Roonは非常に便利な音楽専用のネットワーク環境を自宅に構築できます。ただし、音を良くするには工夫が必要です。

ネット上の情報を見ると、「Roonは音が良い」という物と、「それほど音は良くなかった」という物と混在してます。

 

私の私見ですが、よく練られた再生環境をお持ちの方が、Roonを導入して、今の音を越えるのは結構大変だろうなと思います。特に、SACDやアナログディスクなどで主に楽しまれておられ、それもかなりこだわって調整していたりすると、Roonがその音を越えるのは大変でしょうし、NASを中心としたネットワークオーディオシステムでも結構工夫がいります。

 

という、前提で是非チャレンジしてみてください。単に導入すればいい音になるという訳ではないのです。

 

 

 必要な物

Roon環境の構築に必要な物は以下の通りです。

 

1.Roon Serverを稼動させるためのPCもしくはRoon Nucleusなどの専用機

 Roonで音楽を楽しむためには、Roon Serverのアプリケーションを同じルーターに繋がったネットワーク上のどこかで稼動させる必要があります。このPCをRoonCoreと呼びます。PCのOSは、MacOS、Windows、Linux、もしくはLinuxべーすでRoonが提供している、ROCK(Roon Optimized Core kit)と選択肢は広いです。

 

2.ネットワーク環境

 当たり前ですが、ルーターとハブが必要です。Wifi環境でも稼動させるだけなら大丈夫です。

 

3. Roon再生機

 Roon Readyと謳っている再生器機が必要です。実際には、設定次第でAirPlay対応などの器機をRoonのアプリ上から再生器機として選べるのですが、音はかなり悪くなってしまいますので、RoonReadyの再生器機が必要です。逆に、音質にこだわらなければ、AirPlay対応器機でもRoonのもつ音楽体験のための機能を楽しむことは出来ます。

 

4. NAS(必要なら)

 TIDALなどを利用してストリーミングを楽しむなら、必要ありませんが、これまで持っていたCD等の音源も楽しみたいなら、データ化した音源をネットワーク上のNAS、もしくはRoonCoreとして使って居る器機に入れておく必要があります。もし、RoonCoreにストレージが無い場合にはNAS等の外部ストレージが必要となります。

 

 

 音質に影響する物

SACDの再生や、アナログディスクの再生と異なり、ネットワークオーディオ、それもRoonの環境では非常に多くの要素があります。前述したように、まずは、RoonCoreとなるPC,そして、ルーター、HUB等のネットワーク環境、実際に再生する器機、NAS等です。

これらのどこにどの程度投資するのが効果的なのでしょうか。私の経験からは以下の様な感じだと思います。これはコスパ順です。

 

1位.ネットワーク環境

 おそらく、最もコスパがいいのは、ネットワーク環境をオーディオ用に整える事でしょう。

 

 

 例えば、我が家では、DELA S100(15万円ほど)の導入は、Esoteric N-03T(80万円)やdCS Bridge(当時50万円)を試聴用にお借りした時の音の向上をはるかに凌駕しました。というか、ネットワーク環境が汎用ハブだったときにEsoteric N-03TとdCS Bridgeを我が家で比較試聴したのですが、全く音の向上が感じられず、購入に至りませんでした。

 その後、DELA S100を導入したときの音の変化は驚愕の一言でした。まさか、ネットワークHUBで音がこれほど変わるとは思わなかったのです。

 

 

 先日お借りして、非常に好印象だったEDISCREATIONのネットワーク器機も、おそらくあの音の向上を再生器機で得ようとしたら数倍の値段が必要なはずです。

 

 それらの中でも光アイソレーションの効果は汎用器機でも大きく、かなり安価に音の改善が得られますから、まずはお試しになってみてはどうでしょうか。

 

 

ただ、もし予算があるなら、オーディオ用HUBの導入を強くお勧めします。

 

2位. RoonCore

 我が家の環境では再生器機の違いよりも、RoonCoreの違いの方が大きかったという印象です。

 当初、余っていたintel機のMacMiniをRoonCoreとして使って居ました。この頃の音は通常のDLNA経由のネットワーク再生と比べるととにかく鈍ってしまい、オーディオ用HUBの導入で改善はしたというものの、かなりもう一つという印象でした。

 

 

 その後、NUCを購入し、Roon Optimized Core Kit(ROCK)をインストールしてRoonCoreとして稼動したところ、音は激変しました。

 

 

 

 

