長野県中野市の立てこもり事件で、31歳の男の猟銃によって警官二人が射殺された。

犯人は「女性にばかにされたと思って殺した後に、駆け付けた警察官に射殺されると思ったので銃撃した」と供述しているが、警官が犯人に向けてピストルを構えたわけでもないのに、パトカーの窓越しから2人も射殺した理由としては無理がある。もう殺す気満々なところが見える。

近所の女性をナイフで刺したところを目撃した男性に、この犯人は平然として薄ら笑いも浮かべていたというから正常さを失っていた(残念ながら)可能性もある。

 

しかしびっくりするのは、この男猟銃を4丁(といっても1丁は空気銃だが)も持っていたということだ。日本は銃規制が厳しいといわれるのに、4丁も大量に所持できるのだろうか。

 

 

すかさず谷国家公安委員長は26日の閣議後記者会見で、長野県中野市で起きた立てこもり事件で殺人容疑で逮捕された青木政憲容疑者について「長野県公安委員会から猟銃や空気銃の所持許可を受けていた。現時点では銃の所持許可の手続きに問題があったとの報告は受けていない」と明らかにした、という。

 

銃の所持許可の手続きに問題がなかったということは、つまり普通の男が銃を4丁持っても何ら問題はないと言っているのと同じだ。

が、一人で4丁もの猟銃を所持するのにどんな理由をこの犯人は公安に申し出たのだろうか。

猟銃を持ったことなどないから、所持許可申請書など書いたことないが、理由欄とか所有数なんぞという欄はないのかもしれない。だから、4丁持っていても「銃の所持許可の手続きに問題があったとの報告は受けていない」と言っているんじゃないか。

つまり、手続きに一人で複数の銃を持ってはいけないとの決まりはないということか。

 

今頃、ヤクザかルフィか粗暴犯、革命家は「そうなのか簡単に銃が大量に手に入る」と膝を打って喜んでいるかもしれない。

ケータイですら、悪用防止のために複数所持は許されない(何台も持ってはいけないという台数は知らないが)のに、銃は特段の理由がなくても許可を得られるらしいから、革命家は数百丁又は数千丁の銃を申請するとよい。特に長野県公安委員会。

 

冗談で言っているのだが、無職というか農業の若い一人の男が4丁も持てるなら、ルフィは100人動員すれば、400丁の銃の入手が可能となる。

これでも銃の所持許可の手続きに問題がなかったといって所持を許可するのだろうか、谷さん?

そして凶悪な銃乱射暴力事件起きて何十人と撃たれても、公安委員長は、銃の所持許可の手続きに問題がなかったというしかないな。

 

フジテレビの解説委員風間晋は

「警察白書によると、令和2年には全国で15万6000丁余りが所持されている。銃規制が厳しい日本にもこれだけの数の銃がある。手続きや管理は厳しく決められているので、仮に父親の銃だとしても息子が使うことはあってはならない決まり」

と指摘したとのこと。

 

「銃規制が厳しい日本」とは、決まり文句のように言われるが、猟銃が全国に16万丁も出回り、銃撃犯罪もちょいちょい起きている日本。何十人も射殺する事件が多発するアメリカと比べれば、事件も少ないが、それは果たして「日本の銃規制が厳しい」からなんだろうか。

以前もこのブログに、猟銃で殺人を犯した糞ジジイが2丁も銃を持っていたことに疑問を呈した記事を書いた。

 

 

銃はどうやって手に入れられるのか、どういう申請をすればいいのかネットで調べてみた。

そうすると驚きの結果がわかった。銃規制が厳しいなんて「嘘」だってことを。

 

警察庁のホームページより。

・受けようとする許可の種別に応じた所持許可申請書に加え、以下の添付書類が必要となります。

申請時に75歳以上の方は、認知機能検査の受検が必要となります。
また、下記の書類以外にも、保管状況や使用用途を疎明する書類、申請にかかる銃砲等又は刀剣類に関する資料等(カタログ等)の提出をお願いする場合があります。

猟銃の所持許可を受けようとする方

同種の猟銃を所持していない場合(トラ注:つまり初めて銃所持の申請)の所持許可申請

申請に必要な書類

  • 申請人の写真
  • 診断書(注記1)
  • 譲渡等承諾書
  • 講習修了証明書
  • 教習修了証明書(所持しようとする猟銃の銃種にかかるものに限る)

条件により省略可能な書類(略)

年齢や許可用途等により必要となる書類

  • 推薦書(標的射撃用途の場合)(注記4) 
  • 狩猟免状及び狩猟者登録証(狩猟用途の場合)(提示)
  • 鳥獣捕獲許可証又は従事者証(有害鳥獣駆除の場合)(提示)

注記4

猟銃等の所持許可を受けようとするために日本スポーツ協会等から必要な推薦を受けた方は、その推薦書を添付してください。

(引用終わり)

 

これのどこが厳しい銃規制なのか。全然厳しくも何ともない。ふつうの「悪党」なら簡単に銃が所持できるじゃないか。

 

犯人の青木政憲容疑者(31)の銃所持関連報道は次の通りだ。

「…逮捕された青木政憲容疑者(31)は2015年1月以降、狩猟と標的射撃を目的に散弾銃など4丁の所持について長野県公安委員会から許可を得ていた。更新手続きも経ており、直近の今年2月の県警による検査時も、健康や精神状態に問題はなかったという。

