女房がのぶりんのYouTubeにはまっている。全国のさびれた商店街や廃屋のデパートやショッピングセンター、ホテル・旅館等を見て回るのだが、とても事前調査がされていて解説もしっかりしている。

ほとんどはイーオンの進出による地元商店街潰しかバブルの失敗などだが、日本の地方の衰退がとても寂しい。のぶりんたちもこの状況に危機感を感じているから、必ずそこの商店のものを買ったり、床屋に入って散髪をしたりと支援しているのがけなげだ。

 

そんな中で、東京でも大きなビルが無人化して閑散とした場所を紹介する。例えば、汐留の電通やソフトバンクが入っているビル。コロナによるテレワークなどで企業が出て行ってしまったのだ。

こんなところにもテレワークの罪が表れている。

 

前にNTTの馬鹿げたテレワークについて記事で批判したが、ホントにテレワークって奴はろくなもんじゃない。

 

 

まともな企業はもう下らんテレワークなど止めてしまったと思うが、頭が悪い経営者がいる会社はテレワークなどが先進的だと勘違いして続けているのだ。

去年の暮、元の会社の同期忘年会で、テレワークを続ける●●Tの元社長(現相談役U氏)に問いただしたんだが、やはり若者や女性のためにテレワークはいいもんなんだ、という馬鹿げた答えしか返ってこなかった。

 

テレワーク批判について先日図書館で拾い読みしたので紹介したい。

森一郎「アーレントと革命の哲学」という本からだ。まあ当たり前のことが書かれているのだが、こんな当たり前のことが現場の経営者は分かっていないのだから困ったことだ。

テレワークってのは「奴隷の仕事」だよ。

 

森一郎「アーレントと革命の哲学」

 コロナ禍によって切実に見えてきたものに、もう一つ、自由の意味がある。

古来、自由にはさまざまな意味が帰せられてきたが、その原義は「移動の自由」であった。自由人と違って、身体的に束縛され自分の思い通りに動くことのできない存在が「奴隷」と呼ばれた。空間的に囚われていないことは、われわれ現代人が基本的人権と見なしているものの原点でもある。

 ところが、コロナ禍においては、営業の自由が制限されたばかりでなく、自宅待機という掛け声のもと、都市封鎖という手段にまで訴えて、行動制限が課された。巣ごもりを余儀なくされた国民は、旅行に行けないばかりか、家族や友人とも 会えない日々を送った。自由は取り上げられてはじめてその有難みが分かるものである。
 そればかりではない。人びとから 集会の自由が奪われた。対面の代替手段としてオンライン会議やSNS といった遠隔通信技術が投入されたが、くぐもったようなそうした交信は、人と人が一堂に会することと比べて、なんと味気ないものかということを、われわれは思い知った。
 同じ場所に集まって同じ時間を過ごし、顔を合わせて言葉を交わし、議論に打ち興ずる――そういう何気ないことが、豊かな人間的意味をもつものであったことを、コロナ禍はわれわれにイヤというほど見せつけた。人びとが行為と言論で互いにおのれを現わし合う共有の時空にみなぎるのが、人間力だということを、 われわれは遅まきながら学習したのである。それは、かつて革命の人びとによって「公的自由」と呼ばれた自由の次元であった。「政治的自由」ということが語られてよいとすれば、それは、各人が自分の好きなことを思い通りにできるという意味での私的自由というよりは、人びとが集って一緒に「自由のうちで行為する」という複数性における自由を意味するのである。そうした「公的自由」は、たとえば営業の自由のように、それによって何らかのメリットが得られるから、だから有用なのではない。そうではなく、自由のうちで行為すること自体が、行為する当人たちにとって有意義なのである。集まって語らい、何事かを為すことそのことが、第一義なのである。

なぜそう言えるか。その集まり自体が、そのために生きている当の究極目的であり、つまり幸福を意味するからである。何ということなしに、ただ集まりたいから集まり、集まったことを喜びとし、その喜びを分かち合うという根源的傾向が人間には具わっている。アーレントは、私的幸福の満足とは異なるこの自己充足の相互享受のことを、「公的幸福」と呼んでいる。 

(引用終わり)

 

「同じ場所に集まって同じ時間を過ごし、顔を合わせて言葉を交わし、議論に打ち興ずる――そういう何気ないことが、豊かな人間的意味をもつものであったことを、コロナ禍はわれわれにイヤというほど見せつけた。人びとが行為と言論で互いにおのれを現わし合う共有の時空にみなぎるのが、人間力だということを、 われわれは遅まきながら学習したのである。」

そう普通の感覚の持ち主は森氏の言うように「集まる」ことの意義を改めて知ったのである。

でもテレワークを続ける企業はそんなことも分らないようだ。特にNTTだよ。