みなさん、こんにちは。

 

発達専門の小児科医で

ママ友ドクター にしむらゆみ@3児ドタバタ育児中泣き笑い

日頃から自己肯定感を意識した子育てが、発達特性のある子供を伸ばすという話をさせていただいてます。

そのために「ほめる」ことが重要だと。

特性があるかどうか抜きに、

ほめ方や自己肯定感の重要性に関してはたくさんの方が投稿してらっしゃります。

子供を怒らないでうまくいった!などの記事もたくさん。

行動心理学的にも科学的にも、療育などの教育を行うにしても必要なことであるので、どんどん広まるといいなと思います。

そして、特性のある子供を育てていても、親子で自己肯定感ポイントを貯める『じこポ貯金』しながら育てていってほしいなと願ってます。(じこポ、流行るか?!)

 

さて、今日は育児では避けて通れない

「怒る」と「叱る」の違い!がテーマです。

以前、こちらの記事を書いたのですが、怒ると叱るの違いはまた書きますね〜と言っていたのに随分時間が経ってしまいました^^;


あのね、この2つの違いを頭が痛くなるほど何度も確認してください。

体罰や虐待につながります。

残念ですが、子育て…特に、特性のある子の幼児期の子育ては、常にそのリスクがあります。

 


 怒らないで子供を伸ばせる天才の大人ロールモデルのあるキャラクターについてはコチラを参考にして。



小児科医として断言しますが、子どもはね、年齢や特性の有無に関係なく上手に叱らないと伸びません。

怒ると、逆効果で自己肯定感もガンガン下がっていきます。

ガンガン下がりまくりです、もう勘弁してってくらい下がっていきます。

下がりだすと、子どもは親の言うことを無視するようになるし、どんどん反発、反抗します。

だから余計親はイラッとして怒る、すると子供は自己肯定感を下げられる攻撃は本能的全力回避したいので大人全般を無視する、、、などの悪循環に。

療育したくてもうまく指示を聞かなくなったり、

そう簡単には抜け出せません。

 

 

大人が子どもをうまく叱るには「怒らない」経験……というかトレーニングを積むしかない。

怒る怒鳴る体罰が当たり前の昭和の親に育てられた私たち現役親世代は、怒らない育児と言うものを自分が経験してないケースが多くて、ロールモデルがいないので実践も困難と言っても過言じゃない。

 

だから、うまく叱る自信がある方以外は、ほめて(肯定的に子どもの言動をとらえて)伸ばす方が取り組みやすいし効果もすぐ出ます。

 

ほめるコツをほんの少しお伝えしておくと、特性のある子供を成長させるためには、(特性の程度に関係なく)1日30回ほめてください。

ほめ方は小さく、たくさん!無発語の3歳までのお子さんは1日50回です。

(難しそう?いえいえ、大丈夫。いろんな方が発信してます、私もまた後日まとめますが、すぐ知りたければ参考図書はブログの最後に載せときます指差し

 ちなみに

■1回叱ったら3回ほめてリカバリーするつもりで。

■1回怒ったら、30回はほめてリカバリーするつもりでいてください。

 

「怒る」はよくない、、、わかっちゃいるけどやめられない悲しい

 

(ただし例外として:本人の命の危険がある行為に対しては、反射的に「怒る」行為になっても仕方ない!一刻を争うからね)
 

【怒る】と【叱る】の違い

さて、実践。

この2つの単語を

 6秒見つめてください。

 

 

2つの違いは…気づきましたか?

