能登半島地震の被災地では未だ救援が足りていないようだ。

岸田の47億円支出で批判が集まったら、自民党応援の人々、たとえばお笑いタレントのほんこんなどは反批判をして政府を擁護している。

 

47億円批判は立憲の蓮舫議員がXで「建物倒壊による人的被害をかんがみてもなぜ予備費使用がこの額なのか」と予備費の支出規模が小さいと指摘したのだが、蓮舫大嫌いの私でも今回の件は蓮舫の方が正しいと思っている。

 

ほんこんは最近保守派芸人として売り出しているが、「ほんまにこれビックリするなと思うのよ。被災地支援40億で終わるわけないやん。これ第1弾や。第2弾、第3弾とあって、結論から言うたら、熊本地震のとき補正予算7780億円計上されてんねん」「これ議員としてはダメでしょ。災害時を政治利用してるっていう、政争の具にしてるやん。それはちゃうやろ」と言っているらしい。

 

 

「被災地支援40億で終わるわけないやん」というのは正しいのである。当然そんな少額で済ませるわけがない。しかし、40億と少額で発表したことに岸田政権の姿勢がハッキリと表れているのだ。

つまり、岸田は緊縮財政だから、国民からの要求が弱ければ最小限の支出で済ませる可能性すらある。

要は被災地住民を最大限助けたいという意欲が感じられないのだ。それを蓮舫は指摘しているのである。

 

ウクライナ支援を見よ。アメリカの指示で仕方なく支援したかもしれないが、支援額はとてつもなく巨大だ。今年も入れれば2兆4500憶円もの支援額だ。これはアメリカにいい顔するために巨額の支援を申し出た。ウクライナに日本は何の関係もないのにアメリカにいい顔するためにこういう巨大援助額を申し出る。少しずつ小出しにしてもよさそうなのに。この支援額の大きさに岸田の従米姿勢が表れるのだ。

それと同じで、岸田も被災地に積極姿勢を出したいという意向があれば、絶対に40億円などというみみっちいことは言わないはずなのである。

だから立憲の蓮舫が岸田の消極姿勢を非難するのは間違っていない。「災害時を政治利用してるっていう、政争の具にしてるやん」というのは全く的外れなのだ。

自民党政権を何でも応援するなどほんこんのほうこそ「それはちゃうやろ」ということだ。

 

しかし、無情の雪が被災地に降り続く。寒い。いつまで何もない避難所に被災者を押し込めておくのだろう。

出しゃばり小池都知事は何をしているのか。こんな時こそ「災害を政治利用」したらどうなんだ。今年は都知事選挙もあるというのに。

まずは、東京のビジネスホテルを大量に借り上げて、被災者を収容するよう行動すべきなんだ。コロナ感染時にビジネスホテルに収容した経験を活かしたらどうなのか。

(注)石川県は被災者を県内外のホテルや旅館に移す「2次避難」を考えているらしい。ただ、雪の為、行き先が決まるまでの一時滞在場所での受け入れを一部延期することを決めたとのこと。残念だ。

 

さて、この能登半島地震。ちょっと不謹慎だが、この不幸を「奇貨」とする手がある。

大阪万博の延期または中止だ。

もう大阪万博の失敗は目に見えている。にも拘わらずこの泥とゴミの埋立地に何と10兆円以上も費やすことを吉村ら維新の会は考えているようだ。無駄の極致!

このことがやっと国民にも分かり始め、嫌々だろうがマスコミも大阪万博を問題として扱い始めている。

 

もう失敗すると一番思って悩んでいるのは大阪府知事の吉村ではないか。

一応「二者択一の関係ではない。万博があるから(復興の)費用が削減されるものではない」「こちらが立って、こちらが立たなくなるものではない」と言っているが、それは今のところ立場上そういうしかない。

 

こんな中、蓮舫同様私の大嫌いな議員で元新潟県知事の米山隆一は、万博と能登地震復興についてとてもまともな意見(スポニチ)を言っている。

 

 

「吉村知事、能登半島地震に関連し『万博中止』の声に『なんで万博と復興支援が二者択一なのか…』との事です。勿論制度的に二者択一ではないでしょうが、復興に大量の人員・重機・資材を投入する事になる以上、万博会場建設を今のコスト・期限に完成する事は一層困難になります」と指摘。

