こんにちは 柴田です。
災害時に母乳やミルクをどうするかというサイトを見つけました。
災害時の乳幼児栄養に関する指針
母乳育児は、乳幼児には栄養として必要なだけでなく、母と子の相互の愛着、感染予防など多くの利点を持っております。
そこで、母乳育児団体連絡協議会は、専門家としての観点から災害時の乳幼児栄養についてまとめました。
地震や水害などの災害が起こると「災害弱者」としての乳幼児とその母親には、特別な支援が必要です。
中でも、乳幼児の「食べ物」である母乳育児が継続できるような支援や粉ミルクの適正な利用が重要になってきます。
災害時のために、粉ミルクや哺乳びんの備蓄や携帯の必要性が叫ばれていますが、災害時であるからこそ基本的には母乳育児が重要であることを理解しましょう。
1.災害時だからこそ、母乳育児が重要です
災害時はストレスで母乳が出なくなるのでしょうか?災害時には母親のストレスで母乳分泌が減り母乳育児ができなくなるという考えから、粉ミルクや哺乳びんの備蓄や携帯が勧められていますが、現実には、それは大きなリスクをはらんでいます。
基本的には母親に食べ物を、そして母乳育児が持続できるような温かい適切なサポートを提供することが最優先されるべきです。

2.災害時に乳児用粉ミルクを与えるリスク
1) 調乳用品を清潔に洗浄したり消毒したりすることができないかもしれません。
2)粉ミルクや安全な水、お湯、哺乳びんなどが常に手に入るとは限りません。
3)冷蔵庫が使えなければ、調乳済みの人工乳を保管できません。冷蔵保存は、病院などの専門施設だけに許されることであり、家庭での調乳後の保存は望ましくありません。
4)人工乳を与えることで、直接乳房から飲ませる回数が減り、そのせいで母乳の分泌量が減ってしまいます。
5)アレルギーのある場合は、粉ミルクを与えることでアレルギー症状がひどくなるかもしれません。
3.災害時だからこそ母乳育児を推進しましょう
1)母乳に含まれている免疫のおかげで、災害時に蔓延しがちな感染症から身を守ることができます。
2)ストレスやショックで一時的に母乳の出が悪くなったとしても、ふだんより頻繁に乳房を吸わせ続ければほとんどの場合もとに戻ります。混合栄養の場合でも、今までよりひんぱんに吸わせていれば、分泌量の増加が期待できます。
3)母親が十分に食べられなくても、短期間であればそれまでと変わらない栄養分を持った母乳が分泌されますが、授乳中の母親には優先して水と食糧を供給しましょう。長期間ひどく食糧が不足した場合には、母乳の量や母親の体に影響を与える可能性があることを配慮しましょう。
4)母と子が一緒にいられないことは、母乳の分泌に影響を与える可能性があります。赤ちゃんも母親の不安を感じて泣くことが多くなります。精神的に安心するためにも家族が一緒に過ごせるようにすることが大切です。
5)避難所に授乳中の母と子のために安心して授乳できる空間を確保しましょう。
6)災害時もしくは災害直後に出産がある場合、安全に人工乳が与えられないことを考えると同時に、母乳育児がスムーズに始められる支援が大切です。そのためには、出生直後からの早期授乳を含む肌と肌との触れあい、母子同室、頻回授乳が大切です。
7) 母乳が足りているかどうかの目安(1 日に5‐6回の尿、生後6 週間くらいまでは1 日3回以上の便など)を母親に伝え、不安感から粉ミルクを不必要に足さないように支援しましょう。
8) 出産後1 年以上経っても、母乳には免疫はもちろん栄養的価値も十分あります。安全な水や食事が手に入るまでの期間、幼児も母乳だけで切り抜けることができます。
9) 母親が安心して母乳育児が続けられるように、母乳育児に詳しい専門家や母乳育児支援団体の相談窓口を積極的に活用しましょう。
4.人工栄養が必要な乳児の場合の安全な調乳法
人工栄養児にはもちろん安全な人工乳が必要です。下記のことに注意して安全な調乳を心がけましょう。
1)清潔な水と洗剤で洗った容器、できれば消毒した容器を使います。きちんと洗わず消毒液につけただけでは、かえって不潔です。
2)人工乳首は洗浄がむずかしいため、十分な洗浄ができるようになるまでは、授乳には小さなコップを使うのが望ましいでしょう(★参照)。
3)調乳の際は、粉ミルクの缶に付記されている説明文を読み、粉ミルクとお湯は正確な割合で調乳します。
4)2時間以内に使用しなかった場合は廃棄します。
★コップでの授乳の方法
哺乳びんを使用するのではなく、調乳したミルクや母乳はスプーンや小さなコップで飲ませることができます。これは生後すぐの赤ちゃんでも安全に行えます。消毒ができないような状況下では、使い捨ての紙コップが便利です。
1)赤ちゃんが完全に目が覚めている状態で母親のひざに乗せ、やや縦抱きになるような姿勢をとります。
2)コップを赤ちゃんの唇にふれるようにします。コップの中のミルクが赤ちゃんの唇にふれるくらいにコップを傾けます。コップと赤ちゃんの唇の位置は、コップを下唇に軽くふれるようにし、コップの縁が上唇の外側にふれるような関係となります。
3)赤ちゃんの口の中にミルクを注ぐのではなく、コップを赤ちゃんの唇につけたまま保持し、自分自身で飲むようにします。
4)赤ちゃんは満ち足りると口を閉じ、それ以上飲もうとしなくなります。どのくらい摂取しているかは、1 回ごとにみるのではなく、24 時間以上の期間で見るようにしましょう。
他の団体と同様、下記の3 団体は災害時に一緒に乳幼児栄養について相談受付と支援を積極的におこなうことにしております。その場合にはご利用ください。
作成:母乳育児団体連絡協議会
日本母乳哺育学会 http://square.umin.ac.jp/bonyuu/
日本母乳の会 http://www.bonyuweb.com/
NPO 法人日本ラクテーション・コンサルタント協会 http://jalc-net.jp
2007 年10 月