フジコ・ヘミングさんが亡くなられました。92歳、膵臓癌だったそうです。まさしく波乱の人生の方でした。
彼女を有名にしたのがNHKの番組でした。その番組を生でみていました。リストのラ・カンパネラがこれまでに聴いたことがないほどゆっくり演奏されていてびっくりしました。
これ、この曲を初めて聴いたら、いい曲だなと思うでしょう。私はこの演奏は悪くないかもと思います。
楽譜の速度記号を忠実に再現するとこんな感じになります。
例えば、私が好きなアリス-紗良-オットさんの演奏はこちら
大御所シフラさんがこちら
辻伸之さんは
Lang Langさんはこちら
これらの他の演奏家の演奏を聴いてわかるのはフジコヘミングさんの演奏の特異さです。指定はAreglettoなのでBPMだと100ぐらいでしょうか?絶対に速度記号は無視していますし、鐘も鳴っていません。フジコヘミングさんの演奏は元のパガニーニの曲とも違います。
彼女のラカンパネラは彼女の人生の機微を纏って私たちの耳に届き感動させてくれたんだなとおもいます。テクニックとは全く別の次元の芸術なんだなと。
92歳での膵臓癌は経験上ほとんど苦しまれませんから、おそらく彼女の奏でたラ・カンパネラのように穏やかに眠るような最後だったんじゃないかとおもいます。
ご冥福をお祈りいたします。