ある方からVoltCellはバーンイン不足だから100時間通電してからもう一度レポートをと指摘されました。実はこう言った指摘はたびたび受けますし、できるだけ通電後にレポートするようにはしています。ただ、実際には通電直後の印象がその後の100時間の通電で大きく変わることは滅多にありません。

 私の実感

これは都市伝説なのでしょうか?ただ滅多にはないのですが、私自身も過去にGoldmundのプリアンプを中古で購入した時に1週間で別物というぐらい音が変わるという経験もあり頭から否定はできないなと感じています。


冒頭にも述べましたが私自身は機器のWarming Up 以外では少なくともOCXOなど温度依存性の高い機器を使ってのものは別としてバーンインの効果を滅多に感じません。Warmingは非常に重要で、一旦冷えてしまうとアンプの音などは大幅に変わってしまう事が多く、試聴の時には電源を切る時間は最小にしています。



またケーブルについては交換直後には音が変わってしまうという経験はしばしばします。そして最も変化が大きいのは繋いでから数分から数十分の間だなと実感的には感じています。私はこのケーブルに起きる音の変化の大部分は接点部分の変化なのではないかと考えています。


 エージングの原因を推測

では良く機器で100時間のバーンインが必要と言われるのはなぜなのでしょうか?


コンデンサの中には対数時に比例して容量が減ってしまうものがあります。例えばMLCCは10時間で2%、100時間でさらに2%、1000時間でさらに2%、10000時間でさらに2%と容量が減少する事が知られています。これは電解液が結晶化するためで、半田付けでなどで125度以上の高温にさらされると結晶が崩れてリセットされますから、一般的には放置された部品でも普通に使えます。ただ機器内で普通に使う分には数年経つと20-30%も容量が減ってしまう事が普通に起きます。

設計時にこれを見越して選定し容量にそこまで厳密ではない部分に使う事が望ましいとされています。

ただし、ここでの時間は半田付けしてから、なので製品が手元にきた時には初期の容量低下はすでに収まっているということになりますし、そもそも通電とは関係がありません。


では実際の部品で、初期不良の選別以外にバーンイン100時間を説明できるか、と言えば、コンデンサが最もあり得そうです。例えばポリマー系やハイブリッド系のコンデンサなどで半田付時の高温で漏れ電流が増え、定格以内の電流を流すと修復してゆくという現象があるようなので、これはあり得るかもです。例えばニチコンのFPCAPは半田付やリフローなどの熱負荷で一旦数μAから数百μA漏れ電流が増えると書かれています。


抵抗も温度や使用環境や使用時間で抵抗値のずれが起きるのでこれも候補ですが、たった100時間で音が変わるほど抵抗値が変わるとも思えません。


と言うわけで部品特性が100時間で変わり音に影響するとなると半田付けやリフローの熱負荷で漏れ電流が増えたコンデンサの修復過程で漏れ電流が減少していく過程を感じている可能性が最も高いのではと思います。これなら通電によって回復するのであり得る話だと思います。それ以外ではもし本当に音が変わるとなったら説明困難な気がします。