 県警や捜査関係者によると、容疑者が最初に許可を得たのは15年1月の散弾銃1丁。その後、17年10月に別の散弾銃1丁と空気銃1丁、19年2月に猟銃1丁の許可を取得した。

 銃刀法は3年に1回の更新手続きを義務付けているが、いずれの銃も1~2回の更新手続きを済ませており、精神疾患などがないとする診断書も提出されていた。これとは別に県警は年1回、銃の所持者に対して健康や精神状態に問題がないかを面談して検査しているが、今年2月の実施時も問題はなかった。

 一方、地元の狩猟関係者によると、政憲容疑者は地元の猟友会には入っていなかったという。」

そして、その後犯人の青木政憲はよくクレー射撃場に通っていたということが分かったという。

 

この銃の所持申請と青木の猟銃所持を絡めて考えると、ほぼ誰でも、つまり「アルコールや薬物中毒者、精神疾患のない悪人、普通の悪人・悪党、犯罪予備群」は銃を簡単に所持できるのである。

 

面倒と思われるのは「許可用途等により必要となる書類」の提出だけだ。

しかし、これも抜け道がある。狩猟免状や鳥獣捕獲許可証を得るのは面倒だが、標的射撃用途の場合なら、日本スポーツ協会等から必要な推薦書を貰えばいいのだ。

銃の扱いは少しは研修又は訓練が必要だから、クレー射撃場に普通に通うだろう。そしてそこで銃所持申請の推薦状を貰えばいいのだ。これは簡単なことだ。そして犯人の青木もクレー射撃場に通っていたようだから、そこから推薦書を貰って提出したのだろう。

 

また、複数所持も特段の規制はないようだ。だから3丁も猟銃を持っていても、県警は全く問題にしない。問題にするのは、アルコールや薬物中毒者、精神疾患等だけだ。

こういうのは、銃規制が厳しいなんてふつうは言わない。

ケータイですら、複数契約はできない。違法な使用法が疑われるからだ。

しかし、何丁も銃を持っていても何らとがめられないのだから、銃規制は厳しいなんて嘘なんである。

 

確かに、アルコールや薬物の中毒者、精神疾患のあるものは銃所持は許可されない。しかしそんなことは当たり前でありこれをもって銃規制は厳しいなんて言わないだろう。

 

もう一度言うが、アルコールや薬物中毒者、精神疾患のない悪人、普通の悪人・悪党、犯罪予備群なんて世の中にごまんといる。彼らにとっては、厳しい規制でも何でもない。だから、これから殺人を犯そうとか誰かに報復しようとか考える「精神の正常な悪党」にとって、銃は簡単に手に入り、堂々と銃をぶっ放すことができるのである。

 

ルフィーが大型強盗を企て、闇バイトでアルコールや薬物中毒者、精神疾患のない者を募集し、クレー射撃場に通わせ、普通に銃申請をすれば大量の銃が手続き上は入手できるのである。それを使って大掛かりな銀行強盗その他を…。

暴力革命もできそうだ。

 

これを谷国家公安委員長は、警官を二人も射殺した青木政憲容疑者について「長野県公安委員会から猟銃や空気銃の所持許可を受けていた。現時点では銃の所持許可の手続きに問題があったとの報告は受けていない」と平然と言うのである。

つまり私には責任がないよ、決められた手続きはちゃんとやったよ、と。なんか文句ある?と開き直っているのである。

こんなザルのような銃規制で国家の公安が保たれるといえるのだろうか。

「手術は成功した、患者は死んだ」という例えを地で行っているようなものだ。

 

私は銃の管理以上に「弾丸」の厳格管理をすべきと考える。

弾が無ければ、銃は何の役にも立たない。脅しには使えるかもしれないが。

弾の管理の分離。例えば警察書が管理する等。

もちろん、闇で弾が流通してしまえばこれもザルになってしまう、と考えたが今はネットで何でも買えるからこれは対策にならないかもね。

 

 

さて、こういう事件が起きると必ずアホがしゃしゃり出る。いつものひろゆきだ。

「事件で猟銃を使われたっていうので、まあ包丁も使ってるんですけど、じゃあ包丁を規制するのか?猟銃規制するのか?って、道具の問題ではなくて、こういう人は一定の割合で現れるっていう話なんじゃないか」

 

さも賢(かしこ)振ぶっていうのだが、バカである。こういう言い方はもう言い古されているのだがねえ。

「道具の問題ではなくて」ではなく、モロ道具の問題でしょう。包丁でも殺人は確かにできる。しかし、包丁は料理も使えるが、猟銃はいわゆる「料理」に使えるのかってえの。

つまり、道具の持つ意味、文脈が大事なんだ。当たり前だけど。

 

例えば青酸カリ。これはよくメッキの町工場でメッキ浴薬剤として使われているようだが、町工場の人が、青酸カリをうちでは仕事で使ってるんですけど、じゃあ青酸カリを規制するの?なんて言う訳ねえだろう。規制するに決まってるだろう。まさに道具の持つ意味、文脈が規制するかどうか決めるんだ。

 

さて、この悲劇的事件。犯人青木政憲はなんでこうなってしまったのか。おそらくそういうことは表面的にしか追及されず、犯人の心は闇に包まれたままになると思うが、何があったにしても4人も殺害するのは許されないだろう。