あなどれない、ふくらはぎの「むくみ」 
腎臓病や心不全の可能性も

KKベストセラーズ、BEST TIMEに掲載されました。 

セルフ診断術【下半身編】



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一般的に腹部は上半身だが、今回は肋骨下を下半身と区分。 下腹部、腰周り、下肢の各部にはどんなシグナルが現れ、どのような病気が隠れているのか。


【便や尿の状態は消化器官等の病気を知らせるシグナル 】

 肋骨から下には、胃や小腸、大腸といった消化器、それに膀胱といった内臓に、腰や下肢といった運動器官がある。年齢を重ねても、健康的かつ、活動的に生活していくためには重要だ。

 「腹部にある内臓のチェックポイントとして注目してもらいたいのは、尿と便です。消化器や膀胱は、痛みを感じる前に排泄物に変化が現れるのです」。

 確かに内臓は、自分の目で直接見て確かめることはできない。尿や便の状態で、初めて調子がわかるのだ。

 「下痢は様々な原因が考えられます。食生活に気をつけているのに長引くようなら、必ず内視鏡検査を受けてください。難病指定の潰瘍性大腸炎やクローン病は内視鏡検査をしないと判明しません。もし何も見つからないのであれば、過敏性大腸炎です」。

 別名〝各駅停車症候群〟。快速や急行だと駅を通過している間に腹痛が始まると、途中下車できないので、いつも各駅停車に乗ってしまうというもの。ストレスで起こる現代病で、患者が増えている。

 「便と尿は色も確認してください。血液が混ざっていないか、白濁していないかなど、腸や膀胱に違和感を感じなくても、トイレで毎回確認することが、異常を早期に見つけるコツです」。

 他にも下肢の各部位の痛みやむくみ、皮膚の変化なども、内臓の病気の兆候であることがある。

 「下肢の関節に明確な痛みがあるのは、外科的な病気であることが多いのですが、運動もしていないのに足指や関節に突然、激痛が走る時は痛風の可能性があります」。

 痛風は日々の生活習慣の積み重ねによって引き起こされる生活習慣病。下肢の関節痛経験があり、健診などで行われる血液検査の尿酸値が男性であれば7㎎/dl、女性は6㎎/dl以上あれば注意が必要だ。


 

腹部

胃腸の病気のサインは、
排泄物を観察するとわかることが多い 

 「空腹時に胃のあたり(みぞおち)が痛むのであれば胃潰瘍、満腹時ならば、胃炎の可能性があります」。その他に大腸や小腸、そして膀胱がおさまっている腹部の異変は、痛みはもちろん、尿や便といった排泄物の状態で知ることができる。ただし、軟便や便秘などは食生活によっても起こるので、色なども含めて観察するようにしたい。 


下腿

ただの“むくみ”と侮らない。
何らかの血行障害が起きている 

 膝から下の下腿はよくむくみを発症する部位だ。「むくみは夕方から夜は誰でも発生しますが、朝になると消えることがほとんど。それが慢性的になると腎臓病や心不全のシグナルです。また、片側だけむくむようであれば、閉塞性動脈硬化症の可能性も考えられます」。何らかの原因で血液の循環が悪くなっている結果だと覚えておこう。 


腰痛の85%は筋力低下が原因。
しかし、ガンの転移も考えられる 

 腰の痛みの多くは、椎間板の問題や脊椎管狭窄症など、加齢や姿勢の悪さによって引き起こされる。その場合は時に外科的な治療が必要になる。「腰痛の約85%は、筋力低下によって起こります。ただし、がんの転移のケースもあり、それによって起きる痛みもあることは確かです」。注意が必要だ。 


原因の大半が膝関節の軟骨のすり減り。
だが、稀に骨肉腫も… 

 中高年の膝のレントゲン写真を見ると何らかの異常がある人が約2500万人おり、そのうち800万人が痛みを感じているという。「その原因の大半を占めるのが、膝関節の軟骨組織がすり減って起こる、変形性膝関節症です。加齢や肥満、運動不足による筋力低下などで起こります」。ただ、稀に骨肉腫などによる痛みのこともある。  


下半身の異常を見分けるポイント

①便の状態の確認は、腸内の病気を知るためのきっかけになる

②腎臓や膀胱の病気の兆候は、尿に現れることが多い

③膝から下に発生するむくみが慢性的になったら、腎臓病や心不全の可能性がある 


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