28年前、私の職場は大阪で、名古屋から単身赴任の単身寮は豊中市の蛍池にあった。豊中は揺れは大きかったようだが、地震の被害はわずかで神戸ほどではなかった。
といっても、その日私は蛍池単身寮にはいなかった。17日に本社出張のため前日から家族のいる自宅名古屋に帰っていて、そこから東京に新幹線で出ることにしていた。そのため、大震災にはかろうじて遭わなくて済んだ。幸運であった。
本当の幸運はもっと前に発生していた。
というのも、大阪への異動となってから、家族一緒に大阪方面に転居する予定だったのである。
世話をしてもらった社宅は甲子園球場近くの西宮市葭原というところ。
引越し一週間前に家族と社宅をチェックしに来たのだが、妻も息子(中学生)もこの社宅が気に入らないといい始めた。社宅の広さは一軒家で申し分ないのだが、なんだか嫌な気分、説明できないが嫌な気分がするといい始めた。
家族が引っ越しを反対するなら止めようかと、会社に断りを入れ、単身寮を世話をしてもらった。
これが阪神淡路大震災の起きる約1年前のことであった。
地名が「葭原(よしはら)」ですぐそばが海岸なので、地盤はすこぶる弱いことがわかる。
私の同期の会社の友人がこの社宅にいたのだが、後で聞いてみると、テレビや家具が飛んだそうだ。社宅は頑丈にできていたためつぶれることはなかったが、近所の家屋は何件も倒壊し、死者もでたという。こんな社宅に家族で引っ越ししなくてよかった。
というか、後でいつも話題になるのが、妻や息子が、なぜあの社宅がなぜ「嫌な感じ」がしたのかということだ。不思議な予告というものか、霊感が働いたか、妻と子供の不思議な霊感には感謝するしかない。
大阪の職場は、あるセンターを開設するために若手社員を中心とした組織で、私が所長を務めていた。
この阪神大震災により、社員たちの多くが被災したわけだが、当初は安否確認や指示を名古屋の自宅からした。新幹線が止まってしまい、大阪のセンターに出社できなくなってしまったので。
このセンター社員をめぐる話はいろいろあるが、一つだけ。
当日ある若手社員が北海道に出張中で、新婚の奥さんは大地震の中心の神戸区内の社宅に住んでいた。
この地震の被害は当日はまだよくわからなかった。
この社員から私に電話連絡があり、出張を止めて自宅に帰りたいと申し出があった。
私は地震被害を当初それほどのものと思っていなかったから、出張取り止めは不可と断った。しかし、妻が一人なので心配だという。
徐々に被害の甚大さが判明するにつれ、こりゃ大変だと出張から早く帰るように指示し、大阪のセンターに電話して、奥さんを助けに行くように指示した。
たまたま、センターにバイクで出勤したものが「私が迎えに行きます」と申し出てくれて、大阪から神戸に向かった。結構な距離と途中の渋滞、がれきなどにより神戸に着くまでかなりの時間がかかった。そして夜遅くに「救出しました」と連絡があった。寒さの中、バイクの後ろに座らせて運んだのだった。
よかった。「何か欲しいものは?」「暖かいラーメンが食べたいと言っているので用意して出しました。」
暖かいラーメンが食べたいなんて、ほんとに切実な思いが伝わってきた。
他にもエピソードはたくさんあるが、割愛。幸い、センター社員関連で死者やけが人は一人も出なかった。
さて、そんな阪神淡路大震災も28年も経ってしまったのだが、当時の馬鹿げた思い出として、兵庫県知事が左翼知事で、自衛隊への応援要請をかなり遅くまでためらっていたこと。(今では考えられないことだ。災害派遣の自衛隊まで左翼は拒否していたのだ。それによって何人助かるものも助からなくなったことか。韓国なら逮捕だな。)
そしてそれを誰も問題にしないことや神戸市消防局が如何に杜撰だったか、もう誰も覚えていないだろう。
というのも、神戸市内は火事が発生して大火になっていたので、各地の消防署から応援の消防自動車が駆け付けたのだが、神戸市消防局は他からの協力を断ったのである。もうあらかた燃え尽きたので、と。28年前の記憶ではあるが…。
そして昨日NHKが阪神淡路大震災の地震のメカニズムを解明する特集、第一部「震度7何が生死を分けたのか 時間がたって発生/謎の火災の正体は」、二部「KOBE15秒の真実-その時地下で何が」を放映していた。
スーパーコンピュータやその後分かった各種データを分析してシミュレーションするのだが、大元の地震原因をいつもの活断層とプレートテクトニクスにしか求めようとしないから、説得力がまるで出てこない。
