侯隆side
大学卒業してからは彼女は居ない。
せやから、会社の同僚である丸山隆平が友人カップルと俺のために合コンをしてくれる、という。
相手の女の子は、薬剤師と楽器店店員。
何とも統一性はないが、隆平の話では、楽器店店員は彼女で、薬剤師の1人は看護士の男、松本圭吾の彼女らしい。
侯「つまり、最初から相手は決まってる、って訳やな」
圭「そうです。ただ、彼女の話では“人数合わせ”とウソを吐いてムリヤリ参加させたので、かなり解りやすいしゲームなどは難しいかも。とのことでした」
俺は、正直大学卒業まではモテてたから、相手の女の子も直ぐに落とせる、と調子に乗ってた。
ひなside
当日。ゆきちゃんと共に薬局を出る。高校2年の春からお風呂と寝るとき以外は絶対に外さないサラシを外され、自分では絶対に買わないだろう、紫のブラとショーツを身に着けさせられ、これまた自分では絶対に買わないだろう、薄い紫のオフショルで丈の短いワンピースにコートを着させられた。
靴は少しだけヒールのあるパンプス、バッグもワンピースに合わせた薄い紫。
アクセサリーは小さな∞の付いたイヤリングとネックレス。時計はそのまま。
うちは、オシャレに興味ないから、ピアスも開けてない。
ひ「ゆきちゃん、サラシは巻かしてや…」
ゆ「もったいないて。立派な武器やねんから。可愛いでうちが男やったらソッコー落ちてる」
ゆきちゃんの言葉はうれしい。
けど、あくまでもうちは人数合わせや。
まぁ、すば子は赤、ゆきちゃんはピンクと色を統一してるから、合わせるのは解る。
でも…サラシはうちにとって心の支えやから…。
それに殆ど布のないTバック。
ひ「…こんなん、履いてないのと一緒や…。何か変やって…」
す「大丈夫やて。さ、行くで」
すば子に手を引っ張られ、約束の居酒屋の個室に入る。
圭「じゃあ、揃ったし、自己紹介から…」
侯「その前に圭吾、飲み物とか頼まなどんだけガッツいてんねん確かに3人とも美女ぞろいやけど」
男性陣のやり取りをすば子とゆきちゃんは笑うが、うちはただ傍観していた。
まるで、幽体離脱した気分や。
したこと無いけど。
うちは好きな巨峰サワーにした。
意味なんか無い。人数合わせやから。
ひ「…村上ひなです。すば子とは幼なじみで、ゆきちゃんとは同僚です」
隆「えっじゃあ、ひなちゃんも薬剤師なんや」
ひ「はい」
続