オミクロン株が心配な点、まだ不明な点。



●オミクロン株が、とても心配な理由 


①南アフリカで、デルタ株を押しのけ・追いやるように、感染急拡大していること。

 (デルタ株よりも感染力が強く、それに置き換わるような変異株が見つかったのは初めてです。アルファ株からデルタ株への置き換わりのように、デルタ株よりオミクロン株の方が、より感染力が強いことを示唆します)


②南アフリカでは、一か月間弱で、感染者が20倍以上にもなっていること

(11月1日には、107人の新規感染者だったのが、1か月未満で、2465人に急増)


 ③遺伝子の構造上、スパイクたんぱくで32カ所、全体だと50カ所という多数の変異がある。

  (受容体結合部位の変異は、ベータ株では3つ、デルタ株では2つだったが、オミクロン株では10個の変異がある。)


 ④南アフリカ以外の国にも感染が徐々に拡大しつつある


 ⑤香港で確認された例では、ワクチン接種後でも感染が生じていること、空気感染も示唆する症例がいること。

 

オミクロン株で、まだわからないこと 


 ①南アフリカワクチンの接種率は24%程度なので、ワクチン接種先進国でどのように振舞うかが不明(ワクチンの感染予防効果、重症化予防効果については、まだ未知数であること)

 ②南アフリカでの2000人あまりの感染者の詳細がまだ不明な点(ワクチン接種の有無など)

    ③ 南アフリカ医師会からの報告では、

「軽度の病気。症状として、1日か2日は筋肉痛や倦怠感、わずかな咳。これまでのところ、感染者は味や匂いは失われていない。」

 

 

一部報道にあるように、製薬会社各社は、ワクチンの有効性を検証するなど対応を急いでいます。

ファイザーとワクチンを開発した「ビオンテック」は「オミクロン株」に対するワクチンの有効性を判断するデータが2週間以内に得られる見通しを示し、必要であれば6週間以内にワクチンを製造し直し、100日以内に出荷できるとのこと。

 

●今回の日本の検疫強化は、これまでよりも迅速でしたが、内容は甘いものと言わざるを得ません。

オミクロン株の感染力を考えると、10日間待機ではなく、当面は入国禁止として、詳細な情報がわかり次第、状況によっては徐々に緩和していくことを考えるべきと思います。

強い水際対策をすれば、変異株の国内感染拡大まで時間に猶予が持て、南アフリカはじめ、先に感染拡大した国からのさらなる情報が得られる機会も多くなると思います。

 

ワクチン接種率が70%を超えている国での、オミクロン株の振る舞いに関しては未知なところが多いですが、南アフリカと同様なことが生じることも想定しておく必要がありますので、現在、国内で感染が極めて落ち着いているとはいえ、引き続き基本的な感染対策を続けつつ、諸外国からの情報、ワクチンの効果について情報を共有していくとても重要な時期と思います。

あわせて、軽症者、中等症者に対する飲み薬の開発承認が強く求められる時期と思います。