前回は家庭でできる小児の便秘対策について説明してきました。

 

とはいえ、ご家庭で色々と工夫をしてみても、なかなか便秘が改善しないことは多々あります。

今回は、実際に病院やクリニックで行われるであろう治療について説明していきます。

 

 

|| 病院に受診した時、どのように説明するとよいですか?

 

受診前に、医師が便秘について知りたい情報を、あらかじめ整理しておくとよいかもしてません。

 

診察室で医師が聞きたい内容は、

  • いつから便秘があるのか

  • 排便時に痛みは伴うか

  • 便が出る頻度(週に○回)

  • 血便の有無

  • 水分摂取量

  • 吐き気

  • 食欲低下

あたりを知りたがる小児科医が多いでしょう。

 

 

|| 小児の便秘の治療法について

 

治療は大まかに分類すると

  1. 溜まった便を排出する

  2. 便が毎日出るように維持する

の2つに分けられます。

 

1. 溜まってしまった便をしっかり排出する

 

まず腸に溜まりに溜まった便を排出するのが治療の第一ステップです。

 

上のイラストのように大量に溜まった便を排泄して、腸を空っぽの状態にします。

使用する薬として代表的なのが、

  • グリセリン浣腸

  • 座薬

  • マグネシウム・ポリエチレングリコールなどの飲み薬

などを使用して、便をしっかり排出させます。

 

海外ではポリエチレングリコール(PEG)がよく使用されていますが、日本では保険適応がないため使用できなかったです。しかし、近年、適応が拡大され、使用可能となりました。

 

2. 排便習慣を維持する

 

浣腸などで便を排出しまったら治療は終わりと考えてしまう保護者の方々が多いですが、便秘は慢性的な習慣が原因ですので、すぐに排便リズムが正常に戻るケースのほうが少ないです。

 

このため、毎日排便できるように、しばらくの間は薬でサポートしてあげる必要があります。

具体的には便を柔らかくしてあげる薬を少なくとも数ヶ月、長いと数年間使用してもらうこともあります。

 

経験上ですが、大体6ヶ月ほどしっかり治療をすると、1日1回排便がしっかり出るようになります。

排便習慣が確立してきたら、徐々に薬の量を減らしていきます。

 

急に薬を止めてしまうと、便秘がすぐにぶり返してしまうケースがあるため、薬の減量や終了は慎重に行った方が良いでしょう。

 

 

■ 便秘の治療薬はクセにはなりませんよ

 

『便秘の薬を使うとクセになるって聞いたのですが』と言われる保護者が多数います。

詳しくはこちらで説明していますが、クセにはなりません。

 

 

むしろ、排便習慣を確立させることで、将来の便秘のリスクや、切れ痔のリスクを減らしてあげることができます。

 

 

3. 急に便が出なくなってしまったら

 

2.で説明してきた排便習慣の維持の治療をしている途中に、急に便がでなくなることがあります。このような時は、1.に戻って

  • 浣腸をする

  • 座薬を使用する

  • マグネシウムの量を増やす

などして、排便を促します。

 

急に便が出なくなった時の対処法はあらかじめ主治医とよく相談しておくと良いでしょう。

「〇〇時間、便がでなかったら、▲▲を使用する」

とあらかじめルールを決めて置くとよいでしょう。

 

 

4. 排便記録をつけましょう

 

排便の記録をつけておくとよいでしょう。

記録をつけておくことで、日常の小さな変化であったり、便秘の再発の原因がつかめることがあります。

こちらからダウンロードできます:便秘ガイドライン〈患者様〉

 

 

まとめ

 

便秘の治療は

  1. 溜まった便を出して、腸を空にする

  2. 毎日便が出るように、薬でサポートする

の2つが重要です。一朝一夕に治らないことが多いので、焦らずに気長に治療をしていくとよいでしょう。

 

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