続けて「幾ら『やり遂げる!』と叫んだ所で、物理的にできないものはできません。起こってしまった事象を踏まえた現実的対応を考えるなら、万博は、建設費をさらに増加させて復興の為の建築リソースを奪うか、それが出来ない(しない)なら建設計画の下方修正、開催日の延期を真剣に検討すべき時だと思います」と自身の考えをつづった。」

(引用終わり)

 

まさに正論だ。

そして、経済界も大阪万博については橋下徹らに騙されたと薄々感じてき始めたようで、経済同友会の新浪剛史代表幹事は次のように発言している。

 

 

新浪剛史氏が大阪・関西万博の延期に言及「被災者を優先すべき」 経済同友会代表幹事・博覧会協会副会長
 経済同友会の新浪剛史代表幹事は5日、経済3団体の共同記者会見で、大阪・関西万博の会場建設の人手不足が深刻になる中、能登半島地震が起きたことに絡み「(震災の被害は)大変厳しい状況にある。人命第一という考えを世界は理解してくれるはずだ」と述べ、万博延期の可能性に言及した。
「この状況を考えれば」
 新浪氏は日本国際博覧会協会の副会長を務めている。来年4月に迫る万博開催を予定通りに行うのは困難との見方が強まりそうだ。
 新浪氏は「被害の全容がいまだ不明」と断ったうえで、同友会の地元組織を通じて甚大な被害を把握しているという。「この状況を考えれば、被災者への対応が何より優先されるべきだ」と強調し、建設人材の不足が震災復興の妨げとなってはならないとの認識を示した。(後略)』

(引用終わり)

 

 大阪万博は橋下徹を除いて、もう「アビリーン」(アビリーンのパラドックス)の状況なのである。

「アビリーンのパラドックス」とは、ある集団がある行動をするのに際し、その構成員の実際の嗜好とは異なる決定をする状況をあらわすパラドックスのことを言う。(トラ注参照のこと)

グループの一員が自分の意見を抑えて他のメンバーに合わせる現象を指す。つまり、みんなはやりたくないのに、やりたくないことをやってしまうことだ。

 

(トラ注)アビリーンのパラドックス

アメリカ、テキサス州コールマンの7月の午後は特に暑く、気温は摂氏40度にも上っていました。
家族は、ファンのあるバックポーチで、冷たいレモネードを飲みながら、ドミノを楽しんでいました。
父:「夕ご飯でも食べに、アビリーンにドライブに行こうか?」
息子(娘の夫):「え?アビリーンに行くの?片道85キロもあるのに?この砂嵐と暑さの中で?エアコンのない1958年ビュイックで?」
娘:「いいアイデアね。私は行きたいわ。ジェリー、あなたどう?」
息子:「いいんじゃない。もしお義母さんが行きたいならね」
母:「もちろん行きたいわ。暫く行ってないしね」
こうして家族4人で車に乗り込み、アビリーンに向かいました。

暑さは過酷でした。約4時間往復170キロドライブした後、皆疲れ果て、長い間静かにファンの前に座っていました。

。。。
息子「素晴らしい旅だったね」
誰も話しませんでした。とうとうお母さんがイライラしながらこう言いました。
母:「実は、あまり楽しくなかったわ。ここにいた方がよかった。 あなた達全員が行きたいって言うから仕方なく一緒に行っただけよ。」
息子: 「あなた達全員ってどういう意味?僕をグループに入れないでよ。僕は、皆が行きたいっていうから付いて行っただけじゃないか。」
娘:「ちょっと私まで犯人扱いしないでよ!あなたとパパとママが行きたかったから行ったんじゃない」
父:「おいおい、待てよ。そもそも俺はアビリーンになんか行きたくなかったよ。暫く行ってなかったから、皆が行きたいかと思って、気を遣って聞いてみただけだぞ。正直、ここでアイスを食べながらドミノを続けていたかったのに。」
皆は黙って腰を下ろしました。。。

 

