fidata AS2を3日間使ってみての所感です。

 

接続端子など使い勝手

まず、この機器は、ほぼ何でもできる、やりたいことが全てといって良いぐらいできる機器だという感触です。ネットワークサーバーと言うよりも音楽専用OSを積んだPCといった方が良いです。

fidata OSに、Roon Optimized Core Kitを仮想的にインストールするという裏技のような仕組みで、単一の機器であるにもかかわらず、IPアドレスは2つ振られますし、Roonとfidataの並列動作が可能になっています。ですから、Roon Coreとして稼動させながら、Amazon Musicを再生する、という事も可能なわけで、その意味ではほぼPCレベルのことができると思って良いです。

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接続端子は、オーディオ用USB端子(これは、fidata, roonの排他的使用です)、光、同軸、AES/EUBデジタル出力端子(この3種はfidataのみ使用)、CDドライブやストレージを接続するUSB端子が2つついています。

 

その他、LAN端子が2つ、SFP端子が一つあり、ほぼ全てのやりたいことがやれる感じです。

 

Amazonとroonを一機種で両方稼動できるのは非常に便利です。操作は全てfidata appから行い、かなり細かな設定も可能です。使いこなしがありそうです。

 

という訳で操作性や使い勝手は非常に優秀と言って良いと思います。

 

音質

Roon Coreとして

少なくともfidata AS2をRoon CoreとしてAC電源で用いる限り、我が家のSilent Angel Z1 + リポバッテリー+TAIS コンデンサバンクの組み合わせをRoon Serverにした音には残念ながらかないませんでした。特に低域の解像度が明らかにZ1の方が勝っていました。

しかし、その差は大きくなく、fidata AS2をバッテリー駆動+TAISアダプターとした場合には容易に逆転可能だと思われます。

fidata AS2のDCアダプターは、LEMO社のFFG 2B 302という型番の商品が適合すると思われますので自作ケーブルの作成も可能です。ただ、この端子、一個で9000円以上と極めて高額です。

 

Roon 再生機として

オーディオ用USB端子をRoonで使用するようにして初めて、Roon 再生機としての再生が可能となります。その音質は悪くはないです。音に厚みがあり、解像感も高く非常に良い感じです。特に、fidataのオーディオ器機用LAN端子にNeoStreamerの音に接続すると音の解像度が明らかに上がります。おそらくバッテリー駆動や外部電源の使用で現在の環境を越える可能性は十分に有ると思います。

しかし、現時点、つまりAC電源で、という事を考えると、Silent Angel Z1+バッテリー+TAISアダプター+NeoStream +バッテリー+TAISアダプターの音とはどちらが良いかというと難しい問題で、私自身はSilent Angel Z1を中心とした現状の音の方が良いと感じますが、音の厚みが重要と考える方は、fidataのオーディオ用LAN端子に繋いだ場合は、fidataのほうが良いと感じると思います。

 

Amazon Music 再生機として

我が家での比較はSonore Optical Module+DST Lacertaをバッテリー+TAISアダプタで武装した物との比較です。これは微妙でした。音の質が違う感じで、fidataのほうが厚みがあり、DST Lacertaのほうが繊細で好き好きの範疇でした。少なくともfidataが圧勝という事は無いです。

 

ファイルサーバーとして

Roonのファイルサーバーとして、fidataを指定し、さらにfidataをRoonCoreとしてRoonを稼動した状態で、NeoStreamで再生するとDELA N1A/3のでーたを再生するよりもfidataのデータを再生した方が音の厚みが増し、特に低域の量感も出てきて良い感じでした。しかし、Roon CoreをSilent Angel z1とした場合にはその差は非常に僅差になり、ほぼ同等となってしまいます。では、fidataをRoonCoreとし、fidataをファイルサーバーとして用いた場合の音と、Silent Angel Z1+バッテリー+TAISアダプタをRoonCoreとして稼動し、N1A/3をファイルサーバーとして再生した音とを比べるとこれは完全に好き好きの範疇だと思います。私はZ1をRoonCoreとした方が音の粒立ちが良く感じて好きでした。

 

試聴時の注意点

fidata AS2は電源投入直後の音は酷い、というレベルです。音が尖ってしまい、聴いていられません。しかし、一晩経つと大分よくなり、1日経つと大きく向上して尖ったところなど全くない、厚みのある素晴らしい音を聴かせてくれます。ですから、少なくとも24時間は連続稼働してから試聴した方が良いと思います。

 

まとめ

今回、fidataをお借りして、Aurenderと違い、十分今の環境と勝負ができる感じでした。しかしながら、純粋に音だけを比べた場合には、依然として、バッテリー+TAISアダプターで武装したSilent Angel Z1+NeoStreamのペアにはおよびませんでした。

ただ、その使い勝手、バッテリー駆動可能と思われるその将来性、光接続への移行の可能性、diretta接続を試すことが可能となる点など将来性を考えると、この機種は非常に魅力的に映りました。

 

 しかし、バッテリー駆動時の音質向上がどの程度かが見通せない事、値段が130万円と非常に高価なことを考えると、圧倒的な音質差があるなら購入するのですが、少なくともAC電源での可動では現環境の音には勝てないという事がハッキリと分かりました。

 今回は他の選択肢を模索してみようと思います。しかし、購入候補である事は間違いありません。

 

 もしバッテリー駆動などのリスクを冒したくない方が、高音質のネットワーク環境を手に入れたいならこの機器は筆頭にあげられます。これをやってみたい、の全てができる感じでおそらく今の値段でも質を考えると高くは無いと思います。

 

私はもう少し旅を続けようと思います。