朝のカンファレンスから・・


今日は僕が研修医及び後輩向けにお話

「挿管困難の評価と対応」



手術室での気管挿管の失敗率は0.035%
ERでの気管挿管の失敗率は1%程度
などという数字がありますが

何としてでも気道を確保しなくてはならないときに、その数千、数万分の一があたらないとは限らないので、しっかりと評価して、代替法の準備をしてから気管挿管を試みましょうという話です


例えば、マツコデラックスがアナフィラキシーでひぃひぃ言いながら搬送されたとします

これはいかんすぐに気道確保じゃ!!
\(゜□゜)/


ということで、鎮静かけて鎮痛して筋弛緩かけて使い慣れたマッキントッシュ型喉頭鏡を用いてトライ!!

あらら喉頭蓋が持ち上がらない・・・
(・・;)

やってるうちにちょっと傷ついて喉頭が浮腫ってきた・・・
Σ(゚д゚;)

バッグマスク換気もできなくなって来た
(°д°;)

輪状甲状靭帯切開をやろうにもお肉が邪魔でできそうにない・・・
(´□`。)

そうこうやっている間に数分でマツコ死亡です



そうならないように、通常の喉頭鏡での気管挿管ができそうか、できなそうなら他の手段はどうか、失敗した時に代替手段が講じられそうかということを考えてからトライしなくてはならんのです


Up To DateのDifficult Airway Managementのところには

・気管挿管・BMV・声門上器具装着・輪状甲状靭帯切開の難易度を決定するため、RSIを行う前に挿管困難の評価をする事を推奨する。挿管困難への認識と計画を誤ると、気道確保の失敗につながる
・BMVの難易度はMOANSを使って予想できる
・喉頭鏡で挿管する難易度は
LEMONを使って予想できる


とあります

MOANSはマスク換気できにくそうな状況の頭文字

Mask seal
Obesity/Obstruction
Age
No teeth
Stiff


ヒゲとかがあって太って高齢で歯が無くてコンプライアンスの低下した肺だとマスク換気できにくいよ!!

ということです



LEMONは挿管困難の指標の頭文字

Look externally
Evaluate the 3-3-2 rule
Mallampati score
Obesity
Neck mobility


顎がちっちゃかったり舌が大きかったり首が短かったり、3-3-2ルールで引っかかったり(写真参照)、マランパチスコア(口を開いてどのくらいノドチンコがみえるか)が高かったり、太っていたり、首が曲がらなければ気管挿管失敗しやすいよ!!

ということです


※注 3-3-2ルール
口、顎、喉にそれぞれ指が3ー3ー2本入るかどうかで挿管しやすいかどうかを評価するやりかたです。



肥満は救急医を悩ませます・・・汗


そんなら、マスク換気も挿管も難しそうならどうするのか?


ここで鎮静して筋弛緩して・・・とやると取り返しがつかなくなるので、慎重に、いろいろなデバイスの使用を検討しながら気道確保するのです

ビデオ喉頭鏡や、エアウェイスコープを使って可視下に挿管したり、気管支ファイバーを用いたり、ラリンゲルマスクなどの声門上器具を使用してみたり・・・・


というわけでレクチャー後半は挿管困難アルゴリズムの復習

当院の研修医は2ヶ月で200件ほどの気管挿管を体験します
かなり自信をもって挿管できる故に、やみくもにトライしがちですが、緊急時でも冷静に戦ってほしいのです!!!


ちなみに
こないだのEMAmeeetingではエアウェイスコープの実習がありました



こんな感じで画面で声門を確認しながら確実に挿管することができます


ただ、つかい慣れていないとなかなかつかえません

喉頭鏡とは挿入の角度や保持の角度が違うので、同じようにやるとなかなか難しい・・・


うちのERにもありますが、あまり使われていない現状・・・

来るべきマツコ襲来にむけて鍛錬を積む必要があります!!!!


ということで、研修医と後輩に

「マツコがERに気道緊急で搬送されたら、どのように評価して、どんなアプローチで気道確保しますか?」

という問題を出してカンファ終了でした


今日は部長とERしてます★

どうやってマツコを助けるかで盛り上がりながらお盆の救急を担っております!!!
( ̄▽ ̄)=3