タクシーに轢(ひ)かれて鳩が死んだのは、動物愛護とはいうものの、タクシー運転手の「避けるのはハトの方だ」というのは結構説得的ではないのか。

 

 

「東京都新宿区の路上で、運転するタクシーでハト1羽をひいて殺したとして、警視庁新宿署が5日までに鳥獣保護法違反の疑いで、東京都中野区のタクシー運転手の男(50)を逮捕したことに言及した。

 男は容疑を認めており「道路は人間のもので避けるのはハトの方だ」と供述している。逮捕容疑は11月13日、新宿区西新宿1丁目の路上で、カワラバト1羽をひいて殺した疑い。

 署によると、男は、停止線の先頭で信号待ちをしていた際、青信号に変わって急発進し、前方の直線道路上にいた数羽のハトに突っ込んだという。当時客は乗せていなかった。近くにいた通行人の女性が急発進するアクセル音を聞いて気付き、110番した。女性がタクシーを追いかけて容疑者に「ハトひきましたよね」と声をかけた際も「避けるのはハトの方だ」と話し、走り去ったという。」

 

タクシーが急発進して鳩を轢いたというのが「非常に悪質」だというが、普通は鳩の身軽さ、急に脅せばパッと逃げるというのは皆経験しているところだ。

 

子どもが鳩の群れに向かって急に駆け出していけば普通は鳩は驚いて逃げるのである。

私も昔通勤途中でカラスがごみ袋をつついているのを見れば、急に駆け寄って脅して追っ払うことをやっていた。もちろん周りに人がいないときに限る(大の大人がカラスを追っかけるなんてみっともないから)けれど。。

 

最近の鳩は人間が近づいても驚かないようだ。熊だって人間に慣れてしまっているくらいだから。

でも急に車が近づけば鳩はみんな危険本能があるから逃げる。しかし、轢かれた鳩はのんびり屋だったのである。餌に夢中で欲張り屋だったのである。間抜けだったのである。人間にもこういう奴は何処にでもいる。そして間抜けな鳩は貧乏くじを引いたのである。

 

タクシーが急発進しても運転手には「殺意」などなく、急発進に驚いてみんな飛び上がって逃げると想定したのに、間抜けで欲張りな鳩がひかれてしまった。可哀そうではあるけれど、不可抗力の事故に過ぎないといえるのではないか。

「非常に悪質」かつ「殺意」が認められるのは、鳩に気付かれないように遠くから矢を放って殺すとか、空気銃で狙って殺すとか、まさに鳩を完全に殺すために為した行為なら「非常に悪質」といってよいし、鳥獣保護法違反の疑いで逮捕しても構わないだろう。

 

しかし、今回の場合タクシーの急発進は鳩への脅し行為とは言えても「殺意」までは問えないはずなのに、「逮捕」だよ、「逮捕」!

警察の方が異常じゃないのかねえ。

警察は何でこの程度で「逮捕」までしたのか。

私の妄想がここから始まる。

テレビで現場映像を見るとたくさんの鳩が路上で餌のようなものをついばんでいる。路上に虫などいるかもしれないが、みんなでついばんでいるのは誰かが車道上に餌を撒いたような疑いが残る。

さて、報道ではタクシーが鳩を轢いた後、近くにいた通行人の女性がタクシーを追いかけてわざわざ運転手に「ハトひきましたよね」と声をかけたという。

このおばさん(何歳か知らないが)鳩がひかれたからといってタクシーに文句を言いに行ったのだが、単なる通行人がふつうそんなことするだろうか。かなり特異な行動といえないか。

そして、鳩をひいた運転手が「避けるのはハトの方だ」と話し走り去ったら、110番したのだ。

この行為も異常ではないか。鳩がひかれて死んで可哀そうだけれど、ふつう警察に通報なんてするかなあ。110番も受け付けて困ったんじゃないか。

 

以下妄想による110番との会話

女「タクシーが鳩を轢き殺しました!捕まえてください!」

警察「えっ!鳩をひいた、鳩のひき逃げ?うーん。」

女「鳩がひかれて死んだのに警察は知らん顔するの?」

警察「いえいえ、そんなことはありません。」

女「避けるのはハトの方だって犯人は言ってる。悪質でしょ?早くしてよ。」

警察「困ったなぁ。じゃあ今からパトカーを手配します。」

警察(独り言)「厄介なことになったぞ!」

以上は私のいつもの妄想です。

 

110番したことで想定できるのは、このおばさんいわゆる「正論おじさん」ならぬ「正論おばさん」じゃないのか。車道上への餌撒きもなんだか怪しい。

 

 

何度も書きますがこの辺のところはみんな妄想ですよ、妄想!

