八代亜紀さんの訃報に心よりお悔やみ申し上げます。


皮膚筋炎についてまとめました。


膠原病は遺伝的要因に加えて環境要因が複数に積み重なって発症するので、禁煙などの生活習慣の改善が、発症を防げるかはわかっていないのが現状です。

 

皮膚筋炎の詳細は以下のサイトに記載されています。


https://www.nanbyou.or.jp/entry/4079

皮膚筋炎/多発性筋炎(指定難病50) – 難病情報センター (nanbyou.or.jp)

 

●膠原病とは、免疫の働きの異常によって体の様々な臓器に炎症を生じる病気の総称のこと。本来、免疫は細菌・ウイルスなど身体に害を及ぼすものから身を守るための防御システムですが、膠原病の方では、免疫が自分の体を間違えて攻撃してしまいます。

 

●膠原病には、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、強皮症、シェ―グレン症候群など30種類以上があり、それぞれ症状が異なり、皮膚筋炎も膠原病の一つです。

 

●膠原病の一つである皮膚筋炎は、筋肉や皮膚などが自らの免疫によって攻撃されて炎症が生じる病気です。

 

皮膚筋炎の症状は、

 

筋力の低下として

腕の筋力低下:髪の毛の手入れ、洗濯物を干す、高い所に物を上げるなどの際に腕が上げづらい。

太ももの筋力低下:階段を昇るのが困難、座った姿勢から立ち上がりにくい。

首の筋力の低下:頭が枕などから持ち上げにくい。

喉の筋力低下;食べ物が飲み込みにくい、むせる、しゃべりにくい。

 

皮膚の症状として

まぶたや手指関節が赤くなり、がさがさして盛り上がって腫れる (まぶたや手指が、むくみ盛り上がり赤くなる)。かゆみを伴うことが多い。

 

肺の症状として

咳、息切れ

皮膚筋炎の中でも、八代さんが発症した「抗MDA5抗体陽性」のタイプの皮膚筋炎は、急速に進行する間質性肺炎を合併することが多く、致死率も高いものとされている。治療方法の進歩が期待されている状況です。
間質性肺炎(間質性肺疾患)は普通の肺炎と異なり、細菌やウイルスなどが原因ではなく、膠原病など患者さん自身の免疫の異常により肺を攻撃する場合に起こる。

 

悪性腫瘍を合併しやすい

皮膚筋炎を発症し、治療してから、悪性腫瘍が見つかることもありますので、治療開始時とその後2年間はよく調べる必要があります。

 

●急速進行性間質性肺炎 

急速な呼吸状態の悪化をきたす間質性肺炎のこと。

通常の肺炎は、肺の末端でぶどうの房のような肺胞に炎症が生じる。間質性肺炎では、肺胞と肺胞の間の壁の部分=間質と呼ばれるところに炎症が生じる。

膠原病の他、「カビや鳥に対してのアレルギー反応」「じん肺」「薬剤」などが原因で生じ、悪寒、せき、息切れ、発熱などの症状を引き起こす。

 

 

 ●頻度など

 皮膚筋炎は、膠原病の中で、関節リウマチ、全身性エリテマトーデスに次いで患者数が多い。約2万人以上の患者さんがいると推定されている。(毎年、1000~2000人の方が新規に発症している)

男女比は、1:3と女性に多い。

発症年齢は、15歳以下が3%、60歳以上25%で、中年発症が最も多い。

 

●治療

薬物療法が主体。主に副腎皮質ステロイド(ステロイド)が使用されている。ステロイド療法が無効の場合などは、免疫抑制薬を併用する。

 

●経過

ステロイド療法は、9割以上の症例で効果を示し、大多数が日常生活に復帰します。しかし、4割の症例で免疫抑制薬も併用されている。間質性肺炎や悪性腫瘍を合併した場合には、命の危険が生じる。

特に、八代さんに生じた急速進行性間質性肺炎では、ステロイド治療と積極的な免疫抑制薬併用で救命できる可能性はあるものの、治療に反応しないで急激に進行する例も報告されている。

 

●様々な新薬の臨床試験も行われていて、今後、保険承認されるものも期待されています。