地震学者もこの定説地震学に自信がないのか、その後ストーリーをいろいろ付け加えてごまかしているようだ。例えば、活断層のずれのみでは巨大な破壊エネルギーを説明できないと思ったのか、水の存在とかアスペリティとかいう概念を持ち込んでエネルギーの巨大さを説明しようとする。
東大教授はいう。
「断層全体というよりはアスペリティが地震規模を大きくした。このアスペリティが複数あるとより被害がおおきくなる」
アスペリティとは、ネット解説によると
「アスペリティモデルとは、震源断層面上での不均質性を表す概念モデルのひとつです。プレート境界や活断層などの断層面上で、通常は強く固着していて、ある時に急激にずれて(すべって)地震波を出す領域のうち、周囲に比べて特にすべり量が大きい領域のことを、アスペリティといいます。1981年に金森博雄博士によって提唱されました。
アスペリティの位置、形状、大きさや、アスペリティにおいてすべる量は、地震の性質を決める重要な要素となります。同じアスペリティがほぼ一定の時間間隔ですべって地震を起こすと仮定したモデルを、固有地震モデルと呼び、地震調査研究推進本部における地震発生の長期評価などにも取り入れられています。
また、アスペリティでは、とくに強い地震波を出すとされ、強震動の研究などでも重要視されています。」
この説明の最後の部分「アスペリティでは、とくに強い地震波を出すとされ、強震動の研究などでも重要視されています」をテレビで解説に使ったのだ。これが地震学の進歩なんだろうか。
しかし、地震波データをいくらスーパーコンピュータを使っても、地震そのものの発生原因が間違っていたら、まともな分析などできないはずだ。そもそもシミュレーションは科学者が都合のいい結論を出すためのツールに成り下がっているから、こんなものは証明にならないのである。地球温暖化二酸化炭素説と同じだ。
この活断層理論では説明できないことがたくさんあるのである。
・活断層理論では余震が説明できない。
・活断層のすべりでは強い加速度を説明できない
・活断層による地震では、地底から聞こえるドーンという爆発音の説明ができない
・歪みが蓄積されるというが、不均一な岩盤が圧力を受けたら、圧縮されエネルギーを蓄える前に力点がひび割れたり崩壊するはずで、蓄積されるわけがない。
等々。
また、第一部の「時間がたって発生/謎の火災の正体は」の謎解きも「通電火災」(注)に原因を求めて解析しているが、これも余り説得力がない。
(注)通電火災
通電火災は、倒壊によって損傷した 屋内配線 が 短絡 した状態のまま停電が復旧し、短絡した配線が発熱して周辺の可燃物を発火させる現象である。 通電火災は、地震による家屋の倒壊等によって住民が避難した後、無人になった場所に電気が復旧することで発生する。
地震爆発論の石田昭氏は地震後の火災発生の原因について次のように述べている。東日本大震災直後での石田氏のサイトより。
「今回(東日本大震災)の地震では気仙沼で広範囲(4.5km×2.5km)にわたる火災が発生しました。自衛隊が撮影した動画にはその凄まじい火炎が映っています。
この火災が発生した原因については専門家も含めて大方の見方では、以下に紹介するような「燃料タンクが倒壊し、そこから流れ出した船舶用の油に引火して燃え広がった」という解釈のようです。
「午後5時半すぎ、気仙沼港口にある漁船用燃料タンクが津波に倒され、火が出た。その火が漂流物に次々に燃え移っている。さらに、波が押し寄せるたびに、燃え移った漂流物が街の中に入り、民家に延焼している。」
しかし、引火させた直接の火種に関しての明瞭な説明はありません。
またタンクの倒壊が原因とは思えない山火事も、宮古市の沿岸7箇所で報告されていますし、気仙沼の大島でも山火事が起きたようです。
船舶の燃料タンクなどが存在しなかった安政の大地震でも、紀州では津波で水浸しの街から出火して火災になったことが記録に残っております。
地震爆発論では、巨大な地震が起きたときに発生する火災の原因は、地震の直接の原因となる解離ガスを含む高熱のガスが噴出することが「火種」になっているとしています。
火種が全く存在しない砂漠地帯でも、断層(地震の傷跡)付近の枯れ草が燃えることがあります。
