ある方から、この記事について、売ってないものの宣伝で刺さらない、という批判をいただきましたので、内容を書き直しました。全く宣伝の意図などないのに、、、、

 

TAISアダプターについては、今後、手作りの試作品を先行して数台作る予定です。もし、是非とも試聴したい、と仰る方が居れば、個人的にメッセージをいただければ別途対処いたします。

 

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デジタル機器の電源に何が最適なのか、という時に良くリニア電源をベストだとあげる方が多いと思います。リニア電源は高周波のスイッチングノイズを出さないからです。

 

しかし、です。本当に高周波のスイッチングノイズが悪なのでしょうか。そもそも、それが無い電源がデジタル機器に取ってベストなのでしょうか。

 

はじめの疑問は、リポバッテリーを使ったときに現れます。

そもそも、バッテリーで駆動するのですから、電源由来のノイズは0です。ここで言う、バッテリー駆動とは素のままの電圧を用いるバッテリー駆動で、よく巷にある、リチウムイオンバッテリーを使ったポータブル電源の5V、ではありません。そもそも、リチウムイオンバッテリーの使用電圧は、素のままだと、4.2V〜3.5Vの間で使う事がほとんどですから、常に5Vで給電できているということは、昇圧しているか、もしくは、2個直列にして、降圧しているかのどちらかです。こういった電源は、スイッチング電源と全く同じですから、ここで言うバッテリー駆動には当たりません。

 

3S(リポバッテリーを3つ直列にしてあるパッケージ)のリポバッテリーの電圧は、12.6V〜11.0V程度の間で良好に使用できます。ですから、12Vの器機であればそのまま利用出来ます。バッテリー直結ですから、当然ノイズはありません。しかし、3Sのリポバッテリーを徐々に並列化していったところ、4並列で音質がガラッと変わり、その後は12並列ぐらいまで音質は向上し続けました。

 

これがきっかけになって、当時はStreamerのNeoStreamの電源として使って居たのですが、もしかすると、ノイズより重要なものがあるのかも知れないと思うようになりました。そもそも、リポバッテリーの12並列時の瞬間電流供給能力は、リード線に規定されますが、1000Aを楽に超えるのです。ここがもしかすると重要なのかもと思ったわけです。

 

その後は、低ESRのコンデンサバンクを用い、その取り組みをTAISさんがブログで読んでくださり、直接メールでアドバイスを頂くようになり、TAISさんは回路シミュレーターでリポバッテリーとバルクキャパシタの振る舞いを解析してくださり、DCプラグ直近にもう一つの小型リポバッテリーを繋ぐというアイディアを出してくださいました。

 

さて、こう言ったちょっとおかしな構成の電源をシミュレーターで解析してみました。

すると驚くべき性能である事が判ったのです。下表はChatGPT 4oの力を借りて、作成した。現状にある低ノイズDC電源の例です。一番下にTAISアダプター(

リポバッテリー型)+リポバッテリー駆動がかいてあります。

 

 

方式 構成 得意領域 長所 短所 主な応用例
バッテリー直給電 バッテリー単体で機器に電源供給 DC〜kHz ACノイズゼロ、超低周波の安定性抜群 容量・寿命制限、充電管理が必要 オーディオDAC/プリアンプ、脳波計、微小信号測定
スーパーキャパシタ併用 バッテリー+大容量EDLC/スーパーキャパ Hz〜kHz(急変動対応) 急激なパルス負荷に強い、寿命が比較的長い 高価、自己放電が多い EV、UPS、パルス負荷の産業機器
階層デカップリング(従来型) バルク電解(100µF〜mF)+中容量(10〜100µF)+MLCC(0.1〜1µF) kHz〜数百MHz 部品が標準化されていて設計が容易 超低周波(Hz〜数十Hz)は弱い FPGA、GPU、一般の高速デジタル回路
フローティング電池電源 AC系統と絶縁したバッテリー DC〜kHz グラウンドループ排除、ノイズ孤立 容量制限、充電・管理が必要 医療機器、精密測定器
バッテリー+超低雑音LDO バッテリー → 低雑音リニアレギュレータ(LT3042など) DC〜MHz バッテリーの低周波安定性+LDOの高周波ノイズ除去 部品コスト、電圧効率低下 周波数標準器、クロック源、計測器
スタビライザセル方式 小型Li-ion/LiPoセルを負荷直近に直並列配置 Hz〜100kHz パルス電流を直接吸収、インピーダンス極小 セルの安全性管理が必要 軍用機器、無線機、産業機器
TAISアダプター(局所バッテリー+バルク+MLCC三層) メインLi-ion 4並列+OS-CONバルク(mF級)+小型LiPo局所並列+MLCC群(0.1/1/10µF) DC〜数十MHz(ほぼ全帯域) 超低周波〜高周波まで一貫してインピーダンス低下、特にネットワークオーディオで効果大 回路規模がやや複雑、安全設計(逆流・発熱対策)が必須 オーディオ機器、精密計測器、通信装置、ロボティクス

 

 

 

さて、では各型を12V電源として、0W〜12Wの電力がある周波数で瞬間的に変動する場合に、どの程度、電圧変動が起きるのかをシミュレーターでグラフ化してみました。
 
一番下が、バッテリー駆動のTAISアダプター+プラグ直近に少用量コンデンサを追加したものです。プラグ直近にも小型コンデンサを配置したことで、DC領域から、高周波領域まで、電圧の低下は最も小さくなっています。
 
おそらくバッテリー版TAISアダプターがもたらす別世界の音質はこの電源電圧の頑健性がもたらしているのだと思うのです。実は、デジタル機器内部回路には、半導体素子が発生させるスイッチングノイズが満ち満ちています。それは回路内で、互いに干渉し合って、モアレとなり、DC領域から数百MHz帯、さらにはGHz帯までのノイズとなり、電源電圧の変動をもたらしています。問題は、高周波帯のノイズについては通常のコンデンサを用いたノイズ対策で除去できるのですが、低周波帯の変動の除去が難しいという事です。そして低周波部分であっても、実は電源電圧の変動はクロックの動作に影響してしまいます。小型リポバッテリーをプラグ直近に配置したバッテリー版TAISアダプターはこの低周波の変動部分をmVオーダーに低下させるのです。
 
下図は、TAISアダプターの他の電源との効果的に作用する周波数帯の比較です。
一番上のバーがバッテリー版TAISアダプター+リポバッテリーとなります。このようにリポバッテリーに低ESRのバルクキャパシタ、小型リポバッテリー、さらにはプラグ部の少容量コンデンサを用いる事で、100MHz程度で負荷が変動したとしても、非常に有効に電源電圧の変動を抑え込むことができるのです。
 
音だけを頼りにリポバッテリー型TAISアダプター、さらにはTAISさんが発明した、リポバッテリー+バルクキャパシタを代替する回路による非リポバッテリー型TAISアダプターと開発してきましたが、ChatGPTの力を借りて、回路シミュレーターを作り、シミュレーションをしてみると、この電源が実は世の中に全く無いほどの広い周波数帯の電流変動にも対応可能な超低インピーダンスDC電源となっていることが判ったのです。
 
音を聴く限り、こういった電源をデジタルオーディオ器機に用いると、全く予想だにしないほどの、素晴らしい音質が得られる事は間違いありませんし、他の電源でこれを達成する事は不可能だと思います。
 
今回、Top WingさんのDC Power Boxと、TAISアダプターを聞き比べて、その音質差にやはりという思いを強くしています。
 
リニア電源は電源側のノイズを減らすことには有効ですが、器機の電圧変動には何の対処もできません。何故なら、高周波帯で負荷が変動するデジタル機器の電力供給は、リード線が長いだけで数十nHというインダクタンスを発生してしまうために、本体がどんなに優秀でも電力需給変動を吸収しきれず、結局は、器機への供給電圧は変動してしまうからです。
 
私はデジタル機器にはどんなに優秀なリニア電源を使ったとしても超低インピーダンス電源の音には敵わないと思うのです。。サイズを無視して、数千ワット級の電源を作りプラグに小型コンデンサを組み込めば同じような動作になるでしょうから、可能かも知れませんが、それも電源からのリードが10センチ程度であれば、という話です。
 
デジタル機器を最適に動作させることができるDC電源は、デジタル機器が発生する、DC領域から、100MHzオーダーまでの電力変動に追従し、電圧の頑健性が担保される電源であると、思います。つまり、外来ノイズを減らすのでは無く、器機内のノイズにいかに対処するかが最大の鍵なのです。その意味で、リード線に工夫をしていないリニア電源は全くの無力です。