今回、AIと相談しながら作成したアダプターは素晴らしい音を聴かせてくれています。ただ、TAISアダプターの音とはかなり異なり、どちらかというとVoltCellに非常に近い音です。正直なところ、私の耳にはVoltCellよりも良く聞こえます。元気が良くいわゆる尖った感じの解像度の高さを感じます。
一方のTAISアダプターは非常に穏やかです。これはバッテリー+OS-CON+小型リポバッテリーと同じ音です。
この違いはどこから来るのでしょうか。
今回のアダプターが狙ったのは、スイッチング電源のノイズ吸収と、高周波数領域の低インピーダンス化です。
DC電源アダプターなのに、なぜ、高周波領域が重要なのでしょうか?
たとえば、クロック。オーディオのマスタークロックのほとんどは10MHzですし、ネットワークの受け側にはGHz帯で駆動するために基準クロックは1Gであれば125MHzの基準クロック、10GHzのSFP+であれば、156.25MHzの基準クロックが必要になります。つまり、オーディオの周波数、20Hz〜20kHzの1000倍から10000倍もの高周波数領域の話になります。
私はネットワーク機器が今ひとつの音だったのは、この点への配慮が足りなかったのではないかと思うのです。
高周波数領域で駆動するこれらの機器は機器内のDC供給源から電気を供給されます。たとえば、12Vで繋いでいてもDCDCコンバータによって、5V、3.3V、6.3Vなど機器に必要な電圧に変換されて供給されています。その先に高速駆動する機器群があるのです。
たとえば、クロック。125MHzを発生させています。クロックを発生する、という事は、たとえば、2Vの矩形波に近い電圧を125MHz周期で発生させているのです。単三電池を125MHzで繋いだり、切ったりしている、と言うのと同等です。当然のように電圧が発生するという事は電流も発生するわけで、なんと125MHzで電流需要量が変わっているという事に他なりません。
そして、そのすぐ近く、たとえば1cm横では、そのクロックを使った125MHzを分周して、1GHzのクロックでデータのやりとりをSFPポートがしています。つまりここでも1GHzの1.5Vの電圧電流変動が繰り返されているのです。つまり、1GHzで電流供給需要が変わっています。
これだけ考えても、電源電圧を一定に保つのはかなり大変そうだと判ります。
当然、こう言った回路やチップには電源電圧を定電圧化する工夫はしてありますが、じっさいには完全では無くどうしても揺れてしまいます。その揺れは当然のように動作周波数に依存しますから、ネットワークデジタル機器内のあらゆる場所でMHzやGHzの電圧の揺れが発生していることになります。この揺れは当然波として回路内を伝わりますから、回路内はこう言った波の合成波が満ちている、と言う状況になります。これがモアレを形作り、DC領域からGHz帯までの電源電圧の揺れを形成しているのです。
最終的に、それらはDCアダプターへの負荷変動となります。つまり、ネットワーク機器に求められている電源性能はDC領域からGHz領域までに渡る瞬時電流供給能力という事になります。
私がはじめに作った超低内部抵抗のバッテリー電源は低周波数側を保障し、音質を改善していたのです。その後、OS-CONを追加する事で高周波領域を保障し、さらに小型リポバッテリーを追加する事で低周波領域の変動への対処を強化したのです。
実は、TAISアダプターはDC領域から高周波領域までの変動を保障するように設計されたシャントレギュレーターとして動作しています。設計上はDC領域からMHz帯まで保障する設計です。
一方で今回作ったアダプターは低周波領域は普通の電解コンデンサと元々スイッチング電源が持っている低インピーダンス特性を利用し、高周波領域はOS-CONとフィルムコンデンサーで保障しています。ただし、TAISアダプターのように低周波領域を完璧に保障するという設計にはなって居らず、そこまでの性能はありません。
この低周波領域の補完の違いが音の違いになっているのかも知れません。
また、これらのアダプターで重要な事は、ノイズ低減ではは無く、電源の低インピーダンス化を狙っているという事です。
私はその事がデジタル機器においては最も重要なことだと考えています。
だとすると、Petiシリーズのように、コイルを使ったり、また、電源の出力側にフェライトコアがついていたり、電源ケーブルが長かったりというのは全くそうした思想と真逆の設計でそこまで音は改善しなかったのが当然だったと今は判ります。これらのアダプターはおそらくデジタル機器が持つ回路内の電源要求特性を考えず、.ただノイズを減らすことだけに特化した事による構成だと思うのです。
その意味でVoltCellも電源ケーブルが長すぎるのです。あの長さのケーブルがあるだけで高周波数領域のL成分は全く馬鹿にならないほどの値になっていまいます。
少なくともVoltCellがこの構造をとる限り、少なくとも高周波を扱う機器に対する性能はどこかで頭打ちになってしまうと思います。
理想的に考えれば、電源ケーブルは短ければ短い方が良く、TAISアダプターではTAISさんの設計で負荷部分と負荷変動を吸収する部分はできるだけ近づくように設計されています。
実はHYPSOSは、内部の線が4線でおそらく2線を使って電源電圧の揺れをセンシングしていると思われます。これがHYPSOSの音が良い理由で、設計としては負荷部分直近に保障部分をおくことの次善の策だと思います。
今回の試作で論理的に理想的な構成を求めればきちんと聞き分けられるほどの効果があるのだとわかりました。
みなさんもAIと議論しながら理想的なアダプターを作って見ると楽しいですよ!


