今回は、風邪の症状がどれくらい持続するのかを把握してみましょう。

  •  「咳がなかなか治りません」

  •  「鼻水がずっと続いています」

お子さんのかぜ症状が「長い」か否かは、保護者によって感じ方が異なると思います。

 

ガイドラインや過去の研究結果が示したデータが、「かぜがどのくらい長引くのか」、「今のお子さんの咳や鼻水の症状は長いのか」と言った疑問に、客観性を持って比較することができます。

 

ガイドラインから見たかぜ症状の期間について

   

症状

イギリス

アメリカ

急性中耳炎

4日

咽頭痛

1週間

1〜2週間

かぜ症状 (鼻汁 etc)

1.5週間

〜2週間

3週間

2〜8週間

気管支炎

3週間

 

アメリカとイギリスの学術団体によるガイドラインを参照してみましょう。

 

 

小児のかぜ症状がどのくらい持続するのかの一定の目安になると思います。平均的な推移ですが、咽頭痛は1週間、鼻水は2週間、咳は3週間前後、持続することがあります。

 

「思っていたより長い」と感じた保護者が多いのではないでしょうか?

 

それぞれの症状の期間について

 

それぞれのかぜ症状の期間についても見ていきましょう。

小児の風邪において、

  • クループ 1-2日

  • 耳痛 2-3日

  • 鼻汁 11-12日

  • 咳 10-11日

  • 気管支炎による咳 13-14日

で半数が回復することが分かります。

 

咳は25日で90%以上の小児が改善しています。

かぜと言うと1週間くらいで軽快すると考える保護者も多いかもしれませんが、意外と症状が長いのが理解していただけると思います。

 

医師からは「風邪はもう治っているのでは」と言われたのですが...

 

臨床医は基本的に保護者の情報と診察した情報から「軽快」を判断しています。このため、保護者の「治った」と医師の「よくなった」に乖離が見られることがしばしばあります。

 

経過(日)

5-8

14

20-21

28

保護者

8%

34%

47%

70%

医師

51%

76%

82%

93%

 

アメリカのデータになってしまいますが、風邪をひいた1週間後には医師が「治った・軽快した」と判断したケースは5割ほどです。

ですが、この期間に保護者が「治った・軽快した」と感じた方はわずか8%です。

 

この辺りのミスコミュニケーションは、今後、埋めていく必要がありそうです。

 

かぜの合併症について

 

最後にかぜの合併症について、どのくらいの頻度で生じるのかを把握していきましょう。

 

合併症

割合

発疹

10-20%*

(5-44)

急性中耳炎

5-18%*

(0.1-25)

下痢

10%**

(4-21)

嘔吐

12%**

(5-23)

肺炎/気管支炎

5%*

(0.1-25)

 

報告によってばらつきは大きいですが、(痛みを伴うような)中耳炎は10%前後、肺炎/気管支炎は5%程度で生じます。

 

そのほか、風邪をひいた場合に蕁麻疹や原因不明の発疹が出ることは乳幼児では比較的多いですし、下痢や嘔吐をすることもあります。

 

医療機関への受診の大まかな目安

 

「かぜは自然に治るという感覚を育てる」のは重要ですが、医療機関に受診する目安を知っておいた方が良いでしょう。

特に自宅で様子をみていて良いラインと、すぐに受診した方が良いの判断は最初は難しいと思います。

 

「何かおかしい?」「不安がある」という感覚は大事に

 

1つ言えることですが、保護者の方々が持っている「何かおかしい」という感覚は大事にしてください。

 

お子さんのことを一番よく知っているのは、医療者ではなく、保護者の方々です。「何かおかしい」「不安がある」ような状態であれば、迷うことなく医療機関に受診するようにしてください。

 

風邪を繰り返しているうちに「このくらいなら大丈夫そう」という感覚が徐々にわかってくると思います。不安のあるうちは、無理せずに医療機関などでご相談するようにしてください。

 

3ヶ月未満の発熱はすぐに受診を

 

3ヶ月未満の発熱(38℃以上)は重症化しやすいのでお早めの受診が必要です。

 

その他、受診した方が良い目安

 

その他、緊急で受診した方が良い目安ですが、

  •  半日以上、水分が全く摂取できない

  •  不機嫌がずっと続く

  •  呼びかけても反応が鈍い

  •  呼吸が苦しそう

  •  けいれん(ひきつけ)を起こした

などは緊急の受診が必要です。

また、

  •  38.5度以上の発熱が3-4日以上続く

  •  鼻水の症状が2週間以上続く(副鼻腔炎などの可能性)

  •  発熱があり、目と口が赤くなっている(川崎病の可能性)

  •  耳を痛がる(中耳炎の可能性)

なども、準緊急ですがお早めに受診された方が良いでしょう。

 

まとめ

  •  かぜ症状の期間

  •  どのような時に受診すればよいか

といった点を中心に説明していきました。

 

詳しく知りたい方は、それぞれの記事リンクをみてみましょう。

 

https://www.dr-kid.net/guideline-uri

 

https://www.dr-kid.net/sysreview-urisymptoms

 

https://www.dr-kid.net/urisymptom-sys-meta

 

https://www.dr-kid.net/fever-less-than-3months

 

 

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