物流業界の「2024年問題」。トラックドライバーの時間外労働の規制強化で配達量そのものが減ってしまうと言われているのに、今回はその逆でヤマトの配達員を2万5千人も今日付で大量解雇するという。

夕方のニュースで初めて知った!

なんだか「2024年問題」と逆のような気がするが、ちょっとだけ調べてみるとヤマト首切り問題は物流業界の「2024年問題」物流ドライバー不足とは直接関係ないようだ。

 

首を斬られるのは、メール便の配達などを委託している「クロネコメイト」らおよそ2万5000人。

メール便「クロネコDM便」と薄型荷物「ネコポス」の配達を委託されている「クロネコメイト」だが、個人事業主扱いだからクロネコヤマトとしては単に通告して契約解除すればいいと思っているらしい。非常なクロネコヤマトじゃないか。知らなかったなあ。

もう一年も前から団体交渉せよ、と迫っているらしいが、クロネコ側は、個人事業主については「法律上の労働者にあたらない」として、団体交渉拒否を貫いたそうな。

 

そもそも何でこんな大量解雇することになったのか。

それは明日2月からこのサービスを日本郵政に委託することになっており、日本郵便の配送網で届けることになるからだ。

ネット

「日本郵政グループとヤマトグループは2023年6月19日に「持続可能な物流サービスの推進に向けた基本合意」を締結。「両社の経営資源を有効活用する」「トラックドライバー不足の緩和に貢献する」などとして、クロネコDM便のサービスを2024年1月31日に終了し、日本郵便の「ゆうメール」を活用した新サービスを開始すると発表しました。ヤマト運輸が顧客から荷物を預かり、日本郵便の配送網で届けると説明しています。

 さらに両社は、法人や個人事業主の小さな荷物を宅配するヤマト運輸の「ネコポス」サービスについても10月から順次終了し、日本郵便の「ゆうパケット」を活用した新サービスへ移管すると発表しています。ヤマト運輸が預かった荷物を日本郵便の配送網で届ける計画です。」

 

要するに、日本郵政が横から出てきて全国の「クロネコメイト」2万5000人の仕事を奪ったのだ。

非情でクソなのはクロネコヤマトだけでなく、日本郵政も非情でかつ鬼のやる所業だ。

 

 

 

これはいってみれば、中小商店街の集まる地域にドンと大型店舗(スーパー)が参入して、地域の顧客をごっそりさらっていったのに似ている。

しかし、この大型店舗(スーパー)の参入にあたっては、大規模小売店舗法(1973 年制定)というのがあって、デパートやスーパーなど一定規模以上の店舗面積を有する大型店が出店する場合に,事前に周辺の中小の小売商と調整することなどが定められた法律に基づき、激変緩和措置が取られていた。

しかし、これは規制が問題だとアメリカがクレームを付けた(日米構造協議)のと、日本の自民党バカ政治家らが規制緩和を叫んで、1991年にこの大規模小売店舗法を改正し、これまで商工会議所(商工会)に置かれて、大型店の出店を扱っていた商業活動調整協議会(商調協)が廃止されることとなった。これ以降、大店法の運用は大幅に緩和され、各地で大規模なショッピングセンターの進出が進むこととなり、商店街はシャッター街と化して今日に至っているのだ。

 

つまり昔は象かカバか知らないが大きな力のあるものが小さい者を踏みつぶそうとすると、役人も政治家も小さい者のためにひと肌脱いだのである。

しかし、小泉純一郎に代表されるような新自由主義者らが規制緩和(アメリカの要請)を唱え、弱き者は自己責任とばかりに潰れてしまえばいいのだと、非情な措置をしてもなんの痛みも感じないようになってしまった

 

今回のクロネコヤマトの「クロネコメイト」大量解雇は、そういう古き良き措置は全く取られずじまいで、個人事業主なんだから簡単に解雇して当然という素振り。

 

現代ビジネスはこの件について、ジャーナリスト横山渉氏は次のように書く。

「…最大のポイントは「労働者性」の有無

 配達員は全国に約3万人おり、契約上は個人事業主(クロネコメイト)になっている。しかし、東京・国立営業所で業務を請け負う配達員は「実態は労働者」だとして労働組合を結成し、全国一般三多摩労働組合とともにヤマトに団体交渉を求めている。ヤマトは「事実上の労働者という実態はない」と反論し、団体交渉に応じていない。会社から「使用」されて「賃金」を支払われている「使用従属性」がどの程度あるのかを「労働者性」というが、配達員に労働者性があれば、会社は団体交渉に応じなければならない。全国一般三多摩労働組合の朝倉玲子書記長は、問題のポイントである労働者性について、次のように指摘する。

