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「咳止めのテープをください」
と外来でお願いされることが多々あります。
また、今回のかぜでは初診なのにすでにホクナリンテープ(ツロブテロール・セキナリン)が貼られているケースも多々あります。
ひょっとしたらこれらテープ類は咳止めと勘違いされていたり、さらに咳止めとしての効果がなく副作用がある点をご存知ない方もいるでしょう。
そこで、本記事では下記の内容を解説します。
本記事の内容
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ホクナリンテープのポイント
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テープ類は咳止めではありませんよ
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テープ類は気管支拡張薬ですよ
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即効性はありません
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副作用もあります
気管支拡張薬のテープは?
かぜや気管支炎でよく処方されるテープですが、
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ホクナリンテープ®︎
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ツロブテロールテープ®︎
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セキナリンテープ®︎
が代表的と思います。
これらテープ類の要点ですが、
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咳止めではなく、気管支拡張薬
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薬に即効性はなく、効果が出るまで6時間ほど必要
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動機・不整脈・手足の震えといった副作用がある
の3点は知っておいて良いでしょう。
ここからは、それぞれを詳しく説明していきます。
ホクナリンテープ≠咳止め
「ホクナリンテープには咳止めの効果がある」と信じている方が沢山いるのですが、実は、本当に咳が止まるのは、ほんの一部のお子さんです(気管支喘息の小児のみ)。
例えば、気管支喘息のある患者さんにホクナリンテープを使用した場合、喘息によって狭くなった空気の通り道が広がるため、呼吸が楽になり咳が止まることはあります。
ですが、外来に受診されるお子さんのうち、気管支喘息があるケースは多くはありません。
このような場合、咳の原因は喘息ではなく風邪であるため、テープを使用したところで軽快することはまずないでしょう。
この貼り薬に咳止めとしての効果は、そもそもありません。
貼付薬(テープ)は胸に貼るだけという簡便さから、保護者の方から絶大な人気があるのは理解できます。
さらに「咳止め」と勘違いして、風邪とひいた時のためにストックしているご家庭も見かけます。
その反面、十分に薬の効果を説明されず、何となく処方されて、何となく使用されています。
ホクナリン・ツロブテロール・セキナリンテープは気管支拡張薬
ホクナリンテープ・ツロブテロールテープ・セキナリンテープの裏には"ツロブテロール"という成分が塗ってあります。
この"ツロブテロール"は、気管支平滑筋のβ2受容体を刺激します。
この受容体が薬の成分で刺激されると、気管支の平滑筋が弛緩して、気管支が拡張します。
単に気管支を拡張させるだけの薬なので、咳止めの効果は一切ありません。
過去に臨床研究で咳止めの効果がなかったというデータもあります
ホクナリンテープは貼ってもすぐに効かない
ホクナリンテープは、皮膚に貼っでもすぐに効果はでません。
テープに付いている薬の成分が皮膚から吸収されて、気管支に届くまで時間がかかるからです。
テープの効果が出るまでに、4時間〜6時間はかかります。
このため、ゼーゼーと喘鳴が悪化してからでは、あまり効果は期待できません。
即効性がないのは欠点でもあり、長所でもあります。
テープの効果はゆっくりと長く持続するため、1日に1回だけ貼付すればOKです。
お薬を頻回に飲ませるのと比べると、とても簡便に使用できるのは、テープの利点でしょう。
気管支喘息のお子さんに使うなら早めに
気管支喘息のお子さんへは、鼻水や咳など感冒症状が出現して、ゼーゼーという喘鳴が懸念される場合に、早めに使用してもらいます。
悪化してからでは遅いので、早めに使用するとよいでしょう。
特に、喘息の悪化が不安な夜などは、あらかじめ寝る前に貼っておくとよいでしょう。
使うべきタイミングもありますので、担当医ともよく相談しておきましょう。
ホクナリンテープの副作用
ホクナリン・ツロブテロール・セキナリンテープは体に貼るだけの薬で簡便であり、副作用はないと考えている保護者が多いです。
しかし、現実には副作用がいくつかあります:
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頻脈・不整脈
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手足の震え
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低カリウム血症
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筋力低下
が代表的です。
また、手足の震えの頻度の研究結果もあり、最大で3割ほどで起きていたという報告もあります。
ただの風邪で安易に使用したはずの薬が、不整脈や手足の震えといった副作用が結果として出てしまうのは、割に合わないと思います。
すべての薬にはメリット・デメリットがあります。
大事なことは、薬のメリットとデメリットを天秤にかけ、必要なお薬を、必要に応じて使用することでしょう。
まとめ
今回はよく処方されているテープ類について、まとめてみました。
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咳止めでなく、気管支拡張薬
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風邪の咳には無効
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適応例は気管支喘息のあるお子さん
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不整脈や手足の震え、といった副作用がある
という点だけでも覚えておくと良いでしょう。
適切な薬の選択と使用は、お子さんの健康を守るのにとても役に立ちます。
よく処方される薬の知識を知ることで、賢い薬の選択に繋がります。
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