70代、女性です。
眼瞼下垂に対する治療希望にて来院されました。
術前写真を示します。
下垂の程度は左のほうが強く認めますが、右も下垂は存在します。
患者様は糖尿病の合併症により右の視力が低下しているため、左のみの治療を希望されました。
術前に予測されることとして右側の眼瞼下垂が強く出現する可能性が高い点(へリングの法則)についてご説明いたしましたが、
今回は左側のみの手術を希望されました。
※Heringの法則
〇片側の眼瞼下垂を手術した後、下垂のなかった反対側のまぶたが下がってしまう可能性があること
まぶたを引き上げる機能は眼瞼挙筋の作用です。
眼瞼挙筋は脳神経の中の動眼神経による支配を左右のまぶたとも同時に受けています。
眼瞼下垂により片方のまぶたが下がると、脳からの反射作用でそれを戻して引き上げようとする力が左右同時にはたらくため、下がっていないほうのまぶたを引き上げる力も強くなります。
人によっては、下垂しているまぶたが普通に見えて、下がっていないもう片方のまぶたのほうが大きく見開いたように見える場合もあります。
下がっていた側のまぶたが手術で修正されると、脳が「もうそんなにまぶたを引き上げなくていいよ」と指令を出し、まぶたを引き上げる力が弱くなります。
それは下垂を手術した側だけでなく、反対側にも同時に作用するため、反対側のまぶたが手術前より下垂することになります。
改めて術前、術後の写真を示します。
術前➡術後1か月です。
いかがでしょうか?
治療による左側の改善と同時に未治療の右側に下垂の増悪を認めます。
もちろん今後治療を希望されればいつでも治療は可能です。
手術に伴うリスク
出血・感染など
費用は片側ですと15万円程度です。