医師が教える正しい「うんちの見方」 

KKベストセラーズ、BEST TIMEに掲載されました。 


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下半身の症状の中でも、特に命や生活機能に関わってくるのが、腸をはじめとした内臓の状態。  


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体内から排泄する便と尿は内臓の状態を知る指針の宝庫 


   日頃、排泄している便や尿。健康度を知る指針と言われるが、実際に何を見ればいいのか。

 「危ないのは血便です。肛門近くの出血ほど赤く見えます。この場合は大腸がんや潰瘍性大腸炎が考えられます。痔だと思ったら、大腸がんだということも。血便が出た時には、迷わず医療機関に行くべきです。黒い便が出た時には胃潰瘍や胃がん、十二指腸潰瘍の可能性があります。臓器からの出血は、腸を通過する間に黒く変色します」。

 形状や硬さは、バナナ状で適度な柔らかさならば正常だ。

 「食物繊維を多く含む食品や発酵食品で、腸内環境を整えることが必要です。そして色と同時に太さも大切。大腸がんやポリープができると、通り道が狭くなって細くなります。腸内環境を整えても便の状態が改善されなければ、病院へ行きましょう」。


 一方で、尿にも様々なシグナルが隠されている。観察することが必要だ。  「白濁していたら膀胱炎、男性の場合は尿道炎も考えられます。血尿は尿路結石や、稀ですが膀胱や尿管、腎臓のがんの可能性もゼロではありません。泡立つ尿はタンパクが含まれているので、腎臓病の可能性があります。また一度の量が少なく、頻繁に出るのも膀胱の異常が考えられます」。

 排便や排尿を少し注意して観察すれば、体の異変を早く察知できるのだ。

 


腹部(腸・便・尿)


 危険信号は色や状態の変化で分かる毎日の観察で異常を発見したら検査を


危険な「尿」チェックリスト 

尿が白く濁っている

血尿が出る

黄色っぽすぎる尿が出る

妙に泡立った尿が出る

尿が少ししか出ない

夜間頻尿が続く


 黄色すぎるのは水分不足。血液粘度が高くなり、脳梗塞の危険度が増す。1回の量が少なすぎる場合は膀胱炎の可能性も。 

 

危険な「便」チェックリスト

血便がある

黒い色の便が出る

便が細くなる


 他に、便が薄茶色なのは黄褐色の胆汁が混ざっているから。白っぽい便が出た時には、胆のうや胆管、膵臓の異常も考えられる。 


下腿痛


 むくみ、痛みの原因は、感じる部位と違う内臓の病気であることも膝を含めた下腿の症状は、生活の質を低下させる


 中高年が感じる膝の痛みの大部分は、関節の軟骨組織がすり減って起こる変形性膝関節症だ。しかし、それ以外にも痛みを出す病気がある。

 「変形性膝関節症は、加齢のせいにして放置すると、やがて膝関節が機能しなくなります。整形外科で適切な治療を受け、筋力を高めることである程度、進行を止めることができます。この他に、膝や足指の関節に突然、激痛が起こるのが痛風です」。


 尿酸の血中濃度が高い状態が続くと、血液に溶け込めなくなって、結晶となって関節などに付着する。すると結晶を処理しようと集まってきた白血球が刺激物質を放出し、炎症を起こして痛みが発生する。

 「対策としては、食物からのプリン体の摂取を、できれば1400㎎以下にすること。また、より大切なのは、1日の尿量が2以上になるように、できるだけ多くの水分を摂る、そして適度な運動をするなど、生活習慣の見直しがとても重要です」。


 それでも痛風の発作は突然起こることがある。

 「そんな時は、患部を冷やして安静にします。マッサージはしてはいけません。鎮痛解熱剤で痛みを抑え、早めに医療機関を受診してください」。

 痛風の激痛は、同時に関節組織も破壊する。放置すると、やはり歩行困難を引き起こす結果になる。他に尿酸の結晶が皮下に溜まる痛風結石、腎臓や尿路にできると腎不全も引き起こす。

  「それによって、片側の足だけむくみが出たり、腫れたりといった症状が出ることもあります。日ごと悪くなっていく、痛みを伴うなどの状態になる前に、医療機関を受診して適切な処置をするようにしましょう」。

 下腿の変化、シグナルは生活の質を落とす一歩手前で食い止めたいもの。生活習慣を見直そうではないか。


危険な「足の異常」チェックリスト

朝起きた時に、足がむくんでいる

足の片方だけが痛む

日ごとに悪くなっている

痛みを伴うむくみ、腫れがある


 朝のむくみが慢性的になっているのは、腎臓病や心臓の疾患の可能性も。片足だけに起こる足のだるさ、痛みは下肢動脈瘤のケースも。 

 

様々な下腿の症状への対処法

(1)変形性膝関節症は、脚の筋力アップで改善を図る

(2)痛風はゆるやかな食事制限と生活の工夫を併行して、薬だけに頼らない

(3)太り気味の人は体重を抑えて、下腿や関節への負担を減らしていく