OTOTENでブライトーンのブースでお話しをした営業の方から、A8を持って週明けに私の行きつけのショップに行く予定だというお話しをお聞きし、A6とA8の機器の比較試聴をしたいので、是非、A6も持っていってもらえないだろうか、とお願いしてから、わずか1週間で、両方の試聴をさせて頂けたのは、ブライトーンの営業の方と、ショップの方のご厚意には感謝の言葉しかありません。

 

私は、余りに良くない場合には、このブログに感想を書くことはないので、これまでの機器も感想を書いたという事はそこそこではあったという事になります。書いていない機器も実は結構あります。

 

さて、今回お借りした中で、私はDMP-A8を注文しました。納期はわかりませんが、まあ、1ヶ月ぐらいみておけば良いかなと思っています。

 

今回は、DMP-A8のまとめと、少し補足的な事を書こうと思います。

 

 

 DMP-A8、DMP-A6の質感

まず、EVERSOLO DMP-A8、DMP-A6の質感ですが、これは値段からすると極めて高い物があります。RCA出力端子は金メッキの高級機に使われるタイプのネジ止めのしっかりした物が使われていますし、各端子はきちんと離れて配置されており、どんなに太いケーブルも問題なく刺さります。入力端子も同様です。最近は20-30万円台の機器でも端子が極めて狭い幅しかないものが散見される中、非常に使いやすく、私の様にデジタル出力のために多くのアクセサリーを使ってデジタル信号の純化を図りたいと考えている人間には極めて使いやすい仕様です。

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この端子の質感だけでもわくわくします。

また、筐体はアルミでできており、側面には放熱用のリブも刻まれており、上面には彫り込みでEVERSOLOと記載があります。

全体に筐体の質感は極めて高いと言えます。残念ながら、D & Mホールディングスの同格帯の製品とは比べるべくもない感じです。勿論、EVERSOLOの質感の方が上です。

近年のインフレ激しい、オーディオ業界で、この製品がスイスやドイツ、イギリスなどのメーカーから発売されていたら、150万円といわれても全く違和感はありません。

 

 

 操作性

全ての操作を試したわけではありませんが、極めて操作性は良いという印象です。A6とA8とではホーム画面のデザインが違うのですが、やれることはほぼ同じ感じでした。液晶画面はタッチパネルになっていて非常にスムーズに操作できます。

例えば、DELA N1A/3内のファイルを内蔵SSDにコピーするのは、

ホーム画面から、写真の様にfilesを選び、表示された中から

 

SMBを選択すると、NASが表示されます。

それをクリックして開くと

こんな風にNAS内のフォルダが表示され、コピーしたい項目を長押しすると、

チェックマークがつけられる○がフォルダの名前の右端に表示されます。そこをクリックして、上の写真の指の先にある、SSDをクリックしたところが上記の写真です。ここでOKを押せば高速にコピーが始まります。

クリックと長押しでほぼ全ての操作が完結し、入力が必要な場面ではソフトウエアキーボードが出現して入力できるようになります。

とにかく、これまでのオーディオ機器の操作性とは一線を画しています。おそらく、スマホのアプリなどをきちんと開発した経験のある優秀なエンジニアが居るのだと思います。

 アプリの操作性に関してもかなり良いです。ただ、私にはTAKTINAのほうがわかりやすいなと感じました。

これがホーム画面で、ここからほぼ全ての操作が可能ですが、ファイルコピーは本体の液晶画面からしか操作できませんでした。

 

 

 内蔵SSD

内蔵SSDからの再生音は素晴らしい物があります。おそらくアクセサリー盛り盛りにしたDMP-A8の内蔵SSDからの再生音を200万円未満の機器で明らかに上回る、というのはかなり困難なのではと思いました。それだけのパフォーマンスをこの機器は持っています。おそらく内部のノイズ対策や電源の設計が徹底されているのだろうなと思います。それぐらい足腰の強さを感じる音でした。その素晴らしい音を得るには内蔵SSDが必須なのですが、M.2 NVMeに対応したSSDであれば使用できますが、蓋とスロットの間が非常に狭いので、平面ヒートシンクを搭載したSSDを購入する必要がありそうです。