 

 

 

漢字にもありますよね、下に「心」があるかどうか。 

心が支えるのは「怒」、口で伝えるのは「叱」……

は?って感じですね、怒らない怒らない笑

順番に説明していきます。

 

 

 

心、こころ・・・厄介モノ。

 

ママが車体だと例えると、エンジンは子どもや家族への愛情、こころはアクセルとブレーキでかつ数値でわかるメーター。

プラスに振れていればアクセル(加速前進)になるのですが、マイナスに振れていれば当然ブレーキ(減速、停車)になるもの。

もちろん、アクセルもブレーキもバランスが重要。

 

で、

“怒る”という行為は、一見相手(わが子)のために行っているようで自分(親自身)のためにやっています。

 

というのも“怒る”という行為は、怒る側(親)が何らかの次のような負の感情、マイナスに触れた心がベースにある行為です。

 

怒りという感情は、イライラ、くやしさ、はずかしさ、かなしさ、むなしさ、嫉妬、子どもへの期待が外れての落胆、ねむい、お腹すいた、私の時間を返して!などなどいろんな感情や欲求が重なって出来上がってます。

自分が怒っている状況を思い出してください。

 

これら感情(ネガティブに触れた心)が湧き上がった時、それを同時に相手にぶつけて発散する行為が、“心がこもった、怒る”です。

 

ほんと意識しないと感情をぶつけてしまう生き物なんです、人間って。

湯沸かし器のようにあるいはジワジワと湧き上がった「怒り」感情。

意識しないとその感情は溢れます。

溢れる感情って厄介、一生懸命意識してコントロールしないとなりません。

一気にあふれだした感情はモンスターのように暴れだします。

だから、ダメとわかっていても相手を否定するような言葉も放ってしまうし、相手の自己肯定感を下げてしまいます。

そして、そういう怒ったあとは大抵親って自己嫌悪に陥り、でも防衛本能が働くので嫌悪感を何とかするためにまた相手(子供)のせいにする。

ときには自分のために涙が流れます、そして手が出てしまうのが怒るという行為。

怒る行為は、脅しに発展しがち。

一時的に相手は怖がってその場の指示を聞いたかのようになります。効果があったように大人は思いますが、幼い子どもからすると「なぜいけなかったのか、自分の何が悪かったのか」を理解するより「怖い」だけが強烈に記憶に残ります。するとまた同じ怒られるような行動を繰り返します。なぜ?を理解しないので、そのうち親は怖いからと隠れてやったり、嘘をついたりするようになります。

怒ったあとは、子どもが直後に何かをあらためても、怒られたのだから当然のこと!という感覚に親がなってしまい、褒め言葉をつなげることが難しいです。

 

一方で“叱る”という行為は、相手のためを思って行うため、感情の発散を伴いません。

心を込めて“叱る”とき、それは相手のためなので相手の自己肯定感を下げる言葉は使いません。

叱る時、手は出ません。

涙は出るかもだけど、手は出ません。

相手を思っての涙です。

相手の行為は指摘して注意あるいは否定するけど、相手の人格そのものを否定しません。

一旦は共感し、Iメッセージで伝える(私は、こう思う、こうしてほしかったなどの言い方をする。提案口調)。

〇〇しなさい!と一方的な命令口調にはならない。  

一回じゃ基本的には無理ですが、子どもは、自分の何を直せば良いのかなど、何度も考えることんになり学ぶようになります。

上手に叱ると、その直後に子どもが行動を変えられたとき、よく頑張ったね、よく考えたね、偉かったねなどの褒め言葉をつなげることができます。

 

 

 

 

怒りたくなった時、それをどうにか「叱る」に変更するにはどうしたら良いか?

 

 

1・日頃から「怒る」「叱る」の違いを理解しておく。怒りたいときは、子どもの行動だけが原因じゃなくて、自分にも(時間がない、恥ずかしい、残念などなど)原因があるなど心得ておく。怒りという感情という人間の本能的な部分をコントロールするには理性・知性(知識)が不可欠。本などから入れた知識を、頭の中のライブラリーに、上手な叱り方台詞とほめ言葉とともに蓄えておく。

 

2・怒りたい感情が湧いてきたら、5秒、できたらそれに1秒追加して6秒まつ。(すると感情ピークを超えることができ、冷静さが少し保てる。モンスターを野放しにしないで済む)、ライブラリーから適切なセリフを探す。

 

3・6秒待つためには関係ないジョークだったり、セリフなど何でも良いからじゅもんを唱えて気を紛らわす練習をしておく(アンガーマネージメント協会流)

