小児科医が腹痛で受診された子供で恐れている疾患の一つが急性虫垂炎です。
一般の方は「もうちょう(盲腸)」といっていますが、虫垂に炎症が起きているため、医学的には「虫垂炎」という名称が正しいです。
▪️ 急性虫垂炎を起こしやすい年齢・性別
急性虫垂炎は3歳未満は稀で、年長児以降に多いです。 ピークは 9〜12歳です。
一生で15人に1人程度が罹患するといわれています。
男:女は2:1で、男児のほうが起こりやすいです。
(かくいう私も6歳の時に急性虫垂炎になり手術を受けました。)
|| 急性虫垂炎の原因
虫垂という腸の一部が閉塞することで急性虫垂炎となります。
閉塞した場所には、糞石、寄生虫、食事などがつまっていることが多いです。
腸の一部が閉塞してしまうため、うっ血や炎症がおこり、様々な症状がでます。
|| 虫垂炎の症状について
典型的には、心窩部(上腹部)に鈍い痛みが始まります。
徐々に、右の下腹部に痛みが移動します。
発熱、吐き気・嘔吐を伴うことが多いです。
さらに進行してしまうと、お腹を軽く触っただけでも、かなり痛がることが多いです。
▪️ 症状がはっきりしないことも多々ある
症状がはっきりしないこともあります。
これは、虫垂の位置が人に寄って微妙に異なるためです。
このため虫垂炎は小児科医の頭を悩ませる疾患の1つといえます。
疑わしいけれども、診断が確定できない場合などは、入院したり、外来に何度か通ってもらって経過をみることもあります。
|| 急性虫垂炎の検査
急性虫垂炎の検査は
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血液検査
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超音波
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CT
を組み合わせて行うことがほとんどです。
超音波で肥大した虫垂を表出できます。
腹部の超音波は慣れている外科医、小児科医、放射線科医が行えば、かなり信頼できる検査ですが、実施する人の技量により、大きく左右される検査です。
超音波ではっきりしないけれども、虫垂炎を疑われるケースでは、腹部CTを撮影することもあります。
造影剤を使用したCTを行うことで、正確に虫垂を表出することができます。
|| 急性虫垂炎の治療について
急性虫垂炎の治療は2通りで
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手術をする
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抗生剤で様子をみる
でしょう。
昔は手術をするケースが多かったです。
抗生剤を使用して軽快したとしても、再発するケースが多いですし、お腹に膿が溜まってしまうケースが多かったためです。
とはいえ、最近は抗生剤のみで様子をみる施設も多数あると聞いています。
手術をするメリット・デメリットもありますので、小児外科医とよく相談されて治療方針を決めるとよいでしょう。
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