 大阪万博については、計画の筋が悪すぎて特に夢洲という開催場所・地盤が悪すぎて金喰いになってもう時間切れの失敗は目に見えているから、政府も大阪府も大阪市も万博協会もマスコミも大阪経済界もみんなやりたくない、維新の会だってやりたくないはずだ(橋下徹を除き)。このままでは維新の会は選挙で惨敗してしまうから。

 

 

 

しかし、皆建前上、大阪万博は中止にしようなんて言う訳にはいかない。

だからこのまま突き進めば、みんな誰も行きたくなかったアビリーンに行くことになってしまうのである。

橋下徹は大阪万博はカジノの手段に過ぎないから、万博が失敗しようがどうでもよくただ開催されてカジノにつなげられればそれでいいというスタンスだから、大阪万博はもうだめという考えには絶対与(くみ)しないだろう。

 

大阪府や経済界がアビリーンに行かないためにはどうすればいいのか。

そんな中で今回の不幸な能登半島地震が発生した。

 

三橋貴明氏は次のように言う。

 

 

「2024年は、
1.2024年問題(土木・建設分野の残業規制強化)
2.大阪万博
に、
3.能登半島地震の復旧、復興
 の需要が加わったのです。政府の政策で供給能力を削減しようとしているところ(※1)に、需要の拡大が重なる事態になった。

繰り返しますが、問題はカネではなく、供給能力です。1によりこれまで以上に制限された土木・建設能力で、大阪万博・能登半島地震復興の需要を満たすことは、不可能です(そもそも、大阪万博だけでも不可能事だった)。

 となると、需要の優先順位付けを行わなければならない。当然、優先度が高いのは能登半島地震の復旧、復興です。

当然の話として土木・建設の供給能力は震災復旧・復興に向けて優先的に投じなければなりません。 

万博協会の会長でもある十倉経団連会長が、
「万博と震災復興を二項対立、あるいは二者択一で考えるのはどうか。震災対応は一刻も早くやるべきだが、万博開催の意義も考えなくてはならない」
 と、予定通りに開催すべきだとの考えを強調していますが、寝言を言うなカネはともかく(大阪万博はカネの問題もひどいですが)、供給能力は物理的な話です。ないものはない。

 元々、長引く公共投資削減や指名競争入札・談合叩きにより供給能力を喪失してきた土木・建設業界の供給能力は、万博と震災復興の双方に対応することはできないんですよ。長年の緊縮財政と構造改革による長期デフレが、日本をここまで追い込んだ。

 

これは、大阪の吉村知事らにとってもチャンスです。能登半島地震に土木・建設の供給能力を振り向けざるを得ない以上、大阪万博の延期・中止は真っ当な判断であり、国民の納得を得ることもできる。」

(引用終わり)

 

そう、大阪の吉村知事らにとってもチャンスなんだ。

大阪万博を延期または中止するなんて関係者は口が裂けても言えない。しかし、やりたくない。

でも、やらない理由、やれない理由があればみんなのメンツが立つのである。やりたいんだけどやれないんだ、と。

金が膨大にかかるから大阪万博は止めよ、という攻め方では大阪府も国も「じゃ、止めようか」とは絶対にならないのだ。その費用が10兆円から20兆円に膨れ上がっても、だ。なぜなら、それでは自分の責任を認めることになってしまうから。日本人は責任を取りたくない民族なんだ。だから、自分の責任にならないところで大阪万博を止める理由が上がってくるなら、それはウエルカムなんだな。

 

つまり、能登半島地震の復興を第一優先とするから、資源を大阪万博に振り向ける余裕はないという理由を掲げれば、面子(責任逃れ)を失わずに大阪万博を中止にすることが可能となるのだ。博覧会国際事務局(BIE)にも説明できるのである。

 

これで大阪万博はお蔵入りにしてしまおう。みんな万々歳となる。

しかし、橋下徹だけは大反対するだろう。理由は明らかだ。面倒だから説明はしない。

しかし、橋下徹という今は一般人で単なるコメンテーターなんだから、そんな男の言うことなど聞く必要はない。

橋下徹の野望を粉砕せよ、である。

 

 大阪万博やめよう音頭を流行らせよう!