以下の記事はあくまでもデジタルでのUSB出力+MC3+USB→Hugo M-Scaler→DAVE→C3900→A200→YG Acoustic VANTAGEという環境での評価で、アナログ出力では今回聴き比べていませんのでご了承ください。
今回、かなり長々とAurender A1000とEVERSOLO DMP-A10を聴き比べました
いくつかのことに気がつき、この2機種の設計理念の違いとも言うべきものに触れた気がします。
この2機種は日本での価格こそA1000 599500円、EVERSOLO DMP-A10 825000円と20万円以上の差がありますが、実は欧米でほぼ同価格で、両機種とも3500ドル前後で販売されています。A1000はほぼその価格で日本でも販売されており、一方のDMP-A10は多少割高です。欧米での評価は概ねDMP-A10に軍配を上げる場合が多い印象です。
今回、この2機種を聴き比べてはっきりと違う点がいくつかありました。
ネットワーク環境の違いによる聞こえ方
まず、Aurender A1000はいろいろな意味で環境に左右されにくく、常に同じような高音質を提供してくれる、という点です。例えば、オーディオ専用ネットワーク環境や高性能ハブのDELA S1があっても無くても多少音の違いはあるのですが、音場はどちらかというと奥に展開して、広く滑らかな音という聞こえ方は変わりません。音の分離感も十分です。
一方のDMP-A10はネットワーク環境次第で音の聞こえ方が大きく変わってしまいます。ホームルーター+TERADAK TCXOハブ+OPT ISO BOX2段重ねという比較的普通のネットワーク環境ではDMP-A10の音は解像感が高く前に音像が迫り出してきます。細かい音はひじょうによく聞こえますが、Aurenderのように音場が奥に広がるという感じではないのです。この感想は、実は評論家の傳先生がご自宅でDMP-A10を視聴されたStereoSoundの記事と全く一致する聞こえ方です。実は、以前この記事を読んで、我が家での聞こえ方とあまりに違うのでちょっと違和感を覚えていたのですが、今回、ネットワーク環境のグレードを落としたところ、まさしく傳先生がおっしゃる聞こえ方そのものだったので、非常に納得がいきました。
ですから、もし、ネットワーク環境にあまりお金をかけたくないなら、Aurender A1000の方がオーディオの経験がある方には、音がいいと感じる可能性が高いですし、お勧めしやすいです。解像感が高くクリアな音がいいなら、ネットワーク環境に関わらずDMP-A10をお勧めしますが、やや元気すぎる気がします。
アクセサリー、ネットワーク環境の効果
また、DMP-A10は非常にアクセサリーが効果的ですが、非常にびっくりしたことにA1000はアクセサリーを使っても『変わったかな?』ぐらいにしか効果がないのです。我が家では絶大な信頼を寄せており、ほぼ全ての機器で音が良くなると感じる、YUKIMU PNA-USB01ですら、ほぼ効果がなかったです。
ただし、電源関係に使った、NCF Boosterと、GND Defenderはどちらも効果がありました。もし、A1000を購入されて、もう少し粒だちをよくしたいと思われるなら、まずはこれらのアクセサリーを試すか、電源を工夫するというのがまず初めに行うことだと思います。おそらくネットワーク環境に大枚を叩いてもコスパが悪いということになってしまう気がします。
一方のDMP-A10はアクセサリーをつければつけるほど、少なくともデジタルアウトの音は良くなります。音場が広がり、音が分離し、リアリティーをまし、前に出てきて言いた音は後ろに展開するようになり、そして、ネットワーク環境の整備が進めば、最終的にはびっくりするほど解像感が高く、音場が広くリアルで気持ちがいい音になります。元気、という表現ではない聞こえ方になるのです。
私のようにアクセサリーましまし、ネットワーク環境ガチガチを目指すなら、DMP-A10のコスパはとんでもなく高いと思います。おそらく今聞いているDMP-A10の音は全くの数百万円の機器と比べてもそれほど見劣りしないと思うのです。
誰にどちらがお勧めか
Aurender A1000は、ポン置きで多分普通に聞いたらびっくりするほど音がいいと感じると思います。音は刺激的なところがなく、滑らかで、音場は奥に展開します。ただ、解像感が高くとにかく精細な音、という感じではありません。穏やかという表現が合っていると思います。また、どの環境でも同じような音を聴かせてくれる可能性が高いと思います。これは、音源データを一旦機器内のキャッシュに貯めてから再生することに由来します。不思議なことにネットワークエラーでネットにつながっていないのに以前再生した音源は機器内のキャッシュから、きちんと再生されるのです。ですから、下手をするとネットワークエラーに気が付かないほどです。
こういった特性を考えると、あれこれいじりたくない、買ったらすぐにいい音で聞けて、そのままでいい、という方にはお勧めです。一方で、私のようなマニアで、いじり倒したい、という場合には、あまりやりがいが無い機器です。
DMP-A10は工夫次第で音がどんどん変わります。買ってすぐも音は非常にいいのですが、Aurender A1000と異なり、環境によっては非常に元気がよく、音が前に飛んでくるように聞こえますし、環境によっては音場が奥に展開し、高解像度のいかにもハイエンドのようにも聞こえます。ここがAurender A1000と決定的に違い、環境次第で音の聞こえ方が変わってしまうのです。
ですから、DMP-A10はとにかく自分好みの音を作り上げたい方とか、もしくは解像度が高く音場も広くビックリするようなリアリティーのある音を目指したい、そのためにはネットワーク環境をいじり倒すし、アクセサリーも買いまくる、という方であれば最適な選択肢です。
私は、なぜ、DMP-A10よりもAurender A1000の方が人気があるのだろうと不思議でしたが、今回の聴き比べでその一端がわかった気がします。ネットワークってなに?って方にはAurender A1000の方が満足度が高いだろうなと思いますし、イマイチな環境だと、DMP-A10は音が元気に前に出てきてしまうので、かなり好き好きが変わると思うのです。
また、私自体は、DMP-A10で正解だったなとも安心もしました。
結論というかまとめ
Aurender A1000は、音楽愛好家の方にお勧めしやすく、ネットワークに疎くても、ただ自宅のLANに繋ぎさえすればおそらくかなりの高音質で音楽を楽しむことができます。
一方でDMP-A10はレーシングカーのようなところがあり、元々の性能も高いのですが、普通に繋いだだけでは音の解像感が高く元気で前に出てくる音になってしまいます。ただ、チューニングして行った時のおとは別格です。A1000では到達し得ない地点に連れて行ってくれます。
この2機種はどちらも買って損がない機種だと思うのですが、方向性がまるで違いますし、特にDMP-A10は聴く環境でも大きく音が異なってしまいます。
もし、購入を検討されるのであれば、ショップでの試聴のみで購入するのは危険だなと思います。特にDMP-A10はその傾向が強いです。ぜひ、ご自宅の環境で聴き比べてから、ご自身の今後のオーディオとの付き合い方なども含めてよく考えられた上で購入された方が後悔がないだろうなと思いました。