 

警察がこの程度のこと、つまり間抜けな鳩をひいてしまった程度でタクシー運転手を逮捕したのは、「非常に悪質」だからではなく、正論おばさんの手前、何か形を作らないと更に騒ぎが大きくなると危惧したのではないか。要は正論おばさんを納得させるために「逮捕」した。タクシー運ちゃんの説諭では正論おばさんは納得しないだろうと。警察も実は困ったのではないかと。

 

 

「Total news world」がこの事件について、次のようにネットの声を伝えている。

・鳩を車で轢いて運転手逮捕で実名報道。 福島・高3自殺。校長「天寿全うした」に両親あぜん 「真実知りたい」 実名報道した方がいいのは後者では?

・ハトを殺したのは良くないが、全国放送で実名と顔を晒すほどのことだろうか。もっともっと悪質なことをしても実名が出ないことがあるのに。基準がへん。

・馬鹿なメディアだ。ふざけすぎている。こんなもの軽犯罪だろう。

 

別のネットの声。

・意図的に殺そうとしたかどうかは?運転手は、ハトは逃げると思ったのかも知れない。鳩がいたからと言って急ブレーキ踏んで追突されたら鳩が証言してくれるんですかね~??

でもハトってなぜ交通量の多い道路にいたんですかね?ハトに餌やりして道路にまいてる人がいるんでは?

 

・鳩がタクシーの運転手より上位。同じ人間でも下級国民にとって生きにくい世の中になってしまった。

 

・確かに生き物を大事にすることは良いことです。しかし、この鳥獣保護法自体非常に問題があると思います。江戸時代の生類憐みの令のようです。

一番怖いのはこれを拡大解釈することが一番の問題です。これを完全に守るというのは牛も豚も鳥も魚も食べてはいけないのです。いくら食べるとはいえこれらの生き物を殺す時は惨酷ですよ。確かにこの運転手に腹がたちますがハト一羽轢いて警察が逮捕すること自体怖しことです。ハト一羽の命も大事ですが人権も更に大事です。完全に動物愛護に徹するには肉食を完全に止めるべきです。完全な仏教徒のように菜食主義に徹して絶対に生き物を食べるべきではありません。そんなことは出来ないと思います。つまり、この動物愛護法は多くの矛盾があるのです。一度、国民全てにこの法律が本当に必要か聞くべきです。かと言って生き物は大事にすべきです。

 

・鳥獣保護法は、現代版「生類憐みの令」だ。ハト・ムクドリ・カラスは都会では害鳥だ。糞をまき散らしわがもの顔で道路に居座る。そんな害鳥を野放しにする法律を、いつまでも施行させている国会議員どもが諸悪の根源。

(引用終わり)

 

 ネットの声を見る限り、逮捕されたタクシー運転手に同情的だ。これが普通の感覚だろう。警察による逮捕は、常識知らずの法匪のような臭いがプンプン。正論おばさんに負けた!

そして実態無視の頭でっかちな動物愛護法に世間は批判的なこともよくわかる。

 

さて、私はこの鳩ひき殺して逮捕のニュースを見て、嫌な感じを覚えた。横断歩道に人が立っていても車がなかなか止まらないというキャンペーンの再来か、と。

 

テレビが横断歩道の件を報じてから、非常に横断歩道で止まる車が多くなった。なぜなら、人が渡ろうとしているのに車が止まらなければ道路交通法違反で逮捕?罰金だとなったからみんな守るようになった。いい面もあるが、横断歩道を渡る歩行者が左右の車の接近に注意しなくなった。つまり、前より歩行者はより危険になったのである。車も横断歩道が近くなると急に減速したりして追突の危険もある。停まれない速度走行している車が悪いとなるからおちおち車を運転していられなくなった。

 

 

これと同様に、今後は路上に群れる鳩やカラスがいた場合、車はそのまま走行してはいけない。必ず間抜けな、のろまな鳩や鳥がいるからだ。カラスに至っては頭がいいから人間をバカにして、ひき殺せるなら轢いてみろとばかりに直前まで逃げないでカーカーと笑うだろう。

だから、少しでも鳩やカラスの人間無視の行為に頭にきて突入して、鳩やカラスを間違ってもひき殺したり、ケガさせたりすれば警察に「逮捕」されるのである。

 

車の運転手は路上にいる鳩やカラスを見たら、「逮捕」の二文字を頭に浮かべて冷静になって徐行しないといけない。突然空から鳩やカラスが路上に着陸したら、急停車をしないといけない。絶対にそのまま走行してはいけない。のろまでかめの間抜けな鳩がいるんだと思わないとひいてしまうから。

そして、後続車は前の車が急停車するから、ズドンと追突する。その音で鳩やカラスは「人間てバカな動物だなあ」アホー、アホーと笑いながら空に舞い上がるのである。

 

これは正論おばさんと警察とマスメディアの三者の共謀の結果である、と私は妄想する。

笑うしかないが、哀しい日本。正論跋扈(ばっこ)のギスギスした日本。