これから類推しても、今回の気仙沼の大火災も直接の原因となる「火種」は震源付近から噴出してくる高熱ガスによって乾燥すること、そしてその高熱ガスが漂流物を発火させた可能性は捨てきれないと思います。
何度も述べていますが、台風や高潮などで流された漂流物から出火することは殆どありません。このことから考えても太古の時代から、大地震には火災が付き物のように報告されている原因は可燃ガスを含む高熱のガスが正体であること、震源付近から、地震の傷跡である断層を通り抜けて地表に噴出することが原因であろうと思います。」
(引用終わり)
地震爆発論を理解した人なら、「通電火災」より説得的な説明となっているのではないか。
そして、この巨大地震のエネルギーをひずみがたまってなんぞと説明しても納得性に欠けるのである。これは地震爆発論(石田昭氏提唱)で説明するとよくわかってくる。
また、「時間がたって発生/謎の火災の正体」も地震爆発論で説明できるのである。
過去記事で、地震爆発論を説明したものがいくつかあるが、別のブログサイトで書いたものが閉鎖されて消える運命にあるようなので、こちらに引っ越しをすることにした。
その中から、いくつかを再録したい。
・「地震爆発論をもっと知っていただくために、定説地震学批判について昔書いた記事を再録します。」
2018年09月08日(土)
・活断層は地震の原因ではなく、あくまでも地震の結果である。2014.11.23
(別ブログに書いた記事より)
昨日夜の長野県北部の地震は意外に大きかった(震度6弱)ものの死者は一人も出ずに不幸中の幸いだった。長野は御嶽山の噴火や今回の地震など災難続きだ。火山噴火も地震もマグマの活動が原因だ。地下で爆発すれば地震として、地表に出る程の爆発は火山噴火となる。
テレビニュースでは、またぞろ東大地震研究所の専門家といわれる教授がしたり顔で活断層がずれて、今回の地震は逆段層とかなんとかいっている。
しかし、こんな説明は全くの嘘っぱちで何の説明にもなっていない。地震の原因の通説は、たった二つしかない。プレートが沈み込んで歪みのエネルギーが開放されるというものと活断層がずれて地震が起きるというものだ。みんな地震学者がそういっているから信ずるしかないと思っているだろうが、とんでもないことだ。
地震原因は全く解明されておらず、地震が起きるたびに地震学者たちがいい加減な理屈(たった二つの理屈)をこねくり回しているだけだ。
いい加減な理論だから、余震がなぜ起きるかの説明もろくにできないのだ。
「ダーウィン以前に戻って考えよう」というサイトが、地震活断層原因論に疑問を呈している。ちょっと覗いてみよう。
(活断層とはなんぞや?「ダーウィン以前に戻って考えよう」2012.4.29より)
「活断層が5000年に一度の確率で突然に動く理由はいったい何なのだろうか?実はその原因はまったく分かっていない。「活断層が動く原因は何ですか?」と地震学者に尋ねると「それは活断層だからです」というバカみたいな答えが返ってくるにちがいない。これはもちろん笑い話ではない。要するに動く可能性のある断層はすべて活断層だということにされ、そしてそれが本当に動くと、「動いた理由は活断層だったからです」というまことしやかな後付けの説明で済まされているのである。」
「…現代の地震学者にとって定説となっているのは、「弾性反発説」という仮説である。すなわちプレートに歪みが蓄積され、それがなんらかの弾みで動くと地震が起こるというものである。しかしながら阪神大震災のときもそうであるが、活断層が動く真の理由は決して解明されてはいない。なぜあのとき野島断層が動いたのか?その理由は決して分かっていないのである。
たとえば最近はGPSの飛躍的な進歩により、センチ単位の精度で全国土の位置情報を衛星によって知ることができるようになった。その結果、歪みがどの地域に蓄積されているのかということが、数学的に予測されてもよさそうなものだが、決してそのような予測は行われていないし、また予測が可能であるとも考えられていない。
ということは、結局、活断層に溜まった歪みエネルギーというものは見ることも知ることもできないものだとされているわけである。つまり活断層に溜まった歪みエネルギーというのは、あくまでも理論上の仮定の話であって、実際に確認されているわけでもなんでもないのである。」(「活断層とはなんぞや?」より)
「活断層に溜まった歪みエネルギー」というが岩石が歪みエネルギーを溜めるものなんだろうか。
