ウクライナ侵攻については2回ほど記事を書いたが、ロシア軍のことだから弱体化したウクライナ軍など短期間にせん滅してロシア領内から駆逐するのではないかと思っていたが、意外と時間がかかっているようだ。8月6日に突如ウクライナ軍がクルスク州内に侵攻してからもう20日間も経っているのに、まだ激戦が続いているようだ。

 

原因としては、ウクライナ軍の兵士の数が思ったより多く、2~3万人に達していると思われること。

ロシア軍の国境守備が脆弱だったことと、ウクライナ軍がクルスク近くに集合しつつあるのを知っていながら何も手を打っていなかったようであること。これは議論があって、ゲラシモフ参謀総長の失態という見方とウクライナ軍の侵攻を知っていて領内に引き入れせん滅しようとした罠であるという見方があるようだ。しかし、その後の展開を見ていると罠ではなく、侵攻を見逃した失態であるように思われる。というのもロシア軍のその後のもたつきとロシア軍内の腐敗を新国防相が問題視しているという情報があるからだ。腐敗の結果の気のゆるみがウクライナ軍のクルスク侵攻を許してしまったのかもしれない。もしそうなら、プーチン大統領はロシア軍幹部に怒り心頭だろう。

 

しかしまだウクライナ軍がクルスクに残っているとは言っても勝っているわけではない。被害は通常の戦闘より早く大きく発生しており、1日平均400人の戦死者を出し、既に侵攻から数えて6,200人以上の戦死者を出しているという。しかも侵攻に参加したのは、NATO軍の傭兵とウクライナ軍のなけなしの精鋭部隊であり、といっても数合わせの訓練もろくにしていない兵も大量にいるようだが、これらが一気に失えばもう立ち上がることは不可能になる。全く無駄な戦争を戦っているウクライナ軍。そして6,200人と言えば、2個旅団弱が全滅したことに相当する。しかもわずか20日間で。

ウクライナ戦争というと頭がおかしくなるありんくりんブログ氏は、このウクライナ軍のクルスク侵攻でロシアに打撃を久しぶりに与えたことを手を打つがごとく喜んで、(8.26)

 

 

「現況ではこの越境作戦はハイリスクといわれながらも、順調に進行しているようです。
侵攻した兵力は、フォーブスの軍事専門家のデビット・アックスによれば第22独立機械化旅団と第88独立機械化旅団、そして空中強襲軍(空挺軍)の第80空中強襲旅団が確認されており、5個旅団(約1万人規模)と、砲兵部隊、ドローンチーム、防空部隊の数個大隊が支援任務についているようです。進撃地域は、既に東京都の2倍の面積を占領するに至っています。
8月20日に提示されたウクライナ軍の占領地域では、なんと1263平方キロという面積がウクライナの支配下に入りました。
ただしウクライナ側も、この急進撃の代償としてそれなりの損失を出しています。」

このありんくりん氏のいう損失は戦車等の装甲車両のことで、人的損失はForbesの記事を引くからには「数十〜百数十人」と想定しているのである。この時ロシア軍はウクライナの損失を2千人以上と発表しているんだが。

「6個前後の旅団と数個の独立大隊、そして複数の支援部隊から成る侵攻部隊は急速な進撃の代償として、貴重な装甲車両をかなりの数失っている。人員の損耗も数十〜百数十人にのぼる可能性がある」

(David Axe | Forbes Staff)

 

ありんくりん氏は西側の発表を鵜呑みにしているので、ウクライナ軍は攻勢をかけていると信じているようですが、今日のありんくりん氏のブログ記事ではやはりウクライナ軍の動きが心配になったようで、悲観的なコメントも書き始めています。

 

 

「私は、ウクライナのクルスク越境攻撃のニュースを聞いた時、これはバクチだと感じました。
つまり投機性が高い丁半バクチのように思えたのです。
国をかけた投機は、たとえばわが国がやった真珠湾作戦のように、ひとたび誤ると国を滅ぼしかねません。失敗すれば、そこから全体の破局につながりますし、仮に成功しても長期戦となるからです。
長期戦となれば、やはり体力勝負ですから、小国は大国に勝つことは不可能です。

今、露軍はドネツクで攻勢を強めています。
その勢いは越境作戦以降も変化なく、露軍で抽出されたのは攻勢と無関係な二線級の国内治安軍だけのようです。
その一方ウクライナ軍は精鋭を抽出しており、クルスクでの越境作戦を拡大すればするほどドネツク州の状況が悪化する、というのは事実です。
ポクロフスク方面から避難を余儀なくされている住民からは「東部を犠牲にしてまでロシアを攻撃する必要性が理解できない」という不満の声が登場しているそうです。」

 

ありんくりん氏はウクライナ軍の攻勢を久しぶりに喜んだのですが、よく考えるとそんなにうまくいくわけねえよなぁと思いなおして、「失敗すれば、そこから全体の破局につながります」なんて弱気を吐くわけです。しかし、それでも何とか気持ちを鼓舞したいのでありもしない話に飛びつきます。

 

「しかし、越境から2週間たって見ると、この越境作戦は大変に慎重に練り上げられたものであることがわかってきました。
ウクライナのレズニコフ前国防相が、産経のインタビューに応えています。聞いているのは黒瀬悦成特派員で、ワシントン支局長も勤めた特派員です。
「レズニコフ氏は、越境作戦はキーウ防衛戦などを成功させたシルスキー総司令官を中心に立案、実行されたと明かし、露領内に幅四十数キロの緩衝地帯を設け、露軍の多連装ロケット砲がウクライナ東部ハリコフ州の街に届かないようにすることが主目的だとした。
また、クルスク州セイム川の橋を相次ぎ爆破していることから「今後はセイム川南岸まで制圧地域を拡大し、短距離弾道ミサイルを防ぐとともに、川を天然の要害として防衛態勢を固めるとみられる」と分析した」(産経8月24日)

