デルタ株の際には重症者の映像がたくさん入ってきたが、オミクロン株では、現在、軽症・無症状がほとんどのためか南アフリカからの映像も平静。ただし、重症化するかどうかは、今後、若者から高齢者への感染など、約1ヶ月の経過観察が必要かと思う。


●まずはオミクロン株についてわかってきたこと。

 

  1. 南アフリカなどワクチン接種率が低い地域での感染力は極めて強いこと。また諸外国での感染拡大も早いこと。
  2. ワクチンを二回接種して間もない人、三回接種している人でも感染する例が散発していること(免疫逃避をしやすいこと、現在のワクチンの感染予防効果は弱いこと)
  3. 現状では若年者に感染者が多く、約半数は無症状で、残り半数は軽症であること。(ただし、④のごとく安心はできない。)
  4. 今後、高齢者に感染が広がれば、重症者が増えてくる可能性もあり得ること

それがわかるのに、1か月ぐらいはかかる。遺伝子構造、変異などからは、感染力や免疫逃避の可能性は推察できても、重症化にかかわる強毒化するかの遺伝子構造からの推定は不明なので、臨床経過を見る必要があること。これまで国内での波、とくにワクチン感染予防効果がない場合には、新たな感染拡大→若者での感染→年配者での感染の順であった。新規感染者増加から死亡者増加まで1ヶ月あまりインターバルがあった

 

●日本で、第六波が来るとすれば、オミクロン株がきっかけとなる可能性が高いと思います。海外での市中感染の報告からも、日本でも市中感染が生じることは間違いないと思います。

(欧米はデルタ株によるブレイクスルー感染も多いが、日本でデルタ株が少ないのでそれが再燃する前に、より感染力の強いオミクロン株が主流となるように思います。)

第六波が来るとすれば、ワクチンの感染予防効果が減弱する年始ぐらいから波が来るように思います。

水際対策の強度と、感染者および濃厚接触者の隔離の徹底度合いによって、波の高さは変わりますが、医療ひっ迫にまで及ぶかどうかは、オミクロン株が高齢者や持病のある方にどこまで重症化をもたらすかどうかによると思います。

 

●ワクチンはウィルスのスパイク蛋白にくっついて効果をもたらしてきたので変異に対して弱い側面がありましたが、メルク社の飲み薬などは、細胞内部でのウィルスの複製に関する酵素の働きを弱める働きがあるため、オミクロン株に対する効果は十分に期待できます。


日本で承認される日は近いと思いますが、問題があるとしたら、日本での感染者が極端に少ないために、日本人を対象とした治験(二重盲試験)がしにくいことがあげられます。

 

●ワクチンの投与間隔ですが、国際的な研究では、2回接種以降、5か月を過ぎてから感染予防効果は減弱しているという科学的近根拠から、諸外国では、6か月で接種をしたり、韓国などではもっと早めに接種を行っています。

特に、オミクロン株に対するワクチンの重症化予防効果については、まだしばらくはわかりません。

欧米ではデルタ株による再感染も生じています。

ですので、日本でも、デルタ株再感染対策を確実なものとして、オミクロン株の重症化予防効果は不確実ですが効果があるものと予想して早めの接種が好ましいと私は思います。


一番知りたいのは、

オミクロン株に対して、

①ワクチンは重症化予防効果があるのか、

②効果があるとして、2回の接種後、いつごろから減弱するのか、 

③ワクチンの種類によって重症化予防効果は異なるのか

④そもそも、ワクチンの有無に関わらず、オミクロン株は高齢者や持病のある人に感染すると重症化するのか?


 

以下は報道から、忽那先生からの資料です。


重症化リスクは不明だが、軽症で済む傾向を示すデータもある。欧州連合(EU)の欧州疾病予防管理センターによると、EU域内などの感染(3日時点)は16カ国で109件確認され、判明分では全員が軽症か無症状で死者の報告はないという。