのです。
こういう売れ方をした曲は、長い音楽史上の中でこの２曲以外ないのではないでしょうか。
CHAGE&ASKA「LOVE SONG」
CHAGE&ASKA「WALK」
そして、７月、待ちに待った新曲が発売となります。
それがまさかのスローバラード「if」でした。
カラオケがブームになっている中、カラオケに最も向いておらず、しかも、ヒット性が低い、じっくり聴かせるタイプの楽曲を発表したのです。
そんな冒険のようなシングルにもかかわらず、ミリオンセラーを達成します。ポップな楽曲が並ぶ日本のミリオンセラー作品群を見てみると、この楽曲の特異性に驚かざるをえません。まさに、チャゲアスだからこそミリオンセラーにできた楽曲です。
CHAGE&ASKA「if」
そして、10月には、アルバム『GUYS』の先行シングルとしてサビの女性パートをCHAGEが歌うという異色のデュエット曲「no no darlin'」を発売し、大ヒットさせると、11月に発売したアルバム『GUYS』もミリオンセラーを達成します。
CHAGE&ASKA「no no darlin'」
まさにシングルも、アルバムも、発売すれば大ヒットするという一大ブームの中、1993年にはあの楽曲が生まれ、さらなるブームを呼ぶことになります。