ここでレズニコフが言っているのは、いわゆる「緩衝帯」づくりのことです。
地理的関係を見てみましょう。クルスクは国境地域で、露軍のロケット弾と砲撃の基地です。
たとえば、露軍の使っているBM30スメルチ多連装ロケット弾発射システムの射程県圏は70キロで、軽く国境を越えてウクライナの民間地帯を攻撃し続けてきました。
より射程の短い旧式の152ミリ榴弾砲(射程17キロ)を使っても楽々とウクライナ領内を狙えます。その結果、クルスクに接する国境地帯の町々はことごとく砲爆撃を浴び続けられて、多数の民間人死者を出しています。

ロシア軍はこのような卑劣な大規模な砲撃やミサイル攻撃をし続けています。」

(トラ注 因みにクルスクからロシア軍がウクライナに向けてミサイル等で民間地帯を攻撃し続けたなんて聞いたことがありません。いつもウクライナは言っていることが逆ですから、ウクライナがクルスクに向けてミサイルを撃ち込んでいたんじゃないでしょうか。)

 

「この越境作戦は大変に慎重に練り上げられたものである」なんてことは嘘っぱちでしょう。こんななけなしの部隊をロシア国内に送り込んで「緩衝帯」を作る、つまり長期間占拠するわけですが、そんなこと出来るわけねえだろう。プーチンが許すわけねえだろう、ということです。

慎重に練り上げた作戦ならこんな馬鹿げた作戦は却下されるに違いない。つまり、かなり無理無理な作戦でしかないのです。特に米国より英国がのめり込んでいるようです。英国は労働党政権(スターマー)になってもウクライナ戦争はやりたくてたまらない、米国よりのめり込みが激しいようでなぜそうなっているのか不思議です。

 

つまりこのクルスク侵攻作戦はかなり政治的なもので、前に私が書いた「一撃講和論」もちょっと違うようです。つまり、ウクライナは和平など全くする気がないし、「一撃」したらロシアが恐れ入ってじゃ交渉するか、なんていう訳がない。益々ロシア側は態度を硬化させるのです。それはウクライナも西側も分かっているはず。

また、ドンバスのロシア軍部隊をクルスクに引き付けるためにウクライナは侵攻したという見方もありますが、これはロシア側が逆に有利な展開になってしまいました。ドンバスの戦いで防御しているウクライナ軍部隊が戦線からはがされて、クルクスに行ってしまったのですから、ロシアの戦闘は逆に有利になったわけです。

沖縄防衛で戦略を作っていた日本軍の32軍から第9師団が台湾に抽出されて、防衛体制が弱体化してしまったようなものでしょう。

またクルスク原子力発電所の占拠により原発を人質に取って脅すということが戦略に挙げられていますが、ウクライナという国はロシアに勝つためには手段を択ばないという何の正当性も見いだせない作戦を行おうとしているわけです。しかしその危険な賭けは既に失敗しており何の成果も出していないのです。

 

つまり、表向きではウクライナ軍のクルスク侵攻の理由がよくわからないのです。おそらくそれは軍事的なものではなく、政治的なものだからではないでしょうか。

今ウクライナに軍隊はほとんど残っていないというのに、クルスクのとなりのロシア・ベルゴロド州にまで戦線を広げようとしたり、ベラルーシの国境にウクライナ軍を終結させてベラルーシ侵攻を画策したりと、戦争を縮小させようなんていう気配が全くみえない。もちろんゼレンスキーだけでなくNATOの考えも入っているとは思いますが。

 

 

さて、クルスク侵攻に対する報復としてプーチンは一昨日、ウクライナ国内の電力設備等のインフラに向けて200発のミサイルやドローン攻撃を掛けたようです。それはこのウクライナ戦争で最大の空爆と言われているとのこと。

ウクライナ各地域の変電所やキエフ水力発電所、ガス圧縮機ステーション、西側諸国によってキエフに移転された航空兵器の保管場所である飛行場に攻撃を掛けました。

すぐにウクライナのすべての地域が暗闇に突入し、ニュースステーションは、生放送中にさえ停電したようです。

 

 

しかし、ある消息通の話によると、大半の人々は、これがクルスクに対する待望の報復だと思っていたが、このミサイル攻撃始まっていた後のインタビューで、ペスコフ報道官は、クルスクの報復はまだ進行中であると述べたとのこと。つまり、この大規模攻撃はクルクスの報復攻撃でなく、前から計画された電力網の劣化計画の再開であったということを示唆しており、報復攻撃はこれからだということ。

 

ロシアはこれから冬に向かってウクライナ市民たちの生活を暖も灯りも水も取れない状況に置き、徹底的な厭戦気分に追い込んで国民を反政府・反ゼレンスキーとして立ち上がらせようとしているようです。

 

そうはさせじと企むゼレンスキーの考えることは、NATOとロシアの全面衝突!つまり第三次世界大戦の本当の開始を狙っているような気がします。

 

 

こいつが世界大戦を引き起こす!

第三次世界大戦はコメディアン大統領が私利私欲と名誉欲のために起こそうとしてる、そして本当に起きてしまう。そんなことがあっていいのでしょうか。