2026年9月4日(金)
 導電性高分子の研究で世界を切り開き、ノーベル化学賞を受賞した白川英樹さんが、8月24日に90歳で逝去されました。がんのため横浜市内の病院で療養されていたとのこと。葬儀はご家族で営まれ、お別れの会などの予定はないと伝えられています。

(岐阜新聞 2026.9.4より)

 

 白川さんが偶然から生まれた「黒いポリアセチレン薄膜」を見つけたのは、研究室の中の小さな出来事でした。しかし、その“偶然”を見過ごさず、問いを持ち続け、深く掘り下げたことで、世界の科学を変える発見へとつながりました。携帯電話やタッチパネルなど、私たちの日常に欠かせない技術の背景には、白川さんの静かな情熱が息づいています。


 晩年、白川さんは若い世代に「セレンディピティー」という言葉を繰り返し語りかけました。偶然をただ待つのではなく、歩き、考え、失敗し、その先で出会う偶然を“発見”へと変える力。白川さんが伝え続けた「待ち構えた知性」は、これからの科学を支える大切な姿勢として、多くの人の心に残っていくはずです。

 導電性高分子という科学的遺産だけでなく、「偶然を迎えに行く人生を生きよう」という静かなメッセージを、白川さんは未来へ託されました。


長い研究の道のり、本当にお疲れさまでした。
心よりご冥福をお祈りいたします。