ノンフィクション③ | わにたつまきのお話

わにたつまきのお話

南信州でボソボソと独り言をつぶやくおいちゃんです(・∀・)
釣り、サッカー、ラーメン、薪ストーブ、サブカル少々
まったり更新ですがよろしくお願いしますm(_ _)m


家内の傍らにいた、僕と娘は脳神経外科の先生に呼ばれた

女優の戸田恵梨香さんに似た、若い女医さん…

娘に確認をとると、一緒に聞くとのこと…

先生が

「何年生?」

と聞くので

5年生だと伝えると

「キツいなぁ」

って言っていたなぁ

先生は努めて明るく、僕と娘に説明し始めた

「脳のCT検査の結果、動脈瘤の位置がわかったので、開頭手術をします。」

「手術中もしくは、手術に至る前に動脈瘤が再破裂したら絶命の可能性があります。」

「手術が成功しても、最初の出血で脳のダメージが大きければ、呼吸が戻らないかもしれません」

「意識が戻るのは、奇跡みたいなものです」

もう既に絶望的な状態なんだ…

いくつもの奇跡がなければ、家内の声を聞くことはできないんだ…

娘も打ちひしがれていた…

先生の説明を聞いてから

車で待っていた両親に娘を託した…

その後麻酔医の説明を聞いたが、それはほとんど覚えていない…

そして義両親に連絡した

大学生の長男から連絡も来た

午前中には帰ってくるって

僕はいくつかの書類にサインをした

3:00くらいかな?

手術にゆきますって事になった…

手術まで命は繋がった…

ストレッチャーに載せられた家内の後を追って手術室の前まできた…

家内はピクリともしないまま、重々しい扉の向こうに消えていった…

僕は待合室でひとり待つ事に…

テレビはある…

携帯もある…

漫画や雑誌がすこしある…

当然全てに興味が持てない…

ずーっと起きたことと、これからのことがひたすら頭の中をぐるぐると回り続ける…

そして時間は全く進まない…

何より現実感がない…

知ってる人は回りにいない…

頭はぽわーんとして、夢を見ているみたい…

でも

決してさめない…

夢からさめてみようと試してみたけど、どうにも現実らしい…

不意に男性の看護師さんが待合室にやってきた…

書いてほしい書類があるとのこと…

僕も書こうとしたのだけど、どうにも書けない…

見かねた看護師さんが代わりに書いてくれた

僕の顔は余程凄絶だったらしく、看護師さんが少し話をしてくれた…

「家内さんはかなり重篤ですか、倒れてすぐに救急で命を繋ぎ、すぐに手術をした、我々が考えられる範囲では最速です。」

「家内さんはまだ若いから、回復に向かうと思いますよ。」

看護師さんが部屋を後にした

携帯をチェックすると、娘からショートメール

(ママは◯んじゃうの?)

先ほどの男性看護師さんの言葉を電話でそのまま伝えた

娘はかなり安心したらしい

非常に心強い言葉だったことは間違いない

そしてまだまだ長い時間は続く

ひたすら自分を見つめる

数時間前に家内と過ごした車の中での不思議な時間を思い返す。

あまりにも美しいお別れの時間…

アレが最後なのかなぁ…

本当に最後っぽいからなぁ…

キツいなぁ…

最後の思考はそんな感じで…

7:30

手術が終わった…

手術が終わったって報告が来たって事は、家内は生きてるって事だ

希望は何も持てないけど家内は生きている…

家内と家を出てから8時間位かな??

もっと長かった気がするけど…

待合室で話した男性の看護師さんもそうですが、本当に頼りになります。

看護師さんに何度も救われました。

本当に尊敬いたします。