コンビニ商品PB展開競争 | Meta☆。lic2ch

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 コンビニエンスストア大手3社の出店競争が過熱している。最大手のセブン-イレブン・ジャパンと3位のファミリーマートは今年度中にそれぞれ過去最高の1500の新規出店を計画、2位のローソンも過去10年で2番目の高水準となる870の出店を予定している。プライベートブランド(PB)商品の充実や、東日本大震災を機にコンビニの便利さが認められたことで、高齢者や女性の利用が広がっていることが背景にある。一方、大手3社の寡占化が急速に進み、下位のコンビニ各社にとっては厳しい環境となっている。

 今年度の3社の出店数は計3870店で5年前の2倍の水準。出店加速でコンビニ全体の市場規模も拡大し、2008年の7.8兆円が12年には9兆円超に上った。出店加速の要因は顧客層の広がりだ。コンビニの顧客は元々、若い男性が中心だったが、高齢者や女性らが利用するケースが増えているのだ。

 女性たちを引きつけているのが、総菜類から調味料、アルコール飲料まで幅広くそろえたPB商品だ。セブンの場合、「セブンプレミアム」として「さばの味噌(みそ)煮」など手間がかかる家庭料理を拡充。高価格帯PB「セブンゴールド」も作り、幅広い顧客層に対応できるようにした。

 各社ともPBの充実に加え、生鮮野菜の品ぞろえを拡充するなどして「コンビニに行けば何でもそろう」とPR。震災時には、長時間開店し、生活必需品もそろうことが認識され、高齢者らの利用も増えた。各社が力を入れている宅配サービスも好評だ。

 こうした中、コンビニ業界では「需要はもっと掘り起こすことができ、新規出店の余地は大きい」(大手コンビニ幹部)との見方が広がり、出店ラッシュにつながっているのが実態だ。最近では地方も照準に入り、3月に香川、徳島両県進出で「四国初上陸」を果たしたセブンは、今年度中に両県で140店を出店する。

 こうした出店加速で、2月末時点の店舗数はセブンが1万5072店、ローソンが1万1130店、ファミマが9481店と、大手3社で、コンビニ全体(4万7345店)の約75%を占める。大手の寡占化が進む中、「他系列のコンビニチェーン加盟店は危機感を募らせている」(業界関係者)とされる。セブンが四国で急拡大しているのは、業界4位のサークルKサンクス(CKS)から離脱した地域運営会社がセブンに契約を切り替えているためだ。コンビニ業界に詳しい野村総合研究所の高木裕之氏は「今後、下位チェーンから運営会社が離れ、大手3社への集約の流れが加速するだろう」と指摘する。


 コンビニエンスストア業界は、セブン-イレブン・ジャパン、ローソン、ファミリーマートの大手3社が、他社をのみ込む形で再編が進んでいる。「草刈り場」の様相を呈しているのが業界4位のサークルKサンクスだ。2011年には富山、12年には千葉、東京の各運営会社がそれぞれローソンに衣替えしたほか、今春には香川、徳島の運営会社がセブンにくら替え。今夏には熊本、鹿児島の運営会社がローソンに替わる予定だ。

 ファミマは09年に債務超過に陥ったエーエム・ピーエム・ジャパンを吸収合併した。一方、イオン傘下で5位のミニストップが中堅のココストアと商品開発や物流分野で業務提携するなど、再編の動きは広がっている。(毎日新聞)

コンビニエンス・ストア(コンビニ)大手5社の2013年度第1四半期(13年3-5月期)決算(単独)が、このほど出揃った。セブン-イレブン・ジャパン(セブン)とローソンの営業利益が過去最高を記録する一方、他の3社は前期比減益だった。

 また、既存店売上高が前期比増となったのはセブン(0.9%増)のみ。他の4社は出店競争や他業態との競合などが響き、既存店の売上高が鈍化した。セブンのみが売上高を伸ばしたのは、PB(自主企画商品)の「セブンプレミアム」と「セブンゴールド」(高価格帯PB)の好調が要因。

