最近車を運転していて横断歩道が見えてくると運転がビビる。

信号のない横断歩道で歩行者が渡ろうと立っていたら、車は歩行者優先で停まらないといけない。交通法規は確かにそうだ。しかし、昔は自分の車の速度と後続車のスピードを勘案して歩行者が横断歩道で立っていてもそのまま通過をしていた。

しかし、それは法規違反だ、問題だ、とテレビがキャンペーンを始め、県ごとの横断歩道前停車率を出して報ずるようになった。どこそこ県は停まる車は10%以下だとか、警察が取り締まりを強化して、停車しない車を捕まえたとかなんとか。

そのおかげで急速に横断歩道前で停車する車が多くなった。多くの人は当たり前のこと、歩行者優先だと。

しかし、私はそのおかげで逆に歩行者が事故になる割合は増加したのでは、とデータはないながら直観的そう感じている。

二つ理由がある。

一つは、横断歩道前で停車する車が多くなったということだが、横断歩道で対向車線側が停まった時、右手から歩行者がその車に礼をしながら横断するのだが、こちら側の車が停まっているかいるかどうか歩行者は確認していないことが多いようだ。つまり、片方の車線の車が停まったことで(歩行者からすれば右側)左側車線を走る車も停まるものと勝手に思ってしまう可能性が生ずる。

しかし、対向車線の右側の歩道に立つ人が横断歩道を渡ってくるかどうかはそこに建物や樹木などがある場合はよく見えない場合もある。確認しようとしてスピードを落としたり、横断歩行者を認めて急停車をすると後続車があれば追突されてしまう。

 

もう一つは、横断歩道前で停車する車が多くなったということが歩行者に当然のことと認識されると、これまで歩行者は横断歩道を渡るときでも必ず左右を確認していた行為がおろそかになる。つまり停まってくれるのが当たり前だから、左右確認をせずに堂々とに横断歩道を渡るのである。これまでは横断歩道に立っていても、誰も停まってくれなかった。(特別親切な運転手さんを除いて)

だから、歩行者は左右確認しなければ横断しなかった。これが事故防止の最大の効果なのだ。しかし、交通法規は歩行者優先、事故防止は車側にある、とした。それはまさに机上の空論だ。(私が歩行者の場合は横断歩道に立っても必ず左右を確認する。当たり前だけど。)

 

この二つの理由によって、横断中の歩行者の事故は逆に今までより増えたのではないか。そして、車の方も突然停車することが多くなって追突事故が増えたということはないだろうか。

 

この点を先日たまたま車の半年点検を出しに行って営業マンに話したら、何を言ってもだめです、横断歩道の前では停車できるスピードでいないといけないので、急停車などはスピードの出過ぎで認められません、などと車の売り手が木で鼻をくくったような交通警官のような受け答えしかしないのだ。

法規と実態は違うことがあるといっても駄目だった。

 

例えばハイビーム。余り夜間は運転しないから使わないが、ハイビームなどは対向車に迷惑になるからよほどのことでない限り使わない。しかし、最近は夜間はハイビーム使用が当たり前だとか。この辺は詳しく知らないが。しかし、ハイビーム使用が当たり前をやり過ぎて、対向車とトラブった例もあるということも聞いている。これも実態無視、法規優先の例ではないか。

 

そんなこんなで、最近は横断歩道が見えてくると人が立っていやしないかとビクつく。歩行者もひどい時には顔は歩道を向き、体は横断歩道に向けているとき、おいおいどっちなんだ、はっきりしてくれよ、と言いたくなる。

 

こんな横断歩道恐怖症になりつつあるときに、信号のある横断歩道を渡る人が突然消えてしまうということが起きた!

私は信号のある交差点を左折しようと車を左折させながら、歩行者の横断を待っていた。

 

 

 

あるおっさんが、左側から横断歩道を歩いてきたが急に視界から消えたのである。その後ろからまだ横断する人がいたからよかったし、女房が助手席にいて、「あっ人が座り込んだよ」と叫んでくれたのだ。

実は私もその前に気付いていたのだ。そのおっさんは横断歩道を渡りながら何やら手を動かしていたのを。ケータイを持っていたのかもしれないし、煙草の箱などを持っていたのかもしれない。それを横断中に落としてしまい、拾おうとして腰をかがめたのである。だから歩行者は車の前から急に消えたのである

もし私がその後ろの人に気が注がれて、その人が車の前を通り過ぎていたら、かがみこんだおっさんはもう渡り切ったから視界から消えたと思って車を発進させたに違いない。そうなら、そのおっさんは車の下敷きだ。

 

こんなことは初めての経験だった。車の直前でモノを落として拾おうとしたら車の視界から人は忽然と消えてしまうのである。モノを拾おうとした男にはそんなことは絶対に意識にないだろう。

しかし、考えようによっては、かなりあり得ることではないか。

横断中に車の前でモノを落として拾おうとして腰をかがめた、なんて大いにあり得る。事故は絶対発生しているよ!

 

交通事故防止はこういう思ってもみないことを知らせること、教育することだ。

昔、職場で危険予知トレーニング(KYT)というものが流行ったが、今もやる価値があると思われる。