私が、オーディオにハマって、最も驚いたことの一つがマイケルジャクソンのCDだ。エンヤの音楽も、いいオーディオ装置で聴くと全く別の顔を見せるが、それ以上にマイケルジャクソンのCDは楽しい。元々、マイケルジャクソンなど好きだったわけではなく、若い頃はブルーススプリングスティンが大好きで、マイケル?ふーん、という感じだったのだが。彼の死をきっかけにThis is itの映画を見たのがハマったきっかけだ。
主にBAD以降のアルバムで顕著だが、非常に時間をかけて、一音一音こだわって空間に配置しているであろうことが手にとるように判る。
例えばBAD。頭の上を電子スネア?の音がぐるぐる回る。Dengerous に収録されているJAM。冒頭のガラスが砕ける音が空間に散りばめられ、その後耳許で男が囁くように歌う。それこそ、振り向いてしまうほどだ。
そして、空間が音で閉塞されることはなく、みごとに音と音とが分離し、その間に無音の空間が見えている。
まあ、これについては、SADEなど他のアーティストでも同様なので、マイケルジャクソンに限ったことではないが、マイケルジャクソンの後期の音源では顕著なのだ。
これを聞いてしまうと、日本で録音されたポップスなどの録音とはあまりにも違いすぎて、同じ3000円前後のCD代を払うのがばかばかしいぐらいだ。それぐらい質が違う。こだわり抜いているのだろう。とにかく、買ってよかった、と思わせてくれる。安いオーディオ装置で聴いても、楽しく、高価な装置で聴くと、さらに楽しく聴けるよう作り込んでいるとしか思えない。尊敬に値する。
実際、中学生の息子は全く興味がなかったマイケルジャクソンの曲を聴かせたら『神だ』と一言。彼が好きなスキマスイッチなどの日本の音を同じ装置で聴かせたら、なんだこれ、とショックを受けていた。