 セブンは12年度(13年2月期)決算でも前期比増収増益を達成するなど、このところ大手の中でひときわ存在感を強めている。その原動力になっているのが、他社を圧倒するPBの強さだ。

●メーカーのヒット商品を狙い撃ち

「虎の子を、こんなに早くセブンに渡すのか」。今年5月、セブンが即席袋麺PB「セブンゴールド金の麺」を発売した直後、食品業界の一部で驚きの声が上がった。それもそのはず。「金の麺」は「東洋水産のヒット商品『マルちゃん正麺』の実質的なセブンPB版」(食品メーカー関係者)といわれるからだ。

「正麺」は年間18億食といわれる即席袋麺市場で、11年11月の発売から1年間で2億食の売上を達成したヒット商品。「ツルツルとした舌触り、モチモチとしたコシなど生麺に限りなく近い食感」(同)が消費者の人気を集めた。

「金の麺」は、セブンが東洋水産と共同開発したPB。東洋水産の役員は「正麺と金の麺は製造技術も味も異なる」と「正麺のセブンPB版説」を否定しているが、「セブンが正麺のヒットに目を付け、類似品をつくらせたのは明らか。販売を主導する小売が、メーカーから虎の子技術を引き出す強い立場にある事実を示した典型的な例」(大手証券関係者)との指摘も聞かれる。

 コンビニやスーパーでの「マルちゃん正麺5食パック」の実勢価格は398円程度。「セブンゴールド金の麺5食入り」の価格は、これより50円安い345円。

 東洋水産が強調する「味の差」程度では、ことセブンの店頭では正麺のシェアが価格差で金の麺に食われるのは必定。それでも同社が共同開発の名目でセブンに虎の子技術を提供し、割安価格設定に同意したのは「セブン&アイ(セブンの持ち株会社)さんとは幅広い商品供給で長いお付き合いがあり、PB共同開発を機にパートナー関係を強化したい」(東洋水産役員)との思惑があるようだ。

●小さい売り場面積を逆手に

 セブン&アイが07年から開始したPB「セブンプレミアム」と「セブンゴールド」の売上高は、12年度通期で約4900億円に上り、売上高全体の10%弱に及ぶ。品目数は約1700で、1品目当たりの売上高は単純計算で約2.9憶円。

 対して、PBランキング(「週刊東洋経済」<東洋経済新報社>調査)1位の「トップバリュ」(イオン)の12年度売上高は約6800億円でセブンPBを上回るが、品目数は約6000もあるので、1品目当たりの売上高はこちらも単純計算で1億円強にとどまる。

 この違いは、品目数を増やせば「PB競争優位」とは単純にいかない事実を示している。流通業界関係者は「コンビニはスーパーより売り場スペースが小さく、したがって品揃えがスーパーより少ない。そのコンビニの弱点を逆手に取っているのが、セブンのPB戦略の特徴」と、次のように説明する。

 売り場スペースが小さいので、メーカー側には「良い商品をPBとして差し出さなければ棚に並べてもらえないし、PBを供給しなければNB(メーカー品)もセブン&アイ傘下では仕入れてもらえない」との恐怖感がある。これを背景に「メーカーのヒット商品や中核商品を狙い撃ちでPBに取り込んでいるのが、セブンのすごいところ」だという。

 大手証券アナリストも「厳選した魅力的なPBを棚に並べれば販売力が強まり、メーカーからも独自技術を提供してもらえる。メーカー自身もより魅力的な商品開発に注力してくれる。こうした好循環がセブンPBの強み」と、前出関係者の説明を肯定するような見方を示している。

●四国では、サンクス大規模加盟店がセブンにくら替え

 PBを武器に、出店でもセブンの勢いは止まらない。「コンビニはもはや飽和状態といわれるが、当社はそう思わない。高齢者や主婦に客層が拡大しており、出店余地はまだまだ大きい。ご当地でも『近くで便利なセブンのお店』を提供したい」と、セブンの古屋一樹副社長が胸を張ったのは、今年2月末に徳島市内で同社が開催した四国初出店発表会の席上だった。