 

4・最低5秒稼ぐため、怒りたくなる現場を見て「あ"~!!!!!」って口にしたら、そこにもう一つ「あ」をくっつけ「あ〜あ!・・・」るようにする。ため息になるので、少し落ち着く。子どもと現場をよく観察して次にかけるべき言葉を頭の中のライブラリーから引き出す。

 

5・最低5秒稼ぐため、怒りたくなる現場・状況をとにかくひたすら実況中継しながら、頭の中のライブラリーから適切なセリフや肯定的な提案口調で指示がだせるまで話し続ける(私はよくこれをやってます):

「あ〜〜〜あ!はぁ、さっきせっかく畳んだ洗濯物を全部なげてあそんでしまったんだね、ママの努力が水の泡だね、でも仕方ないね、ママがそのまま置きっぱなしにしてたのがいけなかった。そうだね、投げて遊ぶのは楽しいよ、わかるよ、運動不足だよね、うんうん。こうなることは予想できたかも、けどやっぱりママはちょっと悲しくなってきたな、そうだね、ごめんなさいって気持ちになってくれたかな、そしたら一緒に畳んで向こうに持っていこうか、こっちにママと一緒に座ってお手伝いできる人?」みたいな。

 

6・どうにかこうにか、子どもにうまく話せたら、子どもが少しでも反省したり行動を改める素振りがあったら、ありがとう、よく頑張ったね!ととりあえずライブラリーの中の褒めことばをかけまくる。一旦ポジティブな言葉かけモードに入ると、さらにうまく伝えられたり、褒めて伸ばすモードに入れ、親子笑顔でその場を乗り切れます。

 

 

言葉がまだ上達していない子どもでも、社会性に課題がある子でも、うまく叱られれば学びます。怒られたら怖かった、という感情だけのこります。

けど、本当に「怒らない」ってむずかしくて。

 

ママたちは精一杯、毎日休まず子育てしてるから、怒りという感情モンスターとの戦いに負けてしまうことも多いんです。

特性がある子を育てるのって、本当にいろんな感情がセットなのでなおさらです。

 

戦うためには武器を持つしかないんです。

武器は練習して初めて使えるようになります。

武器は脳内ライブラリーの充実とともにどんどん良いものになっていきます。

「怒らない」「上手に叱る」という武器より「ほめ上手」という最強の武器は、案外すぐに手に入ります。

頭の中のライブラリーに褒め言葉をたくさん入れておくといいんです。

 

私も3児のママとして、毎日武器を片手にライブラリーもフル活用して一緒に戦ってます、みんな、エイエイオーあんぐりちょっと不満あんぐりちょっと不満

 

 

 


 

最後に、 頭の中のライブラリーを充実させるための本などはたくさん出てますが、個人的にお勧めしている本を紹介しておきます、ご参考まで。


 

特性のある子だけじゃなく全ての幼児期に役立つ、言葉がけの知識が手に入ります。ロングセラーです。著者は先輩ママさんで、監修は私の恩師です。

 

 

 

 

怒らないためには、できた!を増やせるようどうやって肯定的に行動を捕らえていくか、おうちでの療育アプローチ満載です。

 

 

 

学童期前後で本当に手を焼いている場合は、伝説のカウンセラーの著書も。

 

 

 

 

 

 

言葉かけの変換!といえば楽々かあさんの著書です。関西出身のノリもあってか、さすがだな!と思います。

 

 

 

 

 

 

 

怒る、体罰についてもっと知りたい方はこちら。

友田先生は小児神経科医として研究もすばらしい。

 

 

 

 

 

 

 

3歳以上対象になりますが、この本はベストセラーになるのもわかります、とても簡単に丁寧に書いてあります。特性のある子には少し弱いアプローチの印象もありますが、基礎を学ぶには良い。

 

 

 

 

 

最後になりましたが、6秒ルール、アンガーマネージメント協会が出されている著書など参考にしております。わかりやすく何冊も購入してますw