犬は初年度のワクチンのみ3回接種することが推奨されています。
なぜかといいますと、移行抗体の問題があるからです。
移行抗体とは、母犬からもらった抗体のことです。
仔犬は母犬の初乳を飲むことで、母犬からの移行抗体を受け取ります。
(初乳…分娩後の数日間に分泌される母乳のこと。犬は生まれてから48時間以内に初乳を飲まないと母犬からの免疫をもらえません。)
産まれてからのある一定期間は母犬からの移行抗体を持っているため身体は感染症から守られています。
しかしこの移行抗体は最短で生後42日ほど、最長で生後60日ほどで身体からなくなってしまいます。
いつ移行抗体が無くなるかは個体差があるため、最短で移行抗体がなくなってしまった場合を考えて子犬は生後42日あたりに一回目のワクチン接種を行います。
しかしこの時、仔犬の体内に母犬からの移行抗体が残っている可能性もあります。
また、移行抗体は感染症の種類によっても体内に残る期間に差があります。
移行抗体が子犬の身体に残っている状態でワクチンを打っても、子犬の身体は抗体を持っていると認識してしまうため自分自身の抗体を作ろうとしません。
このため1回目のワクチン接種時に移行抗体が残っていた場合は子犬自身の抗体が作られないため、2回目の接種を一か月後にする必要があるのです。
仔犬の場合は初乳の問題があるため初年度は3回接種が必要ですが、保護犬などのワクチン未接種の成犬を引き取った場合、初年度は一か月間隔をあけて2回の接種で十分な免疫をつけることができます。
また、大切なのは一年後の追加接種です。
3回目(成犬の場合は2回目)のワクチン接種の後、一年後にワクチンの追加接種を行う必要があります。
この追加接種を行うことにより、更に強い免疫を作ることができ、これをブースター効果と言います。
このブースター効果は非常に重要で、これを得ることにより実際に病気に感染した際にしっかりと身体を守ることのできる免疫を獲得したと言えます。
このように初年度とその次の年のワクチン接種はとても重要です。
忘れずに接種しましょう。
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