「医学部女子受験生の合格抑制

~男性も女性も均等に働ける医療現場に~ 


医学部合格率の男女比(ハフポスト日本版より)

 


(解説)

ハフポスト日本版は、76の大学医学部から調査結果を得て、男女別の「合格率」を割り出しました、男性、女性それぞれの医学部合格者の数を、受験者の数で割って得た合格率ですから、受験者数に男女差があっても、男女の成績がほぼ同じなら大きな差はでないはず。男子の合格率を「1」とした場合の女子の合格率は「0.86だった。女性差別入試で揺れている東京医科大は、「0.33でした。

女子の合格率の方が低い大学は、76校中58校にも及んでいた。(76%)

 東京医科大以外はすべて、性別による得点操作を否定しましたが、私の個人的見解としては、女子受験生に不利なような仕組みが他の大学でも働いている可能性はあるように考えますし、一部の医学部予備校でもそのように噂されてきました。


                                                             

(解説)

女子医学部受験生の合格抑制は、女性の差別にもかかわることで、国際社会からみても恥ずかしい


他の大学でも同様のことが生じていないかもよく検証すべき


特に外科系では、長時間の労働、宿直、夜間の呼び出しなどの過酷な医療現場が改善されていないため、出産や子育をきっかけに医療現場を離れる女性医師も多いとされてきた。


医師免許をとってから、11年目に、4分の1の女性医師が、仕事をやめているという統計もある。


そんな状況から、今回の騒動のように、長期間にわたって戦力となりうるであろう男性を優遇するという話が生じたというわけである


私も、20年ぐらい前、「女性医師の外科系医局の入局はお断り」、「入局後10年間は結婚、妊娠禁止!」という方針の医局があったことを耳にした。

 

 

●対策案


(解説)

じゃあ、どうしたらいいか。


「女性は結婚や出産で辞めることが多い」というフレーズをよく耳にするようになっているが、以前から私はこれはおかしい話だと思っていた。出産は女性にしかできないが、子育てについては、本来、男性も女性同様に均等にかかわっていかなければならないはず。


これは医療界においてだけでなく、すべての職場について同様の考えをすべきだとおもう。考え方を変えることで、医師のみならず、管理職など、政治家などなど、海外のように女性が男性と同様に活躍する環境が整うことになる。

 

医療界における打開策を三つ挙げてみた。

 

★主治医制でなくチーム医療制の導入。

私が総合病院部長職だったとき、積極的に女性医師を集め、15人体制の医療現場で改革を試みたことがある。海外では、このチーム医療制が主流だ。

チーム医療制。従来、入院患者や外来患者を、一人の主治医が担当するが、この考えを変え、数人の医師で患者の情報を共有し時間交代で患者を診ていく。情報をきちんと共有して、数名のチームでも、同一の医師と同じであり、むしろその方が一人の医師によるミスや見逃しが少ないんだということで患者にわかってもらう、ということを試みた。

(仕事は基本、5時で終了。ただし、手術や急患で時間外労働に当直以外の複数の医師が必要な時は、残れる医師に自主的に残ってもらう。もちろん時間外手当なども配慮する。男性医師、女性医師を問わず、育児などで帰宅しなければならない医師は帰宅させ、残れる医師だけで診療にあたる。)

 

★24時間託児所は、女性医師のためではなく、男性医師、女性医師の両者のために設置すべき。

 

★そして最も大切なことは、医師偏在の是正(診療科ごと、地域ごと) をするきまりをつくることだ。医師数を増やして医師の負担を減らすだけでなく、診療科ごとの医師数や、地域後の医師数をきちんと決めて、医師が均等に負担を背負うようにしていかなければ、医療は崩壊すると思う。


資料

医学部合格率の男女比 (ハフポスト日本版より)

(解説)

ハフポスト日本版は、76の大学医学部から調査結果を得て、男女別の「合格率」を割り出しました、男性、女性それぞれの医学部合格者の数を、受験者の数で割って得た合格率ですから、受験者数に男女差があっても、男女の学力がほぼ同じなら1に近い値になるはずです。男子の合格率を「1」とした場合の女子の合格率ですが、最も女子の合格率が高かった島根大(1.64)から、女性差別入試で揺れている東京医科大(0.33)まで、同じ医学部でも、女子の合格率に大きな差が生じていることが分かりました。平均は、0.86でした。1.0以下の大学、すなわち、女子の合格率の方が低い大学は、76校中58校にも及んでいました。(76%の大学)。

東京医科大以外はすべて、性別による得点操作を否定しました。

 

資料

男女の合格率の格差が大きい大学医学部(読売新聞)


(説明)

 東京医科大が女子受験生らの合格者数を抑制していた問題を受け、読売新聞が医学部をもつ全国76大学から男女別の志願者数や合格者数などの回答を得ました。

そしたら、回答した77・6%にあたる大学で、一般入試での男子の合格率が女子より高かった。さらに、この表にあるように、男子合格率が2倍、3倍に及ぶ大学もありました。