今日は日本のフォークソングを聴いています。

まずは代表的な曲 かぐや姫の神田川

実はストリーミングにはこのベスト盤しかない様です。この曲は神田川の近くで3畳一間に同棲している学生二人の日常を歌った歌です。それを大人になってから、女性が回想するという形式を取っています。私小説の世界です。発売は1973年です。わたしは昔から大好きな歌ですし日本のフォークソングのスタンダードナンバーといっても良い歌だと思います。

 アメリカのフォークソングがプロテストソングの色彩が強い曲が多い一方、日本で売れるのは戦争を知らない子供達などのごく一部の例外を除いて私小説の様な歌。

これはレコード会社の政権への忖度だったのかもと思ってしまいます。

というわけで、戦争を知らない子供たち 

ジローズというのは杉田二郎さんを中心としたフォークグループ。この曲が発表された1970年はベトナム戦争真っ盛り。私の自宅の近所の米軍病院には毎日救急車がひっきりなしだったのを覚えています。この曲は日本の代表的な反戦歌とされています。

この歌、米国のピートシーガーのWhere Have All the Flowers GoneやボブディランのBlowin’ in the Windなどに比べるとやっぱりパンチが足りません。

どっちも墓場に若者が行ったり、多くの人が死んでるって気づくのにあとどれだけ死を見れば良いんだ、とか結構表現は直接的です。

一方で僕らは大人になって平和の歌を口ずさんじゃうんですからかなり違います。


少し毛色の違うのが、つい先日亡くなられた遠藤賢司さんの名作カレーライス。

これは私小説も私小説、ある日の昼時、アパートの一室(と思われる場所)で彼女がカレーライスを作っている傍でテレビを見て猫をかまっているという歌です。

この曲の凄さは、その日の情景が目の前に浮かんでくる上に、三島由紀夫の割腹自殺という楯の会事件をテレビで見ながらも全く無関心でカレーライスの味のことを考えている僕が歌われます。この歌を初めて聴いた時は衝撃を受けました。

今聞けるバージョンとしてはいくつかあります。Amazon music HDでも聞けるので聴いた気とがない人は是非。

1970年11月25日の昼前の時間のアパートの一室が目の前に現れます。


日米のフォークソングを聞き比べてみるとやっぱり日本のフォークソングは日本の純文学の多くが当時私小説の形態を取りがちだったことと無縁ではなく、独特の世界感を持った歌だなと思います。


若い方で聞いたことがない方はぜひ聴いてみてください。この頃の歌の世界観は今も日本人の中に息づいていると、米津玄師やVaundyを聴くと感じます。


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