 同社は今年3月1日に、香川県と徳島県で一気に14店を同時出店。来年3月までに両県で140店を出す予定。さらに今年度中に愛媛県、16年度中に高知県に進出。今年度から16年度までの6年間に、四国4県で570店のチェーン展開を計画している。これにより同社の出店エリアは44都道府県となり、「セブン空白県」は青森、鳥取、沖縄の3県を残すのみとなる。

 国内のコンビニ店数は昨年11月末に限界とされていた5万店を突破、出店余地が縮小している。だが「そんなことはどこ吹く風」が今のセブンだ。昨年度は過去最高の1354店を出店。今年度1500店と、逆に出店ペースを速めている。

 強気の背景は冒頭の業績好調にある。日本フランチャイズチェーン協会の直近統計(「JFAコンビニエンスストア統計調査月報」13年5月度)を見ると、コンビニ分野の加盟10社全体ベースの既存店売上高(前年同月比)は12カ月連続のマイナス。これに対してセブン単独の既存店売上高は10カ月連続のプラスと推測されている。

 大手証券アナリストは「PBと総菜の拡充で、主婦や高齢者の来店増に成功しているのが要因」と分析、セブン既存店の日販(1日当たり1店平均販売額)は約67万円で、他社と10万円以上の差をつけていると指摘。「このため他社が採算割れに陥っている立地でも、主婦や高齢者の取り込みで利益を出している」という。

 さらに、今回の四国進出では競合を震撼させるできごともあった。

 業界4位のサークルKサンクスのメガフランチャイジー(大規模加盟店)として、香川、徳島の両県で約90店の「サンクス」を運営していたサンクスアンドアソシエイツ東四国(現アイル・パートナーズ/高松市)が、セブンにくら替えしたのだ。 同社関係者は「四国に多い高齢者向けの商品が充実しており、日販も高いのでセブンに乗り換えた」と、当然のように語っている。

●コンビニ飽和説と無縁の3強

 ここ数年、「コンビニ3強」の寡占状態が加速している。セブン、ローソン、ファミリーマート(ファミマ)の上位3社とそれ以下の会社との収益力格差が鮮明化しているのだ。

 2位のローソンは「チェーン拡大より、既存店の収益力拡大が先決」(ローソン役員)と、今のところは新規出店に慎重な構えをしている。

 一方、3位のファミマは、ローソンと対照的にセブンとガチンコ勝負の構え。今年3月1日には近畿日本鉄道との業務提携を発表。近鉄グループが運営する駅構内の売店やコンビニなど69店を、今年夏から来年2月にかけてファミマに転換する予定だ。

 同社の中山勇社長は「出店競争が激しいといっても、出店場所や形態を変えれば出店余地はまだまだ大きい」と、セブンとは異なる視点で「コンビニ飽和説」を否定している。

 またファミマのある役員も「駅ナカのコンビニ日販額は、路面店コンビニより5割程度高い」と、近鉄との業務提携の狙いを明かしている。近鉄も「公共料金支払いなどのサービスや、品揃えの拡充で駅乗降客の満足度が高まる」(同社流通事業関係者)と、ファミマとの相乗効果に期待を寄せている。

 12年度(13年3月期)決算の営業利益は「コンビニ3強」が揃って増益だったのに引き比べ、4位のサークルKと5位のミニストップは2桁の減益。6位以下では業績不振に喘ぐコンビニが多い。

 大手経営コンサル関係者は「立場上セミナーなどでは口にできないが、『近くて便利』なだけで客が来てくれる時代はすでに終わっている。3強との違いを明確に打ち出せないコンビニは、傷が浅い今のうちに市場から撤退するのが上策」と断言する。

 4位以下が苦戦する中、上位3社は今後も4位以下の競合、外食チェーン、セルフ式コーヒーチェーンなどの常連客も吸収しながら「コンビニ寡占時代」を推進してゆくことになりそうだ。(Business Journal福井 晋/フリーライター)