ある方から、小容量のリチウムイオンバッテリーを使っても大事には至らないと思うという記事に、「その記載に引きました」とのコメントを頂きました。ほんとに不快にしてしまって申し訳なかったなとは思いつつ、では実際にリチウムイオンバッテリーやリチウムポリマーバッテリーの危険性は如何ほどなのだろうかと疑問に思い、調べてみました。

 

すると、独立行政法人製品評価技術基盤機構(通称NITE)からレポートが出ていました。

https://www.nite.go.jp/data/000096603.pdf

 

こちらのリンクです。2019年と少し古いレポートですが、これによると2013年〜2017年の5年間で、事故件数は582件。最も多いのはモバイルバッテリーで150件、ノートパソコン142件、スマートフォン79件と続きます。それらのうち、充電中が49%で使用中が27%です。

 

原因の多くが製造時のバッテリー内の異物混入だったようです。

 

https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/hp-cyousaka/kasaijittai/r05/data/3_.pdf

 

こちらには、令和5年の東京都消防管内の火災の原因についての統計が公表されています。リチウムイオン電池による火災は150件起きており、全火災3953件の5%弱を占めています。最も多いのは、モバイルバッテリーで35件でした。大体が製品に組み込まれたリチウムイオン電池で起きているようです。

模型用や電動ガン用のバッテリー、というのが模型用バッテリーですから、私が使っているような模型用バッテリーが原因の火事は2件という事になります。

 

モバイルバッテリーの火事が35件も起きているというと怖くなりますが、みんな普通に使っています。模型用バッテリーについてはたったの2件。全火災件数は3953件ですから、この二つを合わせても1%にも満たない感じです。

 

都内の交通事故負傷者は月に2000人以上です。つまり年間25000人ぐらい。

「今日、車で秋葉原に行っても大したことにはならないと思いますよ」といっても、多くの人は、それ当たり前じゃん。と思うと思います。では、この交通事故で怪我をする率に比べてリチウムイオンバッテリーで火事になる率はどの程度なのでしょうか。実際、寝たきりの方以外現代人で身のまわりにリチウムイオンバッテリーを持っていない方は皆無だと思うので、全体の対象人口は、交通事故にあう対象人口とほぼ同等と考えて良いと思います。

そう考えると単純に、リチウム充電池の火災数 150を交通事故での負傷者数25000人で割れば良いという事になります。150/25000=6/1000=1/167です。

 

リポバッテリーの事故率は、交通事故で怪我をする率の多く見積もって約1/150です。これを見る限り、リチウム電池を使っても、たいしたことは起きないと思います、という文章が悪くは無いなと言う気がします。

 

私自身も模型用バッテリーのリスクを過大評価していたきらいがありますが、統計を見る限り、恐るるに足らず、という感じなのかも知れません。でも、あくまで自己責任で、手順とルールを守って使う限り、という前提付ですが。

 

やっぱり統計は重要ですね。