「…奇妙なのは福島浜通りなど、ほぼ同じ地域で延々と繰り返される余震である。弾性反発説によると、余震というのはプレートに溜まった歪みを解放するために起こるはずだ。だとすれば、余震の起こり方には一定の法則性があってもよさそうなものであるが、そうでもないらしい。実際、余震現象というものは地震ごとに異なった様相を呈するのが普通であり、たとえば2004年10月に起こった新潟県中越地震(最大震度6.8)の際には、震度6強の余震が2回、震度6弱の余震が2回、震度5弱以上の余震は18回以上続いたとされている。この回数は阪神大震災のときの余震に比べ異常なほど回数が多く、なぜ同じ規模の活断層の地震でありながら様相がそれほど異なるのかという合理的な説明は一切なされていない。
ちなみに阪神大震災の時は最大震度4の余震が1回起こっただけであり、その他は震度2以下の微小地震がほとんどであった。断層モデルでどうしても説明できないのは、いわゆる群発地震という現象である。群発地震というのは小さな地震が何か月も断続的に繰り返されるという現象であり、それは弾性反発説の枠組みでは到底説明できない。」(「活断層とはなんぞや?」より)
定説地震論では、余震の説明ひとつろくにできていないことがわかるだろう。
では、地震の原因は何であろうか。地震爆発論というものがそれだ。それを提唱するのは自ら地震爆発論学会を立ち上げ会長となった石田昭氏である。地震爆発論とはどんなものか。
「(地震爆発論を提唱する石田昭氏の)地震というのは地下で起こる水素爆発であると仮定すれば、さまざまな地震現象の謎が整合的に説明できるように思われるのである。
この仮説の強みは、なんといっても、地震現象の分かりやすい視覚的なモデルを提供してくれることにある。特にこの仮説によると、余震活動についての多くの謎が一挙に氷解されるように思われる。この[地震=水素爆発説]によると、余震というのは地下の高圧高熱の環境下で水素と酸素に熱解離したガスが化学反応による爆発(すなわち地震)が、何度も同じ反応を繰り返すことであると定義される。つまりこの反応は条件さえあれば可逆的な反応(2H+O⇔H2O)となり得る反応であり、その条件が地殻の内部の様相によって異なるがゆえに、余震の起こり方も条件によって変わってくると想定される。3,11後の余震の起こり方をみると、まるでモグラ叩きのように同時多発的に各地で余震が続いた理由は以下のように説明できる。
日本列島は宮城県沖の震源を中心として東側に数メートルから数センチ、全国的な地盤のズレを生じたことが分かっている。この結果、日本列島の地殻の下では数多くの場所で空洞が生まれたのではないだろうか?空洞ができると、そこに地下水が落ち込んで<地震の巣>となるわけである。その結果、東日本の各地で水素と酸素が反応しやすい条件がそろい、いわゆる<地震の巣>が至るところにできたのではないかと考えられる。したがってこの余震活動はもともと活断層の運動とは何の関係もないのである。
東北大震災について、3.11のあと、活断層が活発化したのではなく、あくまでも地盤のズレによって<地震の巣>が多くなったというだけの話である。したがって、定説の地震学者がいうように、関東直下の大地震が迫っているというのは、たぶん妄想にちがいない。現在、余震活動が静まっているのは、各地の<地震の巣>が徐々に平準化され、地殻下で水素と酸素が反応できる条件下の環境が少なくなってきたことを物語っているのだと思われる。したがって危機は少なくなっていると考えた方がよいと思う。」(「活断層とはなんぞや?」より)
「結論:活断層というのは虚妄の概念です。断層は地震の原因ではなく、あくまでも地震の結果、すなわち過去の地震の痕跡でしかありません。活断層が動くと地震になるという定説論者は原因と結果をとりちがえているのであり、まったく本末転倒した物の見方であると考えられます。」(「活断層とはなんぞや?」より)
以上により、活断層地震原因説が間違っていることがわかる。となると今原発再稼働を審査している原子力規制委員会が、この誤った理論で審査しても誤った結論しか出てこないということである。つまり、段層の幻影に怯えて、そこに地震という幽霊を見てしまうのだ。
原発再稼働については、私には別の考えがあるが、すくなくとも活断層を理由に原発再稼働させないと判断することは間違っている。
(引用終わり)