年末年始は、それぞれの実家に挨拶に行った。


夫の実家へは、何か私が意見を言っても、機嫌を損ねるだけなので、時間など全て任せていた。

息子はともかく、娘は義母の作るお正月の食事をたのしみにしていたので、全部息子のペースに合わせるのも難しいところだった。


私の両親は、私の相談にものってくれており、息子の摂食障害についてもよく理解してくれていたので、食事の時間を避けて行った。


夫の実家へ行った際、ちょうどお昼時で、義母は退院して元気になった!と繰り返し息子に話し喜んで、お雑煮食べる?何食べる?など勧めたりしていた。

義姉家族も集まって、義姉は息子の姿をみて涙し、抱きしめてくれたりもした。

ただ、息子は義母のお雑煮や出された食事はほぼ口にできず、義母や義姉の喜ぶ様子とは真逆の無表情で、感情の読めない表情をしていた。


帰宅してから、娘が私にこっそり、「息子、かわいそうだったね」と言った。娘は、子供の頃から周囲の感情の機微に敏感な子なので、私は「やっぱり、あなたには、わかっちゃうよね」と。

娘は父親の理解の乏しさについて、またその言動が父親自身の不安からきている事にも気づいていたと思う。


私の実家へは食事時間を避けたので、何も食事は並んでなかった。

息子から「なんかたべたい」と言った時だけ、イチゴやアイスを出した。

私の母は、本人が居ないところで「案外、自分から食べたいって言うじゃない」とコソッと伝えてきた。私は、「プレッシャーがないと食べたいと思うんだろうね」と返した。


私自身も、息子がどうしたら食事に対して、楽に、構えずに食べられるか、声かけなど試行錯誤の日々だった。

夫は食事に関しては、「気にせず食べれば良い。なぜ食べないことを良しにするのか。」という考えであり、本人に対しては、「食べろ」という圧があった。


私は、夫と2人になるタイミングを見計らって、夫に「本人へプレッシャーになる声掛けは控えて欲しい」と伝えた。


すると夫から返ってきた言葉は、「食べろって言わないで、次入院になったら、離婚でいいと思ってるからな。」というものだった。


私からは「なぜそうなるのか分からない。本人は食べなくて良いとも、食べたくないとも思ってない。ただ、今は安心して口にできるものが少ない。だからプレッシャーをかけて食べられるものでもない。」と伝えたが、話をしても理解がないと思って早々に切り上げて部屋へ戻った。


するとまだ話は終わってないと声をかけられた。

夫の主張は、「親の役目として、食べろって伝えて、食べさせるべきだ。食べなくても良いは、親として違うと思う。お前はまた入院させたいのか。」という事だった。


私も頭にきていたんだと思う。

本人が入院中、私の父親が「摂食障害」の家族向けの本をくれた。私は夫にも読んでほしいと渡していた。

夫はまったく読んでいる様子はなかった。


そうした摂食障害、しかも息子の回避制限性食物摂取症という摂食障害は情報が少ないのにも関わらず、理解する姿勢が感じられない夫に対して静かに相当に腹を立ていたのだ。


夫に対して、「私の父がくれた本は読んでる?障害について理解しようともしないで、障害のことわかってないのに、自分の考えばかり言わないで欲しい。治療の為に入院が必要なら、また入院する。それは、入院させたいとかさせたくないの問題ではない。」と怒気を込めて伝えた。


いつものパターンなのだが、「お前は自分がいつも正しいと思ってる」というような話になるが、さすがに私も子どもの事は引けず、「とにかくプレッシャーになる言葉は本人の回復にいい影響は少ないからやめてほしい」と伝えて、その場の話は終わった。

退院後、最初の外来は2週間後だった。

その日までは、とてつもなく長く感じたというか、再入院になるまで、外来診察までの時間は常に時間の流れが遅かった。


退院して数日は、食事は7割程度食べていた。それでも本人は毎食、かなりの緊張感で、ちゃんと食べられているか不安とよく言っていた。


私は主治医の言葉通り、大丈夫よ〜というスタンスでいたが、本心からの言葉ではなかったと思う。


日に日に食事量が落ちていっていたのは明らかだった。


そんな中、年末年始の休みに突入した。一日三食、家族で共にするのは、とてつもなく苦しかった。

きっと本人も相当なプレッシャーだったと思う。


私は、フルーツでもお菓子でも本人が安心して食べられそうなものをとにかく揃えていた。


しかし、主人はそれを苦々しく思っていたのだと思う。「そんな好きなものばかり用意するから食べられないんだ」と言われてた。


正月休み中に主人が夕飯を作り、盛り付けも主人がして本人に出した。

一生懸命食べ始めていたが、手が止まり泣き出した。

「なんか食べたいのに、色々気にして食べられない」と泣きながら話していた。


私は「そっかそっか、そんな時もある。大丈夫よ。」となぐさめていたが、主人は少し離れたところでゲームをしながら「そんなの。気にしないで、ただ食べれば良いんだよ!」言った。


私には言い捨てたように感じて非常に嫌な気持ちになった。

本人は「気にしないようにしたいけど、出来ないんだもん」とさらに泣いた。


主人はさらに「ただ食べれば良いだけで、簡単な事だろう」というような事をブツブツ続けていた。


私は頭にきていたが、子供達の前で言い争う事もしたくないので、その場は本人のフォローに集中した。