医療に重きをおく医療関係者側の主張と、経済に重きを置いているように見えてしまう政治家の主張がかみ合わなくなってきたこの一週間でした。


菅総理の会見から思うに、大きな感染対策のブレーキを踏まれることなく年末を迎えるようで心配です。

今朝のNHK討論番組でも、分科会の尾身茂会長が、「Go Toトラベル」の運用見直しを含めた人の移動の抑制策が必要との認識を示していますし、日本医師会の中川俊男会長も一貫して「感染防止対策の徹底が最大の経済対策」と主張されていることが印象に残ります。

 

新型コロナ重症者の集中治療は、心筋梗塞、脳梗塞などの治療に比べ、防護服を着ての処置になりますし、院内感染を起こさないようにと、神経をとがらせた上での業務となります。肉体的、精神的疲労は計り知れないものがあるかと思います。

 

私見ですが、医療崩壊のステップには以下があるように思います。


ステップ1 発熱、呼吸苦のある方の入院先を見つけるのに時間がかかる→見つけられなくなる。

ステップ2 発熱のある方の外来診療先を見つけにくくなる→見つけられなくなる。

ステップ3 新型コロナ以外の救急患者の入院先を見つけるのに時間がかかる→見つけられなくなる。

 

ステップ1,2,3なる医療崩壊が生じつつあるとき、肉体的精神的に医療従事者は耐えられない状況となり、最近の報告にもあるように、そのような救急医療の中核である医療機関から離脱していく、集団でやめてしまう可能性があります。

かつて私も病院の部長職として、2004年以降の一連の産科医療崩壊、救急医療崩壊になりかけていたとき、重症者の受け入れ先が見つからない事態に何度も直面し、とてもつらい思いをしました。10病院以上に受け入れを断わられ、東京都から埼玉県まで重症患者を搬送したこともありました。

 


さて、この一週間で、ワクチンの実用化、中和抗体の長期持続など明るい光も見えてきています。

 

この先、

  1. ある程度効果があり安全なワクチンが供給される
  2. 軽症者に対する内服薬が使えるようになる
  3. 冬を越し第三波を乗り越える

 

この三つがそろえば、ある程度の安心が得られるようになると思います。

特に、冬を越し第三波を乗り越えることは、季節的に伝播しやすい新型コロナとの付き合いが1年を超えることなので、一段落を超えるように思います。

ですから、そのためにも、いまこそ、我々は初心にもどり、より一層の感染対策を行っていきたいです。

半年余り、 

①常にマスクを意識し、

②こまめに手洗いをし、

③三密をさけ、

④寒い冬になって不特定多数が集まるときには換気をする、

これらに、疲れてしまうことは人として当然で、仕方ないことかもしれませんが、しかしながら、今が最も大事な時を迎えているように思います。


この冬を乗り越えれば、春の暖かさが、より一層幸せに感じるものになると信じたいです。


そして、政治の力で今こそ医療崩壊を最小限に食い止めるブレーキを踏んでほしいです。



1999年、アメリカから帰国後に書いたブログ