『急に吐いてしまって、驚いで外来に受診しました』と相談にくるケースが多いです。

 

乳幼児が嘔吐する原因は様々ですが、

  • ウイルス感染症

  • 食中毒

  • 飲んでいる内服薬の副作用

  • 車酔い

などが代表的でしょう。

 

乳幼児が嘔吐してしまうことは非常に多いですが、そのほとんどが軽いウイルス感染です。

 

なぜ急に吐くのか?

 

乳幼児は前触れもなく、急に嘔吐してしまうことがあります。

これにも理由があります。

 

大人の場合、なんとなく体調が悪い、吐き気がするなど的確に表現することができます。

 

一方で、乳幼児の場合、吐き気や腹痛があってもうまく表現できず、最終的に吐いてしまいます。

このため、保護者の方々からすると、急に吐いたように感じてしまうのでしょう。

 

嘔吐を止めるべきなのか?

 

『こどもが吐いてしまったので、吐き気止めをください』と相談されることもあります。

一見すると正論のように感じるかもしれませんが、少し立ち止まってみましょう。

 

嘔吐という行為は、原因となったウイルスや細菌を体の外に追い出す行為です。

ですので、嘔吐は必ずしも体に悪いことをしているわけではありません。

 

日本の小児科外来で処方できる『吐き気止め薬』のなかで、科学的な根拠のある薬はありません

むしろ、薬を内服することで神経系の副作用が出ることがあるため、吐き気止めを使用するかは慎重に考えた方がよいと思います。

 

年齢別に見た嘔吐の原因について

 

嘔吐の原因は年齢によっても異なります。

小児で最も多い原因は感染症ですが、それ以外でも嘔吐することがあり、年齢により疑う疾患は微妙に異なります。

 

新生児〜乳児早期

 

この時期に大量の嘔吐がある場合、体の大きな異常のサインの可能性があります。

例えば、発熱とともに嘔吐をしている場合、感染症が原因の可能性が非常に高いでしょう。

 

特に3ヶ月未満の発熱は要注意ですので、お早めに受診されたほうがよいと考えています。

熱がなくても、何度も大量の嘔吐を繰り返す場合も、重大な疾患が隠れていることがあるので、受診を検討されてください。

 

例えば

  • 肥厚性幽門狭窄症

  • 腸閉塞

などが挙げられます。

 

新生児や乳児期早期に大量に嘔吐してしまった場合、お早めに小児科で相談してみてもよいと思います。

 

乳児後期〜幼児の嘔吐

 

この時期は急性胃腸炎が原因として圧倒的に多いです。

嘔吐の特徴は、急に始まって1〜2日で軽快することが多いです。

 

胃腸炎ですので、下痢や発熱、腹痛を伴うこともあります。

 

急性胃腸炎以外の原因としては;

  • 周期性嘔吐

  • 風邪など体調不良による嘔吐

  • 尿路感染症

  • 胃酸過多

  • 腸重積

などがあります。

 

受診の目安について

 

1回だけ嘔吐して、その後も元気にしているようなら急いで受診する必要はありませんが、以下の場合は受診を検討してください;

  • 緑色の吐物が出た(胆汁性嘔吐)

  • 血を吐いた

  • ご飯が食べれない

  • 半日以上、全く水分が採れない

  • 一日以上、嘔吐が治らない

  • 腹痛のため眠れない、起きてしまう

  • 血便がある

  • 熱が3〜4日以上続く

などが受診の目安になると思います。

 

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