 ROCKをインストール可能なPCがお手元にあればそのPCにROCKを導入して、RoonCoreとすることでかなり安価に音質向上が図れると思います。

 勿論、Silent Angel Z1やRoon Nucleusのような専用器機を使えばさらに音は改善しますが、NUC+ROCK導入時の音質向上を10とすれば、専用機を使った向上は15程度でしょうか。コスパは圧倒的にNUC+ROCKに軍配が上がります。

 また、RoonCoreをWifi接続するのは絶対に避けた方が良いと思います。今は改善されたのかも知れませんが、2年前はRoonCoreをWifi環境下で稼動すると音がこもりまくって聴いていられない感じでした。これはあくまでRoon Coreの話で、Wifi対応のRoon Ready器機をWifi経由で接続した場合は、余り練られていないネットワーク環境下ではかえって音が良くなる可能性も否定できないと思います。

 

3位.Roon再生器機

 RoonReadyの器機をお持ちであれば、そのグレードアップよりもまずは前項のネットワーク環境やRoonCoreを優先した方がコスパがいいと思います。ネットワーク環境やRoonCoreがもう一つの状態で、いくら再生器機に良いものを入れても、おそらく「Roonなんてダメじゃん」とか、「ネットワーク再生なんてダメじゃん」となりかねません。

 

圏外.  NAS等のネットワークストレージ

 実はRoon経由で再生する限り、我が家では汎用NAS内の音源も、オーディオ用NAS内の音源もほとんど音に違いがありません。汎用NASはオーディオルーム外のかなり離れた場所にあるのですが、それでも音は変わりません。ですから、Roonを構築するなら、オーディオ用NASは無意味と言っても良いいんじゃないかと思っています。そもそも、我が家ではNASよりもHUBの方が音に対する影響が大きかったです。

 

 

 ただし、DELAなどは第三世代以降は、それ自体がRoon Bridgeとして機能するので、USB DACさえあれば、ストレージを持ったRoon再生器機として機能しますから、DELAのオーディオ用NASをお持ちなら、それをRoon再生器機として使う事が出来ます。もしそういった使い方であれば、思いっきりコストを掛けて、Roon 再生機兼NASとしてDELA N10などを導入するのは有りだと思います。

 

 

 

 その他

 

 もし、RoonReadyの器機やDELA S100、Silent Angel Z1などの外部電源を使える器機があるなら、バッテリー駆動にするとかなり音は良くなります。

 

 

LiPoバッテリーが場所も取らず良いのですが、ラジコン用という事もありほぼ安全対策がなされていません。ですから、私は元々ラジコンヘリが趣味で使い慣れていましたから、LiPoバッテリーを使って居ますが、ご不安なら、自動車用の鉛蓄電池が良いと思います。音はかなり良くなります。ただし、電圧が、自動車用バッテリーだと13.5V-12V程度、Lipoバッテリーだと3Sのもので、12.5V-11.5V程度となり、使用できる器機が限られます。DELA S100は12V駆動なので、鉛蓄電池を満充電にせずに使えば十分駆動可能です。

 バッテリー駆動はコストの割に驚くほどの効果が得られます。使い勝手は最悪ですが、試してみる価値はあると思います。

 

 

 まとめ

 

Roon を「いい音で音楽を聴きたい」、と導入を検討しているのであれば、ちょっと立ち止まって考えた方が良いです。確かにいい音で再生することは可能なのですが、そのための要素は膨大です。特にネットワーク環境にかなり左右されるなと言う印象を持っています。

 オーディオ用HUB、LANケーブル、光アイソレートなどどれを取っても音はいいものにすればするほど良くなります。そして、これらの器機やケーブルに通常の事務用の汎用品を使う限り、Roonを使って、通常のネットワークプレーヤーや、CDプレーヤーよりも高音質で音楽を楽しむ事は、経験上困難だと思います。Roon Coreの存在があるためか、Roonの音質は通常のネットワークプレーヤーよりもネットワーク環境に依存するように感じます。

 Roonを高音質で楽しむためには、高品質なRoon Coreとそれを接続するLAN環境の純化が不可欠です。

 我が家では、NUC+光アイソレート+DELA S100を導入することで、Roon Bridgeとして使ったNode2iからのデジタル出力をDAVEに入れた音はDLNA環境のLUMIN U1 miniを送り出しに使った音を越えました。なぜか、Roonはネットワーク環境が良くなるとある時点で飛躍的に音が良くなる感じです。

 Roonを高音質で楽しむコツは、ただ一点、ネットワーク環境を良くすること、に尽きると思います。

 

何かの参考になれば幸です。