前回に引き続き、下まぶた手術の合併症を治す植皮手術についてです。
今回は下眼瞼下制術後に外反や三白眼になってしまった方の修正です。
下眼瞼下制術とは、いわゆる垂れ目形成手術のことで、主に日本人をはじめとする東洋人に対し、目の大きさ(上下径)を広げることで吊り目を垂れ目にして優しい印象を与えることを目的とした手術で、日本の広比先生が考案し、世界で最も権威と信頼のある美容外科・形成外科学会誌であるJournal of Plastic & Reconstructive Suregryに2011年に発表された新しい術式です。
下眼瞼除皺術(下まぶたたるみ取り手術)の場合の術後合併症である外反と、下眼瞼下制術後の外反と違う点は、下眼瞼除皺術の場合は加齢でたるんで余っているために当然皮膚を切除するのですが、下眼瞼下制術では垂れ目になるように下まぶたの内部の組織を下方向に引き下げて硬い組織に縫い付け、そのために皮膚が余ったようになるために必要に迫られて切除するのです。
そもそも垂れ目形成を希望する方は若い方が多く、術後に戻したくて修正手術を行う際に、縫い付けた癒着を外しても、最初の手術で若い余りのない皮膚を不要に切ってしまっているので、皮膚が相当量足りなくなってしまっているのです。
それでは、最近の症例(モニターの方)をご紹介いたします。
20代前半の男性で、1年前に都内で垂れ目形成手術(下眼瞼下制術)を受けた後に左がひどく外反になってしまったとのことです。
ご覧の通り、左の外反はかなりひどい状態です。
手術は下眼瞼除皺術後の外反に対する植皮とほぼ同様ですが、前述した引き下げの癒着は垂れ目形成手術後の方が強いため、難易度は高いです。
前回書いたように、植皮用の皮膚は反対側の上まぶたからもらうのが理想ですが、この方は、強い希望で左の上まぶたから植皮用の皮膚を採皮しました。
植皮手術前
植皮手術1か月後
外反はかなり改善しています。
植皮皮膚の一時的な硬さと“つぎはぎ感”が残っています。
植皮手術後1年
外反がきれいに治っています。傷跡やつぎはぎ感はほぼわかりません。
植皮手術前と1年後の写真を続けて比べてみて下さい。
植皮手術前
植皮手術1年後
植皮手術前
植皮手術1年後
ちなみに、この方は他院で目尻切開を受けており、そのために目尻の瞼縁がやや凹凸で赤い結膜(粘膜)部分が見えてしまっていますが、残念ながらこれは治すのが難しいと思います。
下まぶたの他院術後外反修正手術(植皮)は、日帰り手術で局所麻酔で、時間は60~90分ほどです。
リスクや合併症は瘢痕、内出血、感染などです。
治療費用の目安は片目の場合300,000~350,000円です。
私どものクリニックの他院術後の下まぶた修正手術に関するページです。
http://www.keisei.ne.jp/futae/shusei/shita.html
タウン形成外科クリニック