「厚生労働省は『労使関係法研究会報告書』で労働組合法上の労働者性の判断基準を提示しており、契約が画一的に結ばれていれば労働者性があるとしています。契約書がAさんもBさんもCさんもみな同じで、契約内容について個別交渉の余地がないものということです。ヤマトさんも20年前から一律に定型的な契約書で、名前だけ書けば済むフォーマットになっています」

(中略)

個人事業主契約の形式で労働者の権利を縛る

 このまま進めば、全国で約3万人の個人事業主が契約終了となりそうだが、数万人規模のケースは今回が初めてとなりそうだ。

「ヤマトさんが個人事業主契約を始めた20数年前は、労働者性ということについてあまり知らない中小企業がよくそういう契約を使っていました。テレフォンアポインターや出会い系サイトの電話担当者などがそうでした」(朝倉書記長)

 2008年にはミシン最大手JUKIの子会社に特定商取引法違反で業務停止命令が下り、このときも正社員含めて大量の販売員が契約終了となったが、ヤマトのような規模ではなかった。本来は労働者性がある人たちを個人事業主扱いで契約し、労働者を安い金額で使い、使い捨てにする。朝倉書記長はヤマトだけの問題ではないと考えている。

労働者契約だということがはっきりした場合、労働組合法上の問題だけでなく、労働基準法上の問題にもなります。そちらに照らし合わせても労働者性があると私たちは考えており、そちらがはっきりすれば契約期間5年で無期労働契約に転換されなければなりません。労働契約法上の労働者だということになれば、契約終了(=解雇)できないことになります。個人事業主として契約する形を使い、そうした労働者の権利を行使できなくしていますので、ネックはそこにあります」

 朝倉さんらは都労働委員会へ救済の申し立てを準備している。

物流配達員の労働者性を肯定した画期的な判断

 10月4日、ネット通販大手「amazon.co.jp(アマゾン)」の配達を個人事業主(フリーランス)として請け負うドライバーが配達中にけがをしたことについて、労働基準監督署から労災として認定されたことがわかった。労災保険から50日分の休業補償が給付されることになったという。個人事業主は本来、労災の対象外だが、労基署は男性が指揮命令を受けて働く「労働者」に該当し、補償を受ける権利があると判断したわけである。記者会見でアマゾン労働者弁護団は、労働者性を肯定し画期的と評価し、「アマゾンが提供するアプリから配達に関する指示が出ていたことが重視された」とみている。この労基署判断はヤマトの件にも影響を与えそうだ。」

(引用終わり)

 

確かに「個人事業主」という立場を悪用して解雇を容易にしているのだが、これはウーバー・イーツの配達員などにも言えることだ。

つまり、働き手をいつでも解雇できる不安定な状態において、安い報酬でこき使う。つまり「搾取」だ。こういう問題は労基法などの問題として矮小化してはいけない。

これは日本経済や社会の根幹を危うくする問題、つまり政治的問題として捉えないといけない。

 

特に3万人近い失業者を出しても政府は知らん顔するのか。こんなことで景気が上向くはずがないだろう。

パー券キックバック問題で現(うつつ)を抜かす場合じゃないだろうって岸田だけじゃなく、立憲の泉にも言いたい。困った人に光を当てる気はないのか、立憲民主党は。

 

そして、この問題の発端は日本郵政の横取りにある。

なんで横取りできたのか。おそらく、「クロネコメイト」に支払う費用よりも安い料金を提示したんだろう。当たり前だ。既に郵政の配達ネットが構築されているんだから、かなり値引きができるし、郵政は儲けが少ないからブルトーザーのように「クロネコメイト」約3万人を路頭に迷わせても平気なのである。だから郵政もクロネコも非情で鬼の所業だというんだ。

 

このそもそもは小泉純一郎というどうしようもない変人がやらなくてもいい郵政民営化を強引に行った結果といえる。

竹中平蔵(左)も日本を壊した張本人!

 

郵政事業なんぞ世界のどこも儲かる商売ではない。だから、民営化してもみんな元の公営に戻している。当然日本も民営化してうまくいかない。だから簡易保険も悪徳セールスという無理をやる羽目になった。そして今度は、「クロネコメイト」の大量首切りだ。これも遠因は小泉純一郎というアホ総理がやるべきでないことをやった結果だ。

だから、この問題は労基法なんかの問題としてではなく、大量失業の問題として政治が出てこないといけないのである。

 

といってもなあ、東京地検特捜部にかき回され、どうでもいい派閥解消に右往左往し、裏金など政治の中身に関係ないことでうつつを抜かす自民党と野党なんだから、なんの期待も出来ないなあ。