経管栄養をしばらく続け、ひとまずの目安に到達したところで、食事が再開された。


目標は完食と体重増加。

もともと食事がとれず、極度のやせで身体が省エネモードに入っていたのが、経管栄養によって、身体が回復すると、不思議と食事もとれるようになっている様子だった。


ただ、いきなり完食とはいかず、7割〜8割だった。

食事と面会時間が重なることを不安に思い、仕事帰りの父親には食事の後に面会に来て欲しがっていた。


体重増加とともに、自分のベッドの上しか許可されていなかったのが、デイルームに行けるようになったり、行動の制限も徐々に緩やかになっていった。


転院当初は、同室の子たちとまったく関わらず、表情も硬かったが、食事と身体の回復が進むにつれて、人と関わるエネルギーも出てきた様子だった。


誘ったり誘われたりして、ゲームをして過ごす事もあり、面会のあと涙する事も減ってきていた。

経管栄養に切り替わり、時間で必要なカロリーが身体に入っていくようになり、血色や表情が良くなっている気がしていた。


体重もゆっくり確実に増えていた。ただ、最初の目標の体重に達するまでは、ベッドで安静だったので、本人は寂しい、早く帰りたいと話す事が多かった。


少し変化してきたのは、心理士さんとのお話や、リハビリが始まった頃から、慣れもあったのか、早く帰りたいとは言うものの、寂しい寂しいと口にする事は減ってきたように思う。


週に1度、私が平日に面会に行ける曜日に主治医の先生とお話できる機会があった。

先生はわりとどんな時でも、よくやってます!頑張ってます!という話だった。


私から見ると、まだまだ本人は不安に包まれていて、経管栄養を続けていたら、口から食べられなくなっちゃうかも、、、とよく言っていた。


そんな本人の不安に、先生は、サラッと「大丈夫〜人間、口から食べられるようになってますから〜」と流しているように見えた。


その対応をみていて、自分の対応は今まで本人の不安に寄り添おうとしすぎていて、余計に不安を大きくしていたのかも、このくらいアッサリ流した方が本人には楽なのかもしれないと思った。

面会時間も少なくなり、スマホも制限があり、ゲームはOKだがネットの回線がイマイチなど、本人にとっては、なかなかポジティブになれる要素の少ない転院であり、最初の頃は、面会のたびに涙涙だった。


スマホについては行動表と結びついており、体重が増えると解禁、利用時間が増えるという段階的な形だった。


転院してしばらくして、経口での食事摂取が必要量に達していないので、経鼻経管栄養に切り替わると主治医から話があった。


本人は頑張って食べてるのに、、、という思いはありそうだったが、先生が言うなら仕方ないという諦めもありそうだった。


経鼻経管栄養に切り替わった日には、夫は面会に行かなかった。経管栄養になってるのを見たくないというような事を言っていた。


なんとなくこの頃から、治療を頑張ってる本人がいるのに、それに向き合えない夫のこうした言動にモヤモヤした気持ちがあった。


経管栄養に切り替えた翌日が私の面会日だったので、その時に、鼻から管をいれるのがどれだけ大変かを本人が語ってくれた。

本人の頑張りを労う言葉をかけたが、私から見ると、本人は、食べないといけないプレッシャーから解放されて安堵しているようにも見えた。