これはSSDの蓋を開けたところです。このようにかなり取り付け位置は狭く普通のヒートシンクはつかえてしまうと思います。取り付けられていたSSDはLEXARの薄型グラフェンヒートシンク付のSSDでした。こういった薄型ヒートシンク付の物が良いのではないかと思います。

 

 

 音質

今回の試聴では同軸デジタル出力しか試していません。同軸デジタル出力では、Roon Bridgeとしての再生、AMASON MUSICの再生、内蔵SSDからの再生を試しました。

Roon Bridgeとしての再生では素の状態ですでにかなりいい線に行っています。音の分離感、音場感、透明感などはこれだけで十分な音を備えていると思います。アクセサリーをつければつけるほど、音の透明感が上がり、ノイズフロアが下がってさらに音に繊細さが加わっていきます。つけるだけアクセサリーをつけた状態での音は、現行システムちかい音質を持っています。これまで試聴した機器の中では最も現行システムに近づいたと行っても過言ではありません。さらに驚かされたのは内蔵SSDからの再生音です。これは、明確に現行システムの音を越えてきました。非常に繊細で、柔らかく、解像感の高い音です。システムが行き着くと解像感が高いの音が柔らかく感じるようになるのですが、わずか33万円という値段でそういった音を聴かせてくれることに驚愕しました。

 

いずれ、EVERSOLOから上位機種が出るのではと期待しているのですが、現状でもこの内蔵SSDからの再生音はハイエンドの機器と十分張り合える、場合によっては凌駕するだけの音質を持っていると思います。

 

 

 総評

これまで自宅で色々な機器を試聴してきました。自宅試聴器を返したくない、と思ったのはDAVEに続いて二度目です。ケーブル類ではInakustik LS2404 Air、BJ-Electric KAM-Xなど幾つか返したくないケーブルはありましたが、このDMP-A8の内蔵SSDからの音は柔らかく、解像感が高く透明な本当に気持ちがいい音で、心からこのまま自宅に置いておきたいと思いました。

質感、操作性、音、これが33万円で買えるのであれば格安以上です。価格破壊と言って良いと思います。残念ながら、DENONやMarantzの同様の機器が勝てる見込みはまるでありません。全くの別物です。

今回、EVERSOLOのDMP-A8、DMP-A6を試用してみて、私は日本の現状に強く危機感を覚えました。果たして日本がこういった製品を世に問うことができるのだろうかと。SOULNOTEやSforzatoなどハイエンド機器を世に送り出し、素晴らしい音を聴かせてくれているメーカーは日本にもあります。しかし、しかしです。事、デジタル機器に関しては操作性も含めてソフトウエアが不可欠なのです。その点はまるで遅れを摂っていると言って良いと思います。

価格もしかりです。果たして日本のメーカーでこの機器を30万円台で世に出せるメーカーがあるのでしょうか? 中国はいつの間にか非常に裾野が広い産業環境が整った国になったと思わざるを得ません。しかもコスト以上の製品を供給してくれる国にです。

今から50年ほど前、1970年代半ばぐらいから1990年前後までは世界の中で同じような立ち位置に日本が居たのだと思います。しかし、今や見る影もありません。

 

DMP-A8は私に、そんな感慨をいだかせるほど完成度が高く、音も素晴らしい製品でした。この機種はこれからオーディオを本格的にはじめてみようという方に取っては購入の筆頭にあげるべき機器でしょうし、ネットワークオーディオのさらなる質の追求を考えていらっしゃる方に取ってもまずは聴いてみるべき機器だと思います。HIVIの100万円未満のベストバイというのも全く納得できる機器です。おすすめです。