マイコプラズマ感染症は、風邪、肺炎、気管支炎を引き起こします。

特に、5歳から12歳の学童に多く見られます。

感染者の約5%が肺炎を発症しますが、軽症の場合は抗生物質は必須ではありません。

 

  マイコプラズマとは?

 

マイコプラズマは、ナメクジのような形をした微生物で、正式名称は「Mycoplasma pneumoniae(マイコプラズマ・ニューモニア)」です。

 

  流行の特徴

 

マイコプラズマ感染症は4年に1度、大流行する傾向があり、オリンピックの開催年に流行することが多いです。

 

例えば、2016年も流行しました。2024年も少しずつ増加してきています。

 

流行しやすいのは秋から冬ですが、春や夏にも患者が見られます。

感染力は麻疹などに比べてそれほど強くはありませんが、飛沫感染するため、家庭や学校などで広がります。

 

  マイコプラズマに感染するとどうなるか?

 

マイコプラズマは気道(口、鼻、喉、気管支、肺)を好むため、風邪、気管支炎、肺炎などの症状を引き起こします。

 

特徴的なのは乾いた咳が続くことです。

 

感染後の症状として、咳、咽頭痛、頭痛が多く、軽症の場合は風邪と区別がつかないことがほとんどです。

痰のない乾いた咳が特徴で、悪化すると気管支炎や肺炎になります。

 

  感染しやすい年齢

 

マイコプラズマに感染しやすいのは5歳以上の小児で、3歳未満では感染が稀で、軽症で経過することがほとんどです。

ただし3歳以下でも、全く感染しないわけではありません。

 

  マイコプラズマ感染の検査

 

マイコプラズマ感染症の検査には以下の種類があります:

  1. 胸部レントゲン
    • 「間質性肺炎像」として淡い陰影が広がり、片側の下肺野に浸潤影が見られます。特に右中葉に多いです。
  2. 血液検査(抗体価測定)
    • 抗体の値が1回で320倍以上であれば診断となります。また、ペア血清で4倍以上の変動がある場合も診断基準となります。
  3. 迅速検査(IgM)
    • 即日で結果が出るため、開業医でよく使われますが、偽陽性や偽陰性が多く、信頼性に欠けます。
  4. 遺伝子増幅検査(PCR法、LAMP法)
    • マイコプラズマのDNAを検出する方法で、精度が高いですが、結果が出るまで数日かかります。

 

  マイコプラズマ感染の治療

 

マイコプラズマ感染の治療について説明します。軽症であれば抗生剤は不要です。抗生剤の選択肢としては以下があります:

  • マクロライド系:クラリス、クラリシッド、ジスロマック
  • キノロン系:クラビット、オゼックス
  • テトラサイクリン系:ミノマイシン

それぞれの抗生剤にはメリットとデメリットがあり、使用には注意が必要です。

 

例えば、マクロライド系は安全性が確立されていますが、耐性菌が多く見られます。

キノロン系は有効ですが、アキレス腱や関節に影響を与えるリスクがあります。

テトラサイクリン系は8歳未満には使用できません。

 

  マイコプラズマ感染の合併症

 

代表的な合併症には、発疹、中耳炎、貧血、髄膜炎、関節炎、心筋炎などがあります。

発疹に関して、「多形滲出性紅斑」という発疹が出現することもあります。

 

  まとめ

 

マイコプラズマ感染は軽症の場合は風邪症状で済みますが、悪化すると気管支炎や肺炎を引き起こすことがあります。

症状が軽い場合は抗生剤を使用せずに様子をみることも選択肢の一つです。

耐性菌の増加により、使用できる抗生剤が限られてきています。