転院日、病室に案内され、もろもろの準備をし、主治医とはじめましての挨拶、そして今後の治療について説明を受けた。


ここから数日程度、経口での食事の量をみて、経管栄養にするかどうかの判断になるとの事だった。


鼻からの経管栄養というのに、 若干の不安と抵抗を感じてはいたが、ここで治療すると決めた以上、主治医を信じてお任せするしかないと腹を括っていた。


主治医はサバサバとした話し方で、はっきりと分かりやすく説明をしてくれる先生であり、本人にとっても、私にとっても、この医師に出会えたことは幸運だったと思っている。


面会は自宅から距離があるため、平日は仕事帰りに夫が、私は仕事の休みの平日と土日に行っていた。

今になると、この時、平日の仕事帰りに夫に面会に行ってもらっていた事を、少し後悔している。


夫は「ただ食べれば良いだけなのに、なんで簡単なことができないんだ。食べる必要性を分からせないといけない。それが親の役目だ」という認識があり、この先もしばらく、その認識からくる言動に、本人や家族は非常に辛い思いをする事になる。

転院は、点滴ルートは残したまま、自家用車で向かう事になっていた。


市内の総合病院から、県外の専門病院へ車で1時間少々かかる。

指定の時間に到着するように出発となると、朝は8時過ぎには出ることになる。


当日、準備のために病室に行くと、朝ごはんが来ないとイライラしている。

この頃から、しばらく時間通りに食事をしないと食べられないかもという不安から、食事時間のこだわりが続いていた。


ついに到着した朝ごはんに、時間がないから食べられない。もっと時間があれば食べられるのにと泣いていた。


食べたい気持ちと、食べられない不安と闘っている様だった。


総合病院でも、色んな医師、栄養士さん、心理士さん、リハビリの先生、院内学級の先生、たくさんの人に支えて貰っていた。

とても感謝しているし、専門ではない中で、本当によくしていただいたと思っている。


なので、別れがたい思いもありつつ、専門病院にいって治ると良いな、と願いながらの出発だった。

入院して2週間程たった頃、主治医の先生から、もともと転院を打診していた専門の病院から、受け入れ可能の連絡があったと話がある。


思いのほか早く転院ができることに安堵した気持ちで、転院の話を進めてもらえるようにお願いした。


この頃、食事はなんとか頑張って、時間をかけて、少しずつ食べるようになっていた。


ただ、問題は水分がほぼとれないこと。

回診でくる先生達に、水分とって欲しいと言われていたが、本人的にはなかなか難しいことらしかった。


なのでずっと点滴はとれず、転院の際も、点滴のルートは